感謝祭の週は下がりやすいというアノマリーを上昇で乗り越えたマーケット。注目のエヌビディア第3四半期決算は予想を大きく上回る
先週の米国株市場は、11月23日(木)の感謝祭の休場により時間短縮の中、S&P500は1%上げ、ナスダック100は0.91%上昇し1週間を終えました。
10年債利回りは4.46%と、前週比で3ベーシスポイントの若干の金利上昇、S&P500は4週連続での上昇となっています。2022年1月7日につけた史上最高値である4,848.62ポイントまで残すところあと5.7%となりました。
先週の株式市場のフォーカスは、11月21日のエヌビディア[NVDA]第3四半期の決算発表でした。EPSについては事前予想の3.37ドルに対し4.02ドル、売上についても予想161.8億ドルに対し181.2億ドルを発表、売上は前年比で206%増と予想を大幅に上回りました。純利益についても事前予想の6.8億ドルに対し92.4億ドルとなっています。アマゾン・ドットコム[AMZN]のAWSやマイクロソフト[MSFT]のAzureのようなデータセンターからのエヌビディアのGPUに対する旺盛な需要、また同社のGPUの優位性が確認された決算となりました。
加えて第4四半期のガイダンスについては、売上200億ドルからプラスマイナス2%と発表しました。200億ドルというのは、前年比で231%増、ウォール街のアナリストの事前予想は179億ドルでした。
と、ここまでは素晴らしい内容でした。
しかし、投資家が懸念したのは、米国政府の中国への輸出規制により、2023年の第4四半期は中国への売り上げが大幅に減るとの利益予想です。同社のデータセンター部門の中国での売上は20%〜25%を占めていると言われています。
ウォール街のアナリストはエヌビディアの目標株価を上方修正も、輸出規制への懸念に市場は反応せず
今回の決算発表を受け、ウォール街のアナリストは軒並みエヌビディア株の目標株価について上方修正を行ないました。しかし、同社の株価はこのポジティブな意見には反応せず、投資家はエヌビディアにとって大切な中国市場での今後の売り上げについて懸念を示したのです。
エヌビディアの株価は、2023年に入りこれまでに227%も上昇しています。11月に入ってから決算発表前の11月20日までにすでに 23.6%も上昇し、史上最高値を更新しました。結局、当日の株価の反応は典型的な「セル・オン・ザ・ニュース」(ニュースが出たら売り)と言えるでしょう。
その後エヌビディアには、先週24日の金曜、中国の顧客に対し、H20と名付けられた米国政府の新たな輸出規制に抵触しないよう開発された新しいAI用半導体の投入を、2024年第1四半期まで延期すると通知したと言うニュースが流れ、同社の株価は1.9%下落しました。
米国市場は年末ラリーへ突入、S&P500の年末のターゲット予想4,800ポイントに現実味
米国では感謝祭が終わると、クリスマスシーズンが始まります。株式市場もクリスマスラリーの準備が始まります。米国株のアノマリーを見てみると、年末まで株価は強そうです。
1928年からのデータによると、大統領就任3年目にあたる年(今年、2023年)の感謝祭翌週にS&P500が上昇するのは53%の確率で、平均リターンは−0.02%です。これは1928年からの毎年の平均70%、平均リターンの+0.39%を下回ります。マーケットがここまで上がってきたので、一時的に弱含む可能性があります。
ただし、通年では感謝祭から年末については71%の確率でS&P500は上昇、平均リターンは1.43%の上げなのですが、大統領就任3年目については74%の確率で上がり、平均リターンは2.5%の上昇と平均を上回るのです。
このところ落ち着いてきているインフレ指数が悪化しない限り、年末に向けての更なる株価の上昇が期待されます。私が2023年末のS&P500のターゲットとしている4,800ポイントも現実味のある目標となってきました。