ネックラインを上回った状態が続くも、株価水準を切り上げられるか
前回のコラムでは、「リターンムーブ」の動きの発生から「25日移動平均線を上回ることができるかがリターンムーブを打ち消すカギになる」と解説しましたが、7月25日時点で6月19日の高値と7月3日の高値の間の安値であるネックラインを上回っているものの、下向きの25日移動平均線に上値を押さえられる展開が続いているのが分かります。
一方で、緩やかな上向きを続ける5日移動平均線上を維持しており、ちょうどこの2本の移動平均線に挟まれた状態となっています。
そのような中、今週は日米欧の中央銀行が金融政策を発表する予定となっており、7月25日と5日移動平均線のどちらかをブレイクするきっかけになるのではないかと思われます。
仮に25日移動平均線を上回って維持するようですと、リターンムーブとダブルトップが打ち消されることになり、高値に接近したり、上回ったりすることが視野に入りそうです。
しかし、5日移動平均線を下回って戻せなくなるようですと、7月12日の安値に接近したり、下回ったりすることが考えられ、リターンムーブが完成する可能性が高まりますので、押し目買いは控えるか、慎重に行う必要があるのではないかと思われます。
ただし、5日移動平均線を下回っても、7月12日の終値を下回った状態が続かなければもち合いが継続することになりますので、売買タイミングにも注意が必要です。
モメンタムの上昇が続くか要注目
では、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムの動きはどうなっているのでしょうか。モメンタムとその移動平均線であるシグナルを見ますと、株価がリターンムーブを形成する中、2本線ともに上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを上回っています。
このように、リターンムーブの発生から短い期間でも株価が横ばいになると、下落の勢いが弱まって上昇の勢いが徐々に強まっているのが分かります。
仮にモメンタムとシグナルの上昇がこのまま続くようですと、25日移動平均線を突破してリターンムーブを打ち消し、高値に接近したり、上回ったりすることが期待されます。しかし、モメンタムが上昇しても限定的だったり、下向きに変化して0ラインを下回って戻せなくなったりするようですと、下落の勢いが強まり、5日移動平均線を下回るとともに、7月12日の終値を割り込んで、リターンムーブが完成することになりますので、買いポジションを持っている投資家は注意が必要です。
今週発表される各国中央銀行の金融政策がどのような結果になっても、株価の反応に注意し、上手く売買できるようにしたいところです。