米ドル/円 週間予想レンジ:148.00~150.50

メインストラテジー:レンジ取引

・米ドル高が終焉でも円弱し
・仕掛けがしにくく値幅は限定
・間接的な円買いはなお先

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週値幅を限定しながら底固く推移した。米金利が急騰する中、日米金利差に着目した米ドル買いが引き続き観察されたものの、日銀介入に対する警戒があって、頭を抑え込んだとみている。

もっとも、直近では変動率が非常に低く、足元まで10月3日の値幅に「孕まれ」、大きな「インサイド」のサインを形成している。この分、同日の存在感が強く、再確認する必要がある。

10月3日に一旦150.18円をトライしたものの、当日に147.38円に急落し、介入と思われるほどの値動きだった。ただし、介入の有無は諸説あり、また介入がなかったという見方が有力視され、マーケットの自律調整の可能性が大きかったと思われる。

介入がなかった場合、米ドル高の終焉が示唆されたこともあり、その後は足元の市況に鑑み、頭が重くなっているとも言える。しかし、米ドル全体(ドル指数)に頭の重い展開があっても、反落とはほど遠い値動きと同じく、目先としては米ドル高の終焉を判断できずにいる。

もちろん、米ドル高自体が「行き過ぎ」であった。ドル指数が10月初頭まで連続12週間の上昇を果たしたのと同じく、米ドル/円の一旦150円関門のブレイク自体がその流れの結果とみている。そのため、自律調整の場合は米ドル高の行き過ぎを示唆するサインと受け止める。

7月半ば以来、日足では大型「上昇ウェッジ」に近いフォーメーションの形成を確認でき、一旦150円関門のトライがあっても許容範囲内だった。ただし、同フォーメーションを上放れしたかどうかは目先としては判定できず、これからの値動きを待ちたい。もっとも、これからも上放れできない場合、「上昇ウェッジ」の成立に繋がり、150円大台の一旦ブレイク自体が「ダマシ」であった可能性を示すが、目先ではその判断が性急とみている。

とはいえ、介入の有無を問わず、10月3日の波乱やその後の値動きに鑑み、150円関門以上のトライがこれから難しくなっている、という印象がある。10月3日の大陰線、長大線の上、そして前後の罫線に対して「インサイド」や「アウトサイド」の関係を示しているため、同線自体が「弱気リバーサル」(これからは弱気アウトサイドの公算も)のサインだったことに鑑み、再度高値更新するには莫大なエネルギーが必要で、時間の推移につれ、上放れの可能性が小さくなっていくのも事実である。

さらに、この前日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化自体は円売りの材料ではなかったことに鑑み、米ドル買いがメインだったとは言え、円売りは行き過ぎの段階に突っ込んでいると言える。日銀政策の修正はこれからも続くと思われ、円買いの余地が残される。

しかし、日本の事情が無視され、米ドルの本格的な反落なしでは円が買われることはないため、これから円買いがあってもなお先のことだろう。この意味合いにおいて、当面米ドルの頭が重くても、なお高値圏にて狭いレンジを形成していくだろう。ブレイク待ちといったところだろうか。

豪ドル/円 週間予想レンジ:94.50~96.50

メインストラテジー:押し目買い

・保ち合い継続も強含み
・強気変動復帰の遅れ
・上放れは確実でもなお先

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週波乱しながら、堅調な推移を維持した。一旦95.71円までトライしたものの、再度売られて94.58円まで大引けし、週足では「スパイクハイ」風の陽線で大引けした。

もっとも、このような波乱があっても「コップの中の嵐」であった。先々週と同様、10月第1週(10月2日~)の大陰線に「孕まれる」形となったため、あくまで中段保ち合いの一環と位置付ける。上値志向は不変でも、当面底固めの先行を示唆していた。

10月第1週は大反乱した。米ドル/円の波乱につられた形で一旦93円関門割れがあったものの、大引けは95.31円と高く、週足では典型的な「スパイクロー」のサインを形成した。ただし、大波乱があったからこそ構造上の強さを維持し、これから高値再更新を果たす見通し自体は不変だった。

重視されたのは、一旦97円関門直前まで打診したことだ。豪ドル/円は横這いのレンジを形成しながら、上値志向を保ってきたため、これから新たなレンジ変動を形成してくと推測され、上放れ自体が本物のサインだった。この視点の変動なしでは、遅かれ早かれ再度高値トライに繋がる公算が大きい。

その根拠もこれまで繰り返し解説してきた。7月に96円関門前後で抵抗を確認、また7月28日の「スパイクロー」のサインが示した究極な底打ちがあって、その後93円関門前後の支持を確認できたところで大きなレンジを形成してきた経緯があった。

詰まるところ、7月最終週の週足ではより値幅の大きい大陰線を形成したことから「インサイド」のサインが形成され、9月末の高値トライは、同「インサイド」の上放れを示唆する値動きとして有力視されたわけだ。そのため、10月第1週の大波乱があっても、上放れが失敗したのではなく、あくまで途中の試練と受け止めている。

その半面、先々週から先週の値動きが示したように、大波乱の「後遺症」もしっかり残されている。中段保ち合いの延長や保ち合いの大型化、といった可能性に鑑み、再度上値トライ自体が出遅れる可能性がある。とはいえ、あくまで押し目買いのスタンスで臨む、というスタンスは不変である。

理論上では、97円大台の再打診があれば、99~100円といった新たなレンジの上限をトライできる。もちろん、これは年初来高値の更新を意味するため、現時点の辛抱がこれから高値を追う局面に繋がるだろう。しっかり押し目買いを行いたい。