3万2000円の下値固めを期待

今週の日本株相場は下値を固める展開か。日経平均はダブルトップ完成後、レンジ相場に移行し、調整局面入りの様相となってきたが、そのレンジの下限が3万2000円である。3万2000円を下回ると押し目買いが入り、下値目途と意識されてきた。日銀のYCC修正や米国債格下げなどショックイベントが続いたが、その水準を明確に下回ることなく今に至っている。今週も神経質な展開が続くことが予想されるが、3万2000円の大台固めを期待したい。

もっともTOPIXは日経平均とはチャートの形状が異なり、8月に入って初日の1日に1990年7月以来となるバブル経済崩壊後の高値を更新した。その後の押しも7月の安値を下回らずに全体として右肩上がりの基調を維持している。金利上昇で銀行株が買われていることに加え、トヨタ(7203)、ソフトバンクG(9984)、三菱商事(8058)など時価総額の大きい銘柄が高値圏にとどまり、値が崩れていないこともTOPIXを支えている要因だ。

米CPI発表後の市場反応に注意

今週の注目イベントは10日の米国消費者物価指数(CPI)の発表だ。エネルギー・食品を除くコア指数の伸びは前年同月比+4.8%と前月と横ばいが見込まれている。一方、総合は前年同月比+3.3%と6月から加速する見込み。CPI 総合の前年同月比は1年余り前からずっと鈍化基調にあったが、それが途切れるとなると再度FEDの利上げ長期化懸念を誘いかねない。市場予想の範囲内であれば問題ないと思われるが、万が一、上振れた場合の市場反応には注意が必要だ。

その他の予定では7日に日銀金融政策決定会合の「主な意見」、8日に毎月勤労統計調査、景気ウォッチャー調査、9日に工作機械受注、中国のCPI並びにPPI、11日に米PPI、ミシガン大学消費者信頼感指数などが主なところ。

日本株相場の底堅さの背景には好調な企業業績がある

決算発表については米国では概ね一巡し、今週はウォルト・ディズニー[DIS](9日)くらいしかめぼしいものがないが、国内では決算発表のピークを迎える。7日には大成建(1801)、レーザーテック(6920)、東京海上(8766)、8日には資生堂(4911)、ダイキン(6367)、NTT データ(9613)、ソフトバンク G(9984)、9日にはソニー(6758)、ホンダ(7267)、NTT(9432)、10日にはENEOS(5020)、日本郵政(6178)、東京エレク(8035)、第一生命(8750)などがある。新興市場でも8日にJTOWER(4485)、9日にはカバー(5253)といった注目企業の決算がある。

企業業績について日本経済新聞が決算の集計結果を報じている。4日までに4~6月期決算を発表した東証プライム上場の3月期企業621社(社数で全体の5割)を集計したところ、純利益は20%増え、2四半期連続の増益となった。4~6月期の増益率としては、新型コロナウイルス禍から急回復した21年を除けば6年ぶりの高水準だという。この企業業績の好調さが日本株相場の底堅さの背景にある。仮に今週、米国のCPIが波乱材料になったとしても、日本株はレジリエントさを発揮するだろう。

予想レンジは3万1900円~3万3000円とする。