今週(9月1日~9月7日)の相場動向

相場回顧 BTC:決め手材料に欠き小幅レンジでもみ合い

ビットコインは小幅レンジでもみ合いとなった。注目された米8月雇用統計では失業率の上昇と賃金の伸び率の鈍化を受けて追加利上げ観測が後退した。雇用者数は堅調に増加したものの直近5ヶ月では最も少ない数値となり、過去の統計が下方修正されていることもあって需要の軟化傾向が示された。

9月4日は米国市場が祝日で薄商いの中、暗号資産ギャンブルサイトでのハッキング事件が嫌気されてやや売りが強まった。9月5日には、サウジアラビアやロシアによる原油減産継続によって原油価格が上昇し、インフレ懸念が高まって米国株とともに軟調に推移した。原油上昇に加えて、社債発行の増加やISM非製造業景況感指数が高水準となったことで米国金利が上昇し、その後も弱含みの展開となった。

先月発表されたコインベースのレイヤー2ネットワークで障害が発生したことも投資家心理を冷やし、週末にかけてはG20サミットにおける暗号資産規制の議論を見極めようと様子見ムードが広がった。

 

来週(9月8日~9月14日)の相場予想

BTCは米8月CPIの伸び加速が継続した場合の売りに警戒、ECB理事会にも注目

原油上昇によってインフレの長期化が懸念される中、来週9月13日は米8月消費者物価指数(CPI)の発表を控える。前月の発表では市場予想を下回ったものの13ヶ月ぶりに伸びが加速した。今回もその傾向が続いた場合、インフレ懸念によって米国金利が上昇し、リスク資産の売りが強まることは考えられる。

また欧州中央銀行(ECB)理事会では10会合連続の利上げが行われるかが注目されており、追加利上げが決定された時には短期的に売りが強まる可能性がある。ただし、その後にラガルドECB総裁が利上げ停止の可能性を示唆した場合、相場の反応はまちまちとなるだろう。

ブラックロックやフィデリティなどのビットコイン現物ETFの審査が10月まで延期となり、その実現に向けた期待は一服している。しかし、グレースケールが勝訴後、ビットコイン投資信託のETF転換について米証券取引委員会(SEC)に対して早急な対応を求めており、再審査に関して新しい動きが見られた時には相場がポジティブに反応することは考えられる。

今週末にインドで開催されるG20サミットでは、国際通貨基金(IMF)と金融安定理事会(FSB)が作成した共同文書をもとに暗号資産に関する規制の枠組みが議論される予定である。今後の規制の方向性を見定めるためにもどのような協議が行われるかは注視したい。

直近、上値として前月の高値付近であるBTC=420万円(28,500ドル)、下値として2023年6月の底値付近であるBTC=369万円(25,000ドル)を意識する。