毎週月曜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問に広木隆が回答いたします。回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。

Q.中期的な日米長期金利の予想レンジ

tom様からのご質問

2024年には金利のある世界にもどりそうですが、さて中期的には長期金利はどの程度になると考えておけばよいでしょうか。

 

回答

米国では2.5%程度がFF金利のLonger Runですので、長期金利は3~3.5%程度でしょうか。日本では1~1.5%というところでしょう。

Q.中国の次のマーケットとして成功しそうな有望な業界や日経企業としてはどのような業界、企業に注目されていますか。

ma-si様からのご質問

中国の次のマーケットとして、インドや東南アジアが考えられます。日経企業では自動車業界でスズキのインド進出が成功しましたが、次に成功しそうな有望な業界や日経企業としてはどのような業界、企業に注目されていますか。

 

回答

ダイキン(6367)が有望でしょう。ダイキンはインドでの2025年の売上高を1,000億ルピー超と、2021年の2倍以上に引き上げる計画です。同社は過去10年ほどで同国での売り上げを約10倍に伸ばしたが、成長速度をさらに高めるとしています。同社は現在、インド市場における空調機のシェアで首位に立っています。業務用エアコンのシェアは6割超、家庭用エアコンも2割弱で1位です。
ダイキンはインドだけではなく、アフリカおよび中東をも含めた大きなマーケットに照準を合わせています。人口はインドが14億人以上、アフリカも約14億人、中東が約4億人とこの市場は30億人を超える規模の商圏で地球のほぼ半分です。

Q.ニデックの株価の動きが悪いのはどのようなことが考えられるのでしょうか。

yoshi様からのご質問

ニデックの株価の動きが悪いのはどのようなことが考えられるのでしょうか。業績から判断するともう少し上がってもよいのではとは思うのですが。

 

回答

ニデック(6594)は2024年3月期の電気自動車(EV)向け部品事業について「150億円の営業赤字になる」として、今期に初めて黒字化させる計画を撤回しました。同社が中国で投資を拡大してきたこの事業の不振が明らかになったことが同社株が冴えない理由です。

中国政府は、中国の電気自動車(EV)メーカーに対し半導体などの電子部品について、中国企業の国産品を使うように内部で指示しているようです。世界的に急成長するEVの分野でサプライチェーンを国内で完結させる狙いとみられ、今後、日米欧の部品メーカーは排除される可能性が高いと見られています。中国ビジネスの戦略の練り直しが必要で、かなり難しい問題だと思われます。

Q.米国株を空前の円安なので円建てで買えない場合はやはり静観で日本株に集中した方が良いのでしょうか。

めけめけ様からのご質問

米国株を買いたいのですが、空前の円安なので円建てで買えません。こういう場合はやはり静観で日本株に集中した方が良いのでしょうか。ご見解賜りたく宜しくお願い致します。

 

回答

為替込みのパフォーマンスを考えれば、米国株の上昇が為替で相殺されてしまう可能性はあります。だからと言って、米国株に投資しないのは有望な投資機会を逃すことになりかねません。足元では若干、円高に巻き戻っているので、こういうタイミングをとらえながら時間分散をはかって米国株を買っていったらよいでしょう。

Q.米国10年債券と株価指数は逆相関が相関関係になっていますがなぜでしょうか。

走り屋様からのご質問

米国10年債券と株価指数は逆相関が相関関係になっていますがなぜでしょうか。

 

回答

いただいた文章から、正確に質問を特定することが難しいですが、「金利と株価が逆相関であるのはなぜか」という趣旨でしょうか。

そうであれば、回答は、「理論株価は将来のキャッシュフローなどを現在価値に割り引いたものだから」ということになります。その割引率は一般に資本コストとされ、リスクフリー金利にリスクプレミアムを加えたものです。そのリスクフリー金利は市場の長期金利を実務では当てはめるので、10年債利回りが上がれば割引率が高くなり(分母が大きくなり)、割り引かれるキャッシュフロー(分子)が変わらなければ、株価は下がるという逆相関の関係にあります。

Q.国外での売上が大きいなかGDPに意味はあるのでしょうか。

スチール様からのご質問

国外での売上が大きいなかGDPに意味はあるのでしょうか。

 

回答

売上、もしくは売上高というのは企業の財務会計的な概念ですが、国内総生産を示すGDPと乖離があるのはその通りです。典型例は2014年度。GDPは消費増税の影響でその年はマイナス成長でしたが、上場企業の業績は増益となりました。このようにGDPと企業業績は乖離するものですが、「海外売上」が日本からの輸出である場合はGDPの項目にカウントされます。海外で生産したものの場合は含まれません。GDPに意味はあるのか、というご質問ですが、「国内景気を測る」という意味では大事であると思います。例えば、インバウンドで外国人観光客が国内で消費した分は、「外需」=「輸出」としてGDPを押し上げます。これも重要な項目です。

Q.今後も円高方向に進むと仮定した場合、日本株のポートフォリオのポジションは落とした方がよいでしょうか。

サウスローレル様からのご質問

円高は日本株式にとってマイナス要因です。今後も円高方向に進むと仮定した場合、日本株のポートフォリオのポジションは落とした方がよいでしょうか。

回答

11月23日付け日本経済新聞「スクランブル」をご覧ください。輸出関連株へのマイナス影響から株式市場で嫌気されやすい円高進行が、海外マネーの呼び水になるとの見方を紹介しています。金利差縮小で円が強含めば、海外投資家には株高と通貨高の二重の追い風が吹く可能性があり、日本株への投資妙味は高まっているというものです。円高は海外勢から見れば、むしろ好材料。日本株を動かしているのが彼等であることを考えれば、円高はマイナス要因とは言い切れません。

Q.株価の回復は年末や新型NISA開始の年初に向けて継続すると思いますか。

KAZU1967様からのご質問

やっと日本市場のグロース株に復活の兆しがみえてきましたが、本日(11月20日)のような株価の回復は年末や新型NISA開始の年初に向けて継続すると思いますか。

 

回答

金利上昇に一服感があり、それがグロース市場の戻りにつながっていると思います。ただし、それだけではグロース市場の継続的な上昇には不十分でしょう。まず収益力が弱いことが問題です。東証グロース市場に上場する企業の7~9月期の合計の最終損益は36億円の赤字でした。日本のグロース市場の構造的な問題は上場後に大きく成長する企業が少ないということが挙げられます。小規模なまま、企業数ばかり増えては投資家からの注目も引き付けられず、悪循環です。鶏と卵ではないですが、大きく成長できるような「第二、第三のメルカリ(4385)」が出てこないと厳しいです。

Q.自動車の次のセクターとしてどこに注目でしょうか。

hatsu様からのご質問

金利上昇と円安の方向性に変化が出てきていますが、自動車の次のセクターとしてどこに注目でしょうか。

回答

半導体セクターです。半導体セクターの重荷だった二つの要因、
1)金利上昇
2)半導体サイクルの悪化
の両方が最悪期を抜け出る兆しがあります。金利上昇についてはhatsu様もご指摘の通りですが、半導体サイクルも底打ちしたようです。鉱工業指数の「電子部品・デバイス」で出荷の前年同月比増減率から在庫の増減率を引いて求める「在庫・出荷バランス」は前月比19ポイント改善し25ヶ月ぶりにプラス圏に浮上しました。過剰在庫がはけた模様です。TSMC(TSMC)のCEOも10月の決算説明会で、半導体市場の動向について「底は非常に近い」と述べています。7〜9月の売上高は前年同期比11%減でしたが10月は前年同月比15%増で8ヶ月ぶりのプラスとなるなど復調の兆しがあります。韓国サムスン電子のメモリー部門の売上高は7〜9月に31%減でしたが4〜6月の57%減から下げ幅を縮めています。半導体市況サイクルは底入れと考えられ、投資タイミングとしては絶妙なところと思われます。


このコーナーでは、毎週月曜夜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問にチーフ・ストラテジストの広木隆が回答いたします。

今回は2023年10月30日、11月6日、11月13日、11月20日のセミナーで寄せられたご質問から抜粋して回答しています。

回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。

 

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