今週(6月16日~6月22日)の相場動向
相場回顧 BTC:ビットコイン現物ETFへの期待により高騰
ビットコインは米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて年内追加利上げへの懸念が強まり下落していたが、BTC=355万円(25,000ドル)付近では底堅く推移した。世界最大の資産運用会社であるブラックロックがビットコインの現物ETFを米国で申請し、SNSを中心にETF承認への期待が高まったことで次第に買いの勢いを強めた。大手暗号資産取引所バイナンスと米SECとの間で米国顧客資産の保全に関する合意が結ばれたことも安心感に繋がり、欧州においてドイツ銀行が暗号資産カストディ免許を申請したとの報道も好感された。
その後、6月20日にはインベスコとウィズダムツリーが、6月21日にはヴァルキリーがブラックロックに続いてビットコインの現物ETFを米SECに申請し、これらの動きに合わせてビットコインはBTC=426万円(30,000ドル)付近まで高騰した。
注目されたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の半期に一度の議会証言では年内2回の追加利上げの可能性が改めて示唆されたが、FOMC後の発言から大きなサプライズはなかった。ビットコインの現物ETFへの期待が増す中、ビットコインのドミナンスはおよそ2年ぶりに50%を上回った。
来週(6月23日~6月29日)の相場予想
BTCは現物ETFへの期待買いが先行するもSEC訴訟問題がネックか
金融市場ではパウエルFRB議長発言などから米国における年内2回の追加利上げが大方織り込み済となっている。次回FOMCにかけて雇用統計や消費者物価指数の内容に左右される展開は続くものの、今月のイベント通過によりリスクオン買いが強まることは考えられる。
四半期末となる月末にかけて株式のリバランス売りが強まり、ビットコインも同様に売られる可能性はあるが、調整が入っても下げ幅は限定的だろう。来週は米5月個人消費支出(PCE)の発表があり、消費の堅調さやインフレの鈍化を示す内容となった場合には、相場はポジティブに反応するだろう。
ブラックロックをはじめ、米国の資産運用会社によるビットコイン現物ETFの申請が相次いだことで、米国でいよいよ現物ETFが承認されるのではとの期待買いが先行している。このまま短期のうちにビットコイン現物ETFが承認となれば相場を一気に押し上げる起爆剤になるだろう。
一方、ブラックロックがカストディとして利用するコインベースはSEC訴訟問題を抱えており、その問題の解決なしにETF審査が通ることは考えづらいため、審査延期などによる失望売りには前もって注意が必要である。
直近、上値として2022年5月高値付近であるBTC=454万円(32,000ドル)、下値としてレンジ半ば付近であるBTC=398万円(28,000ドル)を意識する。