2024年1月に米国でビットコインの現物ETFの取引がスタートしてから新規マネーの流入が継続し、2月に入ってビットコインは米ドル建てでは52,000ドルを突破、日本円建てで790万円を記録して史上最高値を更新した。このようなビットコインの上昇理由をETFの一言で片づけるメディアも多いが、ビットコインの性質に目を向けると、なぜETFを介して買われているのかが見えてくる。

多くの投資家にとって暗号資産に分類されるビットコインはリスク資産の一つとして位置づけられる。そのため特に新型コロナウイルス以降は米国株に対して順相関、米国金利に対して逆相関の傾向が強くなっている。

直近、米国主要株価指数が史上最高値を伸ばし続けており、リスクオンムードが醸成される中で資金の一部がビットコインに流れていると考えられる。FRBのマネーサプライ(M2)に注目すると、今もコロナ禍で膨らんだ大量のお金が市場に溢れており、投資家はより大きなリターンを求めて投資先を選定している。日経平均株価も史上最高値に迫っており、こうした動きは日本でも徐々に広がるだろう。

また一部の投資家にとって国や企業に管理されないビットコインは金に代わるデジタルゴールドとして位置づけられる。そのため景気後退や地政学リスクが意識される局面では金との正相関が高まる傾向にある。

アーク・インベストメント・マネジメントのキャシー・ウッド氏は「ETFをきっかけに金からビットコインへのシフトが加速する」と予想している。現に2月は金の価格が軟調に推移する一方でビットコインは強い値動きとなっており、上述したリスクオンの買いと合わさって、金のポートフォリオの一部がビットコインへ流れている可能性がある。

このようにビットコインはリスク資産とデジタルゴールドの二つの性質があり、その両性質から短期的に買いが集まっている。半減期にかけてどこまで価格を伸ばすのかが注目されているが、株式市場とともに調整売りが強まることには警戒が必要だろう。