モトリーフール米国本社、2023年4月23日 投稿記事より

主なポイント

・メタ・プラットフォームズは、積極的なコスト削減策により利益成長を取り戻す見通し
・2022年に大幅下落したペイパル・ホールディングスの株価には割安感がある

ハイテク株が売られる中、メタ・プラットフォームズとペイパル・ホールディングスは業績回復に伴って株価が反発する公算が大きい

昨今、ハイテクセクターの中から掘り出し物を見つけるのは簡単なことではありません。

ハイテクセクターの多くの銘柄で株価が急落し、バリュエーションが落ち込んでいますが、その一因は、ソフトウェア、eコマース、デジタル広告など、パンデミックの期間中に好調だった分野の成長見通しが不透明なことにあります。

それでも、将来の成長が見込まれ、株価の下落で割安になっている銘柄は存在します。その中から、2社を紹介します。

メタ・プラットフォームズ

フェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズは、2022年の大半を通じて株価が大幅に下落しました。新事業であるメタバースから期待される結果を得ることができず、またTikTokに市場シェアを奪われ続けていることが原因です。

しかし、同社が過去の失敗を取り戻すための対策を取り始めたことで、この半年間に株価は劇的に回復しています。

2022年11月以降、同社は2度にわたって大規模な人員削減計画を発表し、オフィススペースを縮小しています。マーク・ザッカーバーグCEOは、2023年を効率化の年にすると繰り返し宣言しています。

しかし、株価を押し上げているのはコスト削減だけではありません。メタ・プラットフォームズは人工知能(AI)への投資を進めており、数週間前には最新の大規模言語モデル(LLaMA)を発表したばかりです。また、TikTokに対抗して導入したショート動画「リール」は、年内にも赤字が解消し、2024年には利益が拡大する見通しです。

メタバースを手掛ける「リアリティ・ラボ」部門は2022年に140億ドルの損失を出しましたが、経営陣は全社の営業利益を伸ばすために、メタバースにおいても支出を抑制する意向を明らかにしています。

足元の株価収益率(PER)は25倍であり、割安とは言えないかもしれません。しかし、コスト削減策や、リールの収益性改善により、同社は利益成長を取り戻すと思われます。さらに、アップルが広告トラッキングの透明性に取り組んだことによる直接の逆風も一巡し、比較が容易になっています。メタ・プラットフォームズは、長期的に見た景気回復やデジタル広告の復調からも恩恵を受けるとみられます。

数四半期にわたって売上高の伸び悩みと利益の減少が続いていましたが、アナリストは2023年下半期には利益が増加に転じると予想しています。アナリストのコンセンサス予想では、2023年の1株当たり利益(EPS)は12.43ドルとされています。この数字に基づくと予想PERは17倍となり、メタ・プラットフォームズの競争優位性や、収益性向上に向けた新たな取り組みを考えると、決して割高ではありません。

ペイパル・ホールディングス

弱気相場で打撃を受けたもう1つの注目ハイテク株は、デジタル決済プラットフォーム大手のペイパル・ホールディングス(以下ペイパル)です。同社の株価は2021年に付けた過去最高値から76%も下落しています。パンデミック後の正常化に伴ってeコマースの成長は鈍化しており、これはデジタル消費にとって逆風を意味します。しかも、ペイパルはアップルに市場シェアを奪われています。

とはいえ、ペイパルが苦戦を強いられている最大の理由は、世界経済と、世界各地で景気後退が懸念されていることにあると思われます。

こうした逆風にもかかわらず、ペイパルの2022年第4四半期売上高は9%増を達成し、決済総額は9%増の3,574億ドルとなりました(いずれも為替変動の影響を除く)。

2022年の調整後EPSは10%減の4.13ドルとなりましたが、経営陣の計画では、コスト削減などにより2023年の利益は増加に転じる見通しです。会社側は、2023年の調整後EPSを18%増の4.87ドルと予想している他、2023年にはフリーキャッシュフローの75%を自社株買いに充てる計画です。同社は過去数年間にわたり、同様のペースで自社株買いを継続していますが、バリュエーションが低下している今は自社株買いに最適なタイミングかもしれません。

足元の予想PERはわずか15倍です。現在の経済状況やアップルの脅威といった課題はありますが、規模が大きく、成長している市場におけるペイパルの地位を考えると、割安と言えるかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。フェイスブックの元市場開発担当ディレクター兼スポークスマンであり、メタ・プラットフォームズのMark Zuckerberg CEOの姉であるRandi Zuckerbergは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Jeremy Bowmanは、メタ・プラットフォームズ、ペイパルの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアップル、メタ・プラットフォームズ、ペイパルの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、以下のオプションを推奨しています。ペイパルの2023年6月満期の67.50ドルプットのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。