5日移動平均線を下回って上放れに失敗
前回のコラムでは、上放れが成功したのかどうか、その注意点について移動平均線を使って解説しましたが、どのような結果になったのでしょうか。
前回のコラムの解説ポイントは、「5日移動平均線上を維持できるか」でした。また、「5日移動平均線上を維持できずに割り込んで戻せなくなるようですと、9月7日から11日にかけて下落したように、75日移動平均線辺りまでの下落が考えられ、売買タイミングに注意が必要」とも解説しました。
そして解説した通り、5日移動平均線を割り込んだ9月20日から値幅を伴う下落が発生して75日移動平均線を下回ると、9月22日には25日移動平均線も明確に下回って終える結果となっているのが分かります。
また、休み明けの9月25日には一旦25日移動平均線と75日移動平均線を上回る場面がありましたが、9月26日に下向きの5日移動平均線が上値の抵抗になると、再び5日移動平均線、25日移動平均線、75日移動平均線と3本の移動平均線を下回って終える結果となり、もち合いの上放れに失敗する結果となっています。
このように、もち合いを上放れても短期のトレンドを示す5日移動平均線上を維持できずに割り込んでしまうと、一気に売り物に押されて下落の勢いが加速することがあるため、このようなパターンを覚えておくと、高値掴みを避けたり、売り時を逃さないようにしたりすることが可能になるのではないかと思われます。
モメンタムの逆行現象が示した株価下落のサインが的中
また、前回のコラムで解説した逆行現象の発生も下落の勢いの加速を事前に示唆していたと言えるのではないでしょうか。
特に9月15日に株価が高値をつけた時点で、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、直近の高い水準に届いていなかったことから上昇の勢いが弱まっていることを示唆しているわけですが、その後のモメンタムを見ると、2本線ともに上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを下回っているのが分かります。
さらに、9月25日に反発に転じて25日移動平均線や75日移動平均線をわずかに上回った時でさえ、モメンタムはわずかに0ラインを上回りましたが、シグナルは0ラインに届いておらず、下落の勢いが強まる可能性を示唆していたと言えるのです。
そして翌9月26日は、米国株が反発して終えていたにもかかわらず、日経平均は小幅安で始まった後、モメンタムが低下して0ラインを再び割り込んだことから、値幅を伴う下落が発生し、この日の安値で終えていることが分かります。
このように米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合の後も下落が続いていることをテクニカル的に説明、または予測するためには、モメンタムのチェックが重要で欠かせないことが分かるのではないかと思います。
今後の展開、注目したい2つのポイントとは
では今後の展開についてですが、3本すべての移動平均線を下回って終えていることに加え、モメンタムも2本線が0ラインを下回っていることから、以下2つのポイントに注目したいと思います。
まず1つ目として、トレンドでは、下向きの5日移動平均線を上回って維持すること。2つ目は、モメンタムとシグナルが0ラインを上回って維持すること、です。
この2つが達成できれば、下降トレンドの発生は回避されると考えられるとともに、33,000円台を回復することも視野に入る反面、5日移動平均線を下回った状態が続くとともにモメンタムとシグナルの両方が低下を続けるようですと、32,000円を割り込むことも考えられるため注意が必要です。
特に今週は、期末、週末、月末、四半期末が重なる中、9月27日が決算銘柄の権利付き最終売買日で翌営業日が権利落ち日となります。権利落ち後に株価が5日移動平均線を上回るとともに、モメンタムが0ラインを上回って維持することができるかにも注目し、売買判断に役立てたいところです。