東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに大幅反発となりました。286円高の31,927円で寄り付いた日経平均は取引開始から20分余りで598円高の32,240円まで上昇した後一旦伸び悩みました。しかし、節目の32,000円を下回ることなく堅調に推移すると後場に入ってさらに上げ幅を広げました。大引け間際に662円高の32,304円まで上昇した日経平均は結局623円高の32,265円と32,000円台を回復して取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

NTT(9432)が一時2.6%高となりました。2023年度中にも独自開発した生成人工知能(AI)を企業向けビジネスとして展開すると伝わったことを材料視した買いが入りました。リサイクルショップを運営するトレジャー・ファクトリー(3093)も一時3.5%高となりました。気温が高く夏物衣料の販売が好調だったことや、外国人観光客向けの販売が伸びブランド品も引き続き好調に推移したことなどで5月の既存店売上高が前年同月比で7.6%増となったことから買いが優勢となりました。

本決算を発表した美容サロン向けに商材を販売するビューティガレージ(3180)も一時10.2%高となりました。電子商取引(EC)サイトの利便性改善や品ぞろえを拡充させることなどで2024年4月期の営業利益が前期比で15%増となる見通しを示したことから大幅高となりました。

また、投資判断や目標株価の引き上げを受けてダイキン工業が目標株価の引き上げを受けて一時4.2%高となり、コナミグループも投資判断と目標株価の引き上げを受けて一時5.9%高となり年初来高値を更新しています。

一方で積水ハウス(1928)が一時2.2%安となりました。戸建て住宅などで資材価格が高騰したのが響き第1四半期の営業利益が前年同期比で36.5%減となったことから売りが優勢となりました。東証スタンダード市場では第3四半期決算を発表した通信計測器のアルチザネットワークス(6778)が一時5.6%安となり年初来安値を更新しました。主力のモバイルネットワークソリューション事業が国内外で伸び悩んでいることなどで通期の業績予想を下方修正したことから大幅安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は623円高となりました。米新規失業保険申請件数が市場予想以上に悪化し労働需給の緩和を示す内容となったことで金融引き締め長期化への懸念が後退し昨日の米国市場が上昇したことから買いが優勢となりました。

また、メジャーSQを無難に通過したことや、昨日と一昨日の2日間で860円ほど下げ、調整一巡感が出ていたこともあり、上げ幅を広げ32,000円台を回復しました。その結果、週間ベースでは740円高となり9週連続の上昇となりました。そのため10週連続上昇への期待も高まりますが、来週は5月の米消費者物価指数の発表に加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)や欧州中央銀行(ECB)理事会、日銀の金融政策決定会合の結果発表など重要イベントが目白押しです。

こうしたなかで上昇トレンドを維持し6日に付けたバブル崩壊後の高値(32,506円)を上回ってさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)