日経平均大幅下落、ただし押し目は投資のチャンス
登り百日、下げ十日(上げ100日、下げ3日)はあまりにも有名な相場格言です。上げ相場というのは、牛の歩みのように非常にのろのろとして、適度な押し目を入れながら長期にわたって上げるのが定石で、下げる時はあっという間である、という意味で使われます。
今回も含め、上げ相場から下げ相場に移る時はいつもそうです。上げ相場でコツコツ利益を積み上げても、一瞬の下げで利益を失う。ただ、それならまだ良いほうで、上げ相場が熟したタイミングで市場に参入したために高値掴みとなり、あっという間の下げで損失が拡大したというパターンの方が多いかもしれません。
ただ、忘れてはいけないのは、日経平均株価はバブル期につけた史上最高値を更新し、4万円時代に入ってきたことです。今回の日本株の急落は長期の強気サインが発生した後の単なる揺り戻しの調整の域と言えます。
1980年代のバブル時期を経験していない私を含め今のシニア世代は、「株は上がらないもの」という逆張り的な発想や経験則が根づいています。株式市場に携わる仕事を続けて35年目に入りましたが、新高値を更新した今、順張り的な発想へ切り替え、「株は上がるもの」という前提に立ち、押し目は投資のチャンスと考える必要があります。
下落局面でも堅調のTOPIX、次の物色ターゲットを探る展開
さて、日経平均株価に比べ相対的に底堅いTOPIX(東証株価指数)は、2023年の年初から本格的に上昇し始め、2024年の年初来高値まで約49%上昇しました。それに対して、この下落局面では6.6%程度しか下げていません。
東証33業種でみると、2023年と2024年に入ってからはある特徴がみられます。2023年だけでみると、TOPIXをアウトパフォームしたのは鉄鋼、海運、卸売を筆頭に16業種にとどまり、逆に医薬、空運、繊維を筆頭に17業種がアンダーパフォームする結果となり、指数が上昇する中でも強弱が半分に分かれる結果となりました。
一方で、2024年の特徴では、4月18日現在、2023年アンダーパフォームした業種の中から保険、非鉄、不動産、ガラス・土石の4業種がTOPIXをアウトパフォームしている点です。逆に、2023年アウトパフォームした5業種が2024年に入ってアンダーパフォームしていることからも、出遅れ物色が効いている相場環境と判断することができます。特に、指数が横ばいや調整局面に入ると、出遅れ物色が意識されやすく、次の物色ターゲットを探そうという動きになりやすいと言えます。
逆張り戦略の有効手段として26週移動平均線の動きに注目
例えば、2023年アンダーパフォームで、2024年に入ってもなおその状態にある13業種の中から、注目したのは「精密機器」です。13業種のうち、2024年最も早く高値をつけて調整が深くなり、値ごろ感があるためです。
ただ、精密機器の中でもさまざまな個別企業があり、時価総額上位5社の株価推移もまちまちです。しかし、26週移動平均線からの乖離率でみた場合、26週移動平均線上を保っている相対的に強い3銘柄(オリンパス(7733)、テルモ(4543)、島津製作所(7701))と、割り込んでいる弱い2銘柄(HOYA(7741)、朝日インテック(7747))を見分けることができます。
次の業種の上昇局面では26週移動平均線上を保っている方が、出直るのが早いと想定することができます。現在、米国の長期金利は上昇局面にありますが、低下に転じた際に有効な逆張り戦略として有効になるかもしれません。
半導体関連がダメになっても、他の日本株がダメになるわけではありません。海外投資家は半導体関連が良いから日本株を買っていたわけではないのです。半導体関連に集中投資したファンドは売った資金をどこかへ振り向けるでしょう。先にそこを考えることが重要です。