・米国においては、景気後退が起こる可能性を言われ続けている。一般的に景気先行指数が下落し、リセッションに入る。景気一致指数はリセッションに入ってから軟調になるものと言われている。今回も早い時期から景気先行指数が下落基調なので、景気後退が来るのではないかと考えている。NY連銀の景気後退確率も、その確率が今までにないくらい高い状況。

・しかし、実体経済の景気一致指数は非常に堅調で減速の兆しは全く見られない。代表的なものとして小売売上高はコロナ以前のトレンドを大きく超えてきている。米国では財政の支援があり購買や需要の先取りもあった。これが収束すると考えていたが、経済再開に伴いモノからサービスへ移行して、一段と堅調な状況が続いている。

・もうひとつ堅調なのが労働市場。これからまずはコロナ以前の状況に戻っているが、軟調に推移しても景気後退に入るのはまだ距離があるだろう。景気後退にはいる経験則上の位置まで距離は少しありそうで、軟調に、しかし不況に入るわけではないというステータス。

・いまは、実体経済の鈍化を見守る局面に来ている。実体経済が軟調に推移したとしても、先行指数が反発をしないといけない。堅調な株式市場が持続するにはそれなりのハードルがあり、それは新たな景気サイクルに入る必要があるということだ。

・過去と現状が違う点というのはいくつかあるが、金融政策の経験則として、利上げ後にソフトランディングしたことはまれで、基本的には景気後退してきた。それを留意したい。しかし、経済活動の水準が高まっているので、調整しても深刻なものにはならないだろう。

・投資戦略的な観点では、経済指標の鈍化が歓迎されるというのはリスク資産、債券市場も同様なので、引き続き注目してほしい。