モトリーフール米国本社、2023年10月24日 投稿記事より

主なポイント

・ウォルト・ディズニーの株価は10月上旬に9年ぶりの安値を付けたが、株価が示す以上に同社の未来は明るい
・委任状争奪戦の決着がついていない中、資産売却が近いうちに予想される
・コスト削減の一方でテーマパークとストリーミングサービスの値上げを実施していることで、爆発的な利益成長が見込まれる

ウォルト・ディズニー[DIS]の株価は下落しているが、未来は明るく見える

投資対象としての最近のウォルト・ディズニー[DIS]は、まるでディズニーパークのアトラクションの1つである「カントリー・ベア・ジャンボリー」のようです。あちこちからやじが飛び、株価は10月上旬に9年ぶりの安値を付けました。空売り残高は過去のレンジ内にありますが、株価チャートは強気派が不足していることを示しています。

しかし、センチメントが変わるのは時間の問題と思われます。ディズニーのキャラクターたちがいつまでもおとなしくしているわけがありません。風向きが変われば、ウォルト・ディズニー株にとって新たな上昇局面の始まりとなるかもしれません。エンターテインメント界の巨人であるウォルト・ディズニーとその株主にとって、明るい未来が待ち受けていると思われる理由をいくつか挙げてみます。

インドでの事業など、資産売却が始まるか

ウォルト・ディズニーは、非中核資産を手放す意向を表明していますが、今のところ、実際に取引が行われたとの発表はありません。しかし、それも間もなく変わるとみられます。ブルームバーグは先日、インドの複合企業リライアンス・インダストリーズが、ウォルト・ディズニーのインドにおけるストリーミング事業の過半数株式を数十億ドルの現金および株式交換により取得することで合意に近付いていると報じました。情報筋によれば、早ければ11月にも取引について発表される可能性があるとのことです。ウォルト・ディズニーは11月8日に、2023年9月期第4四半期決算を発表する予定です。

ミッキーマウスは人口の多いインドでも人気が高く、ウォルト・ディズニーが提供するストリーミングサービスの「Disney+」の世界の加入者数1億4,610万人のうち、インド事業の「Disney+ Hotstar」は4,040万人を占めます。しかし、インドの加入者が支払う平均月額料金が0.59ドルであるのに対し、インド以外の国では平均6.58ドルで、しかも上昇傾向にあります。

インド事業の100%、または少なくとも過半数の株式の買い手が見つかれば、投資家は好感するはずです。そうなれば、ウォルト・ディズニーは利益率の高いストリーミング事業に再び集中できるようになり、10月から始まった新年度では黒字回復も期待できます。メディアネットワークなど、低迷している米国内の事業でもいくつかの取引がまとまれば、市場は再び、ウォルト・ディズニーをグロース銘柄と認識するかもしれません。今後数ヶ月の間に委任状争奪戦が勃発すれば、会社側も取引のペースを速める可能性があります。

テーマパーク事業は予想以上に好調

ウォルト・ディズニーの中で最も底堅い事業の1つがテーマパーク事業です。入場者数はパンデミック前の水準を下回っているにもかかわらず、テーマパーク事業は過去最高の売上高と営業利益を生み出しています。ウォルト・ディズニーにとって大きいのは、値上げや新しい高価格サービスの導入が可能なことです。テーマパーク来場者の平均客単価は、パンデミック前と比べて約40%上昇しています。

この事業は、今後数ヶ月でさらなる好調が見込まれます。同社は先日、米国内のディズニー・ワールドとディズニーランドの入場料の値上げを発表したばかりです。また、ウォルト・ディズニーが過半数未満の株式を保有する香港と上海のディズニーランドでは、今後2ヶ月以内に新エリアがオープンする予定です。ウォルト・ディズニーは先日、別の事業でコスト削減に取り組む一方で、テーマパークとクルーズ船への投資を今後10年間で拡大すると発表しました。ウォルト・ディズニーの価格設定が高過ぎると思われる時がいずれ来るかもしれませんが、今のところは挑戦というよりもチャンスとなっています。

サービスの値上げとコスト削減の成果が利益に表れ始める見通し

ウォルト・ディズニーの事業では、至る所でインフレが起こっています。テーマパークの入場料が値上がりしただけはありません。ストリーミングサービスでも、ESPN+や、HuluとDisney+の広告なしプランの月額料金が10月に入って10~27%引き上げられました。こうした一連の値上げと並行して、ボブ・アイガーCEOは全社のコスト削減に取り組んでいます。

同社は2024年末までに、年間55億ドル以上のコスト削減を目指しています。その成果として、今後数四半期以内に利益率の改善が見られるはずです。アナリストは、2024年9月期の売上高が前年比5%増にとどまる一方で、調整後EPSは29%増と予想しています。値上げとコスト削減により、ウォルト・ディズニーがウォール街の予想を上回る利益を上げる可能性は大きく、強気派が弱気派を追い払うのもそう遠くないと思われます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Rick Munarrizは、ウォルト・ディズニーの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はウォルト・ディズニーの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。