9月の介入でも止まらなかった円安は10月の介入で円高へ急反転=2022年
2022年の米ドル高・円安は、日本の通貨当局による米ドル売り・円買い介入をきっかけに10月151円で終わると、その後は2023年1月にかけて127円まで大きく米ドル安・円高に戻した。この円安から円高への急反転において、重要な分岐点になった可能性があったのが120日MAだった。
この局面での最初の米ドル売り介入は、9月に145円程度で行われた。ただ、それでも米ドル高・円安は止まらなかった、10月にかけて150円を超えたところで改めて米ドル売り介入が行われ、米ドル高・円安から米ドル安・円高へ反転した。
この為替介入への米ドル/円の反応で注目されたのが、120日MAとの関係だった。最初の9月の米ドル売り介入では、米ドル/円は120日MA割れまで反落することがなかったのに対し、10月の介入では米ドル/円は120日MAを大きく割り込み、そこから一段と米ドル安・円高が加速した(図表1参照)。
円安再燃と円高への反転、その違いは120日MAとの関係
実はこのプライスパターンは、2024年の介入局面でも基本的に同じだった。この年の最初の介入は4月末に160円で行われた。それを受けて米ドル/円は一時150円割れ近くまで急落した。ただし、それでも120日MA割れまでには至らなかったため、米ドル高・円安は再燃した。これに対して、7月に再び160円を超えたところで介入が行われると米ドル/円は急落し、今度は120日MAも割り込み、そこから米ドル安・円高が一段と急加速するところとなった。
以上のように、2022年と2024年の介入局面ではともに、介入後に米ドル/円が120日MAを割らなければ、米ドル高・円安は再燃した。一方、120日MAを割れると米ドル高・円安は再燃せず、米ドル安・円高への反転が拡大した。つまり円安から円高への反転においては120日MAが重大な分岐点になっていたわけだが、それはなぜか。
代表的な投機筋、ヘッジファンドの損益分岐点の目安が120日MA
120日MAは代表的な投機筋であるヘッジファンド(以下ヘッジF)の損益分岐点と見られている。その意味では、ヘッジFの米ドル買い・円売りポジションは、120日MAより米ドル高・円安で推移している間は含み益になっているものの、120日MAより米ドル安・円高になると含み損に転換する可能性がありそうだ。
そう考えると、米ドル/円が反落しても120日MAを割らなければ含み益に変わりはないため、米ドル買い・円売りポジションは維持される。これに対し、120日MAを割れると含み損に転換するため、さらなる損失拡大を回避しようと米ドル買い・円売りポジションの処分、つまり米ドル売り戻し、円買い戻しを急ぐことから、米ドル安・円高が加速したということだったのではないか。
2022年の介入局面程度まで拡大してきた円売り=120日MAは足下156円半ば
2026年に入り、1月の日米「レートチェック」などをきっかけに米ドル/円が反落する場面があった。しかし、120日MAを大きく割り込むまでには至らなかった。またこの頃までは、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションを参考にする限りでは、円の売り越しは2022、2024年の円安阻止介入局面に比べると小幅に過ぎなかった(図表2参照)。小幅な円売りポジション、そして米ドル/円が損益分岐点の120日MAを大きく割れるまで下落しなかったことで、その後も最近にかけて米ドル買い・円売りが続いたと考えられる。
ただ4月7日時点で、投機筋の円売り越しは9.3万枚まで拡大した。2022年の円安阻止介入局面に近い水準まで、米ドル買い・円売りポジションが拡大してきた。その米ドル買い・円売りポジションの損益分岐点の目安、120日MAは足下で156円半ば程度である。
以上からすると、この先円安の反転局面となった場合は、120日MAを割れた際に、米ドル買い・円売りポジションの損失拡大の可能性が出てくるかが、円高への反転が本格化するかの分岐点になるのではないか。
