上放れが成功したかどうか、その判断材料とは?

3連休入り前となる9月15日に、7月3日と8月1日の終値と終値を結んだ上値の抵抗線をようやく突破してきました。きっかけとなったのが、9月11日に75日移動平均線上で下げ止まったことです。

この下げ止まりから翌営業日の反発に繋がると、9月14日には下向きの5日移動平均線を上回り、9月15日には窓をあけて株価が上昇して始まるとともに一気に上値の抵抗線を突破する結果となりました。

ただ、上値の抵抗線を突破するも3連休明けの9月19日には窓をあけ、反落して終えているのが分かります。

ではこのような状態の時、株価は上放れたと考えて良いのでしょうか。それとも上放れは失敗に終わってしまうのでしょうか?

そこで上放れが成功したかどうかの判断に活用したいのが、上向きに変化した5日移動平均線です。上向きに変化した5日移動平均線上を株価が維持するようですと、5日移動平均線の上向きが継続することになるとともに5日移動平均線の水準も切り上がるため、短期の上昇トレンドの発生が期待されるわけです。

一方で、5日移動平均線上を維持できずに割り込んで戻せなくなるようですと、9月7日から11日にかけて下落したように、75日移動平均線辺りまでの下落が考えられ、売買タイミングに注意が必要になります。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成

モメンタムとシグナルの逆行現象と下向きのクロスが発生中

そのような中、モメンタムとその移動平均線であるシグナルはどのようになっているのでしょうか。まずは水準から見てみたいと思います。モメンタムとシグナルの水準は、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを上回っているものの、9月4日に発生した高い水準を大きく下回っているのが分かります。

これは逆行現象になります。逆行現象は、株価が高値を更新しているにも関わらず、前の高い水準を上回ることができていない時に発生します。

この逆行現象は0ラインよりも上で発生しているため、上昇の勢いが鈍っていることになり、低下が続くと5日移動平均線を下回ることが視野に入る危険なサインと言うことができます。

さらに、モメンタムがシグナルを下回るクロスも発生しています。前回のコラムでも、同様にモメンタムがシグナルを下回るクロスが発生していると解説しましたが、その後下落が発生して75日移動平均線に到達しています。

このような状況から、モメンタムがシグナルを上回るクロスが発生するとともに2本線の水準が切り上がらないと、5日移動平均線を割り込むことが考えられるため、高値掴みを避ける必要があると判断できるわけです。

また、モメンタムとシグナルの両方が0ラインを下回って戻せなくなるようですと、下落の勢いが強まっていることになるため、さらに警戒が必要になると考えられます。

今週は週末にかけて米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合が予定されており、結果次第では上下どちらにも大きく動き出すことが考えられます。

そのため、イベント通過後も株価が上向きの5日移動平均線上を維持できるのか、またモメンタムとシグナルが水準を切り上げることができるのかに注目し、売買判断に役立てるようにしたいところです。