本格的な「ダブルボトム」の完成か

今週の日経平均は非常に重要な局面を迎える。3日は文化の日で休日だったので2日のニューヨーク市場の大幅高を東京市場は反映できていない。続く3日もダウ平均は5日続伸し、3万4,061ドルと、9月下旬以来の高値で終えた。3日に発表された10月の米雇用統計が弱い内容で長期金利が大幅に下がったことが相場を押し上げた。シカゴの日経平均先物は3万2,735円で引けた。これらを受けて、週明けの日経平均も同様の水準で始まるだろう。

そうなるとテクニカル的に強気サインが次々と点灯する。まず3万2,000円台前半に位置する75日移動平均は軽々と上抜けてくる。日経平均は10月上旬と下旬に3万500円近辺で下げ止まり「ダブルボトム」の様相だが、今週3万2,000円台後半まで上昇すれば、ネックラインを抜けて、本格的な「ダブルボトム」の完成となる。さらに3万2,700円を明確に抜ければ一目均衡表の雲の上にも抜けることになる。

ただ、おそらく週明けの寄り付きからギャップアップ(窓空け)で始まると思われ、そうなると3つ窓が空くことになる。酒田五法では「三空に買いなし」と言い、目先ピークとなる可能性もある。

決算発表はピーク

今週は決算発表がピークを迎える。

6日に味の素(2802)、JFE(5411)、三菱重(7011)、伊藤忠(8001)、郵船(9101)
7日にエーザイ(4523)、ダイキン(6367)、IHI(7013)、マツダ(7261)、スズキ(7269)、バンダイナムコHD(7832)、任天堂(7974)、NTT(9432)
8日に富士フイルム(4901)、ENEOS(5020)、住友金属鉱山(5713)、リクルート(6098)、三井不(8801)、ソフトバンク(9434)、キリンHD(2503)、花王(4452)、クボタ(6326)
9日にソニーG(6758)、日産自(7201)、ホンダ(7267)、オリンパス(7733)、三菱地所(8802)、ソフトバンクG(9984)
10日に東京エレク(8035)、アサヒ(2502)、資生堂(4911)、ブリヂストン(5108)などが決算を発表する。

その他の材料としては、日銀が9日に金融政策決定会合における主な意見(10月30、31日実施分)を公表する。米国では7日にウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が米経済団体の討議に参加し、9日には講演も行う予定。また9日には米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が国際通貨基金(IMF)の会合で討論会に参加する。

米国の長期金利ピークアウトを材料に年末特有のラリーに期待

前段で三空で目先ピークかもしれないと述べたが、あくまで短期の話だ。日経新聞社が算出している日経平均の予想PERは、先週2日に株価が大幅高になったにもかかわらず14.8倍に低下した。予想EPSが急伸したからである。ここまで株価は急騰してきたが、バリュエーション面に割高感はなく(むしろPERは低下)、テクニカル面でもTOPIXの騰落レシオ(25日平均)はまだ85弱だ。過熱感はないので、三空を恐れる必要はないだろう。短期的には利益確定売りも増えるだろうが、米国の長期金利ピークアウトという大きなファンダメンタルズ面の材料があるだけに、ここでの「ダブルボトム」完成で完全に底は入れたと見られ、ここからは年末特有のラリーを期待していいはずである。
 

予想レンジは3万円2500~3万3500円とする。