4月27日付のコラム「新しいNISA、成長投資枠では何を買える?」を公開以降、具体的な対象商品リストなどが公表されています。今回は「新しいNISA」にまつわるその後の動きや、押さえておきたいポイントについてフォローアップします。

一般NISAで買える商品から一部を除外

2024年からスタートする新しいNISAにはつみたて投資枠(年間投資枠の上限は120万円)と成長投資枠(同240万円)の2つの枠が設定されます。つみたて投資枠だけを利用する、成長投資枠だけを利用する、両方の枠を一緒に使うといった様々な選択肢があります。今回は成長投資枠で購入できる商品について解説します。

成長投資枠は従来の一般NISAとほぼ同じ商品が購入できます。例えば、上場株式(日本株式や外国株式)、ETF(上場投信)、REIT(上場不動産投信)や公募株式投資信託などです。ただし、例えば、株式投資信託・ETF(国内・海外)については下記要件が加わりました。

・信託期間が無期限または20年以上
・決算頻度が毎月でないこと
・ヘッジ目的の場合を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと

このような要件が加わったことで、一般NISAで購入できた一部の商品が成長投資枠では買えなくなります。では、どういう投信が対象になるのか、またはならないのでしょうか。

成長投資枠で購入可能な対象商品リスト

第1弾として、6月21日に投資信託協会がホームページに新NISA「成長投資枠」の対象商品リスト(第1弾)を公表しました。公表されたのは「投資信託(非上場) 対象商品リスト」と、「上場投資信託(ETF)・上場投資法人(REIT等) 対象商品リスト」の2つです。

その後10月2日に更新された第5弾では、公募投信 1,682本、そしてETF・REITの合計 277本になりました。具体的な商品名などはNISA成長投資枠の対象商品リストのURL(※)にアクセスすると確認できます。

成長投資枠の対象商品については「事前に個別に要件該当性を判定することは金融庁も投資信託協会も行わない」ということなので、各運用会社が自社で運用している投資信託について、約款をみて要件に合致しているかを判断し、投信協会に届け出ます。そして、投信協会は運用会社から届出のあった投資信託をそのままウエブサイトに掲載する形になっています。

投信の対象商品リストはエクセルで一覧表となっていて、ダウンロードも可能です。運用会社ごとに商品が並んでいます。商品名の他、投信の設定日や償還日(無期限のものは空欄)、決算回数、つみたて投資枠の対象か対象外か、といった項目別にまとめられています。

【図表】投資信託(非上場)対象商品リストのイメージ
出所:筆者作成

リストには現時点では成長投資枠の要件を満たしていなくても、約款変更を行うことで対象商品となる見通しの商品も含まれています。例えば、毎月分配型の投信が年1回決算型へ移行を予定している場合や、成長投資枠の取扱日に信託期間が20年に満たない投信を無期限に変更するといった場合です。その場合には「要件適合日」(要件適用になる予定の日)も記載されています。

ただし、投資信託協会が公表するのは国内籍の公募投資信託、ETF、上場投資法人(REITやインフラファンド)に限られます。「成長投資枠の対象商品リストを公表」という報道がなされ、「成長投資枠では投資信託やETF、REITなどしか買えないのですか?」という質問をいただくこともありますが、そんなことはありません。前述のように、整理・監理銘柄に指定されているものを除き、国内外の上場株式などを買うことはできます。

商品リストは12月まで毎月1回、投信協会のホームページに追加・公表される予定なので、今後も増えていく見通しです。そのため、2024年1月から成長投資枠で購入できる商品は、12月になるまで全容はわかりません。また、その中で、各販売金融機関がどのような商品を取り扱うかも、確認する必要があります。

(※)NISA成長投資枠の対象商品リスト
https://www.toushin.or.jp/static/NISA_growth_productsList/

※本記事は2023年6月29日に公開し、2023年10月6日に更新しました。更新時点の情報となります。