結婚5年目で世帯資産3000万円を突破したりりなさん。前編では、資産を増やしたコツや銘柄選びのポイント、株式投資の楽しみ方をお聞きしました。後編では米国株投資を始めたきっかけや新しいNISAに対する考え方、失敗からの学び、投資初心者へのアドバイスをお届けします。

テスラが米国株の中で最も資産増に貢献

――どのようなきっかけで米国株を始めたのでしょうか。

2019年にバフェット太郎さんという方の著書『バカでも稼げる 「米国株」高配当投資』(ぱる出版)を読んだことがきっかけです。株式投資を始めた当初、米国株はハードルが高いと感じていたのですが、この本を読んで「そう言えば、スマホでアップルのiPhoneを使っているし、パソコンでマイクロソフトの製品を使っている」と思い、米国企業が身近な存在であることに気が付きました。

その年の12月から米国株投資をスタート。2020年3月のコロナショックで一気に含み損になりましたが、その後回復して資産拡大につながりました。

――米国株はどのような銘柄を保有していますか。

アップル[AAPL]やジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]、コカコーラ[KO]、マイクロソフト[MSFT]など。その中で最も収益が増えているのはテスラ[TSLA]。投資元金30万円に対して現時点で148万円の含み益が出ています。

その他、SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF[SPYD](ベンチマークはS&P 500 高配当指数)やインベスコ QQQトラストシリーズ1[QQQ](ベンチマークはNASDAQ100 インデックス)、バンガード・S&P500ETF[VOO](ベンチマークはS&P500指数)などのETFも保有しています。最近、バンガード・米国高配当株式ETF[VYM](ベンチマークはFTSEハイディビデンド・イールド・インデックス)が、連続増配している株の詰め合わせで、景気減退の局面でクッション材になると思い買い増しを検討しているところです。

――資産のうち現金保有の割合を教えてください。

現状、約2割を占めています。生活防衛資金12ヶ月分を確保した上で、余剰資金はできるだけ投資に回していきたいと考えています。

苦い経験によって「解放」され、今の投資スタイルに

――りりなさんにとって、投資する上で最大のリスクは何でしょうか。

頭の中がお金に支配されることです。自分の身の丈に合わない投資手法をとっていると、日常生活に支障を及ぼすことにもなりかねません。

私自身、信用取引をおこなっていた時期があるのですが、そのころは投資のことばかり考えていました。前場・後場が始まるタイミングにスマホのアラームが鳴るように設定して、取引し、後場が終わるとノートに振り返り事項を書き出して…。外出時もスマホで取引していました。

ビギナーズラック(初心者が往々にして得る幸運)により信用取引で1日に10万円勝てたこともあり、どんどんハマってしまったんです。その後、下落が続いて損切りができず、ロスカット。120万円ほどの損失だけが残り、ショックでした。しかし同時に「日々の緊張から解放されたな」と感じ、信用取引は自分には向いていないなと感じました。でも、この苦い経験があったからこそ、現状の現物株を長期保有する投資スタイルに辿り着いたのだと思います。

新しいNISAで教育資金も形成したい

――2024年から始まる「新しいNISA」をどのように活用したいと考えていますか。

私は成長投資枠で配当銘柄へ投資します。夫は成長投資枠では投資信託を購入する予定です。

新しいNISAでは、生涯投資枠の限度額に達しても一部を売却したらその分、非課税投資枠が復活するのがよいと思います。子どもが成長したら、一部を売却して資金を学費に充てるなど柔軟に活用したいと考えています。

――お子さまは現在2歳ですが、すでに教育資金についても考えていらっしゃるのですね。

はい。教育資金のために、これまではジュニアNISAを活用して240万円ほど運用してきました。現行のジュニアNISAは今年の年末で廃止されますので、来年からは新しいNISAの制度を活用していこうと考えています。

情報は「自分の場合」に置き換えて取捨選択

――子育てでお忙しい中、投資にかける時間をどのように捻出されていますか。

現状では投資にはほとんど時間はかけていません。すでに推し銘柄を保有しており、株式を買い増しする程度ですので。値上がり益目的で投資した銘柄もパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)や共立メンテナンス(9616)など大型株で長期を前提に保有しています。そのため、運用状況を時々チェックする程度で続けることができます。

――投資の情報収集の際に意識していることがあれば教えてください。

投資についての価値観や手法は一人ひとり異なり、正解はないものだと思っています。ですので、情報の発信者の経歴や属性を知り、「自分の場合はどうなんだろう」と考えるようにしています。

例えば、自営業の方や定年まで働き続ける可能性が高い方にとっては、iDeCo(個人型確定拠出年金)が活用しやすいかもしれません。でも、私は主婦なのでiDeCoの優先順位は低いと思っています。

情報を鵜呑みにするのではなく、自分に当てはめた場合を考えて、情報を取捨選択する必要があるでしょう。

――SNSやYouTubeなどで、積極的に投資やお金のことに関して情報発信されています。その理由とフォロワーからの反響をお聞かせください。

最初は家計管理を頑張りたいという思いで、家計の記録やモチベーションを保つために投稿していました。続けていくうちに、フォロワーの方々からコメントやDMをいただくようになり、私が投資を始めた時と同じように悩んでいる人がたくさんいることに気付きました。今は皆さんの役に立ちたい、仲間を増やしたいという思いで発信を続けています。

資産運用は子ども・孫…将来の世代のために

――今後の資産の目標はありますか。

まだ現状では明確な目標は掲げていません。と言うのも、今後、子どもが増えたらライフプランが大幅に変わるからです。子ども1人あたり多くの教育費がかかりますので、40代になって子どもの人数が定まった頃に目標を決めればよいと思っています。最終的には、増やした資産を子どもに生前贈与し、ゼロまで使い切って人生を終えたいと思っています。

――これから投資を始めようと考えている方(特に主婦やワーキングマザーの方々)へのアドバイスをお願いします。

まずは色々な手法を試して、自分に向いている投資手法を築くことが大事ではないでしょうか。資産運用はそれ自体が目的ではなく、自分のやりたいことを実現するための手段です。手段である資産運用のことで頭の中がいっぱいになって大切な人との時間を楽しめないなら、それは自分に向いていない手法でしょう。自分にとって大切なことを楽しみながら継続できる手法を皆さんにも見つけていただきたいと思います。

私は、親が楽しく資産運用をしている姿を子どもに見せることで、投資家マインドを子どもに引き継ぐことができると考えています。親が子に引き継ぐことで、その子が孫の世代に引き継いでいく…。そう考えると、現在の自分の行動が、将来に大きな差を生むことになると言えるでしょう。

自分のためだけではなく、家族・子ども・孫の世代のために勇気を出して一歩、投資の世界へ足を踏み入れてみるとよいと思います。

――本日はお時間をいただき、ありがとうございました。

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※本インタビューは2023年9月20日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。