フォロワー数約16万人のインスタグラムやブログ「整えて貯める暮らしのコツ─えまの家計簿─」で家計管理や節約術、投資情報などを発信する、えまさん。「学生時代は浪費家だった」と話すえまさんが、投資を始めたきっかけや、家計を工夫して投資資金を捻出するポイント、10年間で約600万円のリターンを手にした投資術などをうかがいました。
●えまさんプロフィール
フルタイムで働く30代ワーキングマザー。東京都在住。夫と子ども2人(小学生と保育園児)の4人家族。出産を機に真剣に家計管理を始め、先取り貯蓄で毎月確実に貯まる家計に変身させる。20代前半から株式投資をスタートし、2020年には155万円、2021年は322万円のリターンを得ることに成功。著書に『忙しい人ほどマネしてほしい お金が増える暮らしのルール』(KADOKAWA)など。
社会人1年目、先輩の影響で浪費家から意識改革
――えまさんが株式投資を始めたのは20代前半だそうですが、きっかけを教えてください。
株式投資に興味を持ったのは、社会人1年目です。職場の先輩が投資を行っていて、「利益が出ている」と聞き、やってみたいと考えました。
――ご著書などでも明かされていますが、学生時代はかなり浪費家だったとか。
大学時代から一人暮らしをしていましたが、当時は貯金がゼロでした。それでも「バイト代でなんとかなる。いざとなれば親の資金もあてにできる」と思っていました。
ですが、社会人になったことで、「今のうちにお給料だけで生活できる基盤をつくらないといけない」という危機感を持つようになったのです。とにかく1年間はお金を貯めようと決めて、家計簿をつけ始め、節約のために自炊をし、クレジットカードも整理。洋服代や美容院代も減らし、着ない服は売るなど、ずいぶん意識が変わりました。
――20代前半だと、まだまだ洋服やブランド品が欲しいお年頃ですよね。支出をコントロールするために、どんな工夫をされたのでしょうか?
まずは「どこを整えて、どこにお金をかけるか」という軸を決めました。そのうえで、何にいくら使うかという予算の割り当てをし、その予算の中で妥協するところと、お金をかけるところを決めました。私の場合は、コートとバッグは良いもの(お金をかけるところ)、コートの中に着る服はプチプラも活用すると決めることで、不満を溜めない工夫をしました。
1銘柄ずつ購入し、プラス3%の利益で売却
――実際に投資を始めたのはいつ頃ですか。
2011年2月です。一般財形と普通預金が貯まり、投資資金ができたので日本株を購入することにしました。投資を始める前に、投資の超基本を解説する本やマネー誌などを読んだのですが、言葉も用語も難しくて…。それでも、とにかくやってみようと思い、興味があって情報収集しやすそうな美容やファッション系の銘柄を購入しました。
ところが、投資を始めて1カ月後に東日本大震災が起きました。しばらくしてから株価をチェックしたところ暴落。「売ったほうがいいのかな」と迷いながらも決心がつかずにいると株価が戻っていたので、売却しました。こうした経験もあって、あえて下がった株を買って上がったタイミングで売るという投資をしている時期もありました。
ただ、だんだん仕事が忙しくなるとデイトレード投資を続けることが難しくなり…。その一方で先取り貯蓄は継続していたので、お金は貯まっていきます。そこで、ある程度、投資資金が貯まると気になる企業の株を1銘柄買うというサイクルで投資するようになりました。
――1銘柄ずつ購入する投資サイクルを実践されたのですね。
2014年頃には、配当金や株主優待を受け取ることができるようになったのですが、そのころ選んでいた銘柄は、私が生きている間に倒産することはないだろうと思われた大企業です。中長期に保有することを前提に、数ヶ月に1回株価をチェックして、プラス3%くらいの利益が出ていれば売ってもいいという自分ルールを決めました。すると徐々に利益が増えていきました。
1本で分散投資ができる投資信託に開眼
――現在のポートフォリオを拝見すると、リスク資産の約9割が投資信託ですが、いつ頃から、どんなきっかけで投資信託への投資を始めたのでしょうか?
インスタグラムで「つみたてNISA」というキーワードを見かけるようになって興味を持ち、つみたてNISA口座を開設したのが2019年頃です。その流れで、投資信託や積立投資と出会いました。海外には右肩上がりの成長を続けている様々な企業があると知り、海外の株式にも投資したいと思い始めていた時期でもあります。
そのころ感じていた課題として、日本の個別株に投資するにはある程度のまとまった資金が必要なため、分散投資ができていないと感じていました。その点、たとえばS&P500指数に連動するインデックス投信であれば、1本で米国を代表する500社に分散投資することができます。そこで分散効果などを期待していたことと運用資金の都合もあり、日本株の個別株を売却し、インデックス投信に資金を移していきました。
――現在は資産全体の8割近くをリスク資産で運用されていらっしゃるそうですね。
ただ、いざという時に備えて「生活防衛費」として生活費1年分と、家族の誕生日プレゼントや帰省費用など大きな支出に備える「特別費」は、現金で確保しています。我が家では、「生活防衛費」は、生活費(月額30万円)×12カ月+「もしもの時のお金」150万円=510万円、「特別費」は65万円ほど用意しています。
日本の個別株に投資していた時には、資産全体に占める現金比率が7割程度あったのですが、投資信託の運用成績が良かったこともあり、2020年から現金を少しずつ投資信託にシフトしました。
10年で600万円の利益を達成!
――えまさんは10年間で約600万円の利益を得ていらっしゃいますが、なかでも2020年に約150万円、2021年に約320万円の利益をあげた秘訣を教えてください。
コロナ禍で自宅にこもるなかで、任天堂のゲーム機「Switch」の需要に注目しました。感染拡大で株式相場全体が下がった際に任天堂の株を買い、値上がりしたところで売却したのですが、その利益が大きいですね。オリエンタルランドやメルカリの株も利益に貢献してくれました。
ただ、この投資方法はストレスも多かったですし、分散投資とも言えませんので、最近は、新たに日本の個別銘柄に投資することはほとんどありません。米国株に投資するインデックス投信の積立投資は、中長期的に続けることで資産が右肩上がりに増えることが期待できると考えています。そのため現状では、米国株に分散投資するETFや投資信託を中心に選んでいます。ETFについては「このくらいまでは上がるだろう」と想定し、その通りに動いた場合には売却することもあります。
仕事や育児、家事に忙しい私には、投資のことばかり考える生活はできません。投資を10年間続けて、「ほったらかし投資」に行き着いたという感じです。
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※本インタビューは2023年6月28日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。