週末に、円山応挙の襖絵を見るだけのために山陰に行って来ました。場所は兵庫県の日本海側の香住というところにある大乗寺という真言宗のお寺なのですが、折角そこまで行くなら、しかもこの季節に行くなら、ということで、鳥取に飛び、先ずは松葉ガニ(ズワイガニの雄、山陰での呼び名)を食し、満足して一泊しました。
翌朝香住まで行き、応挙とその弟子達によるお寺全体を使った襖絵による立体曼荼羅と、何よりもその素晴らしい構成と超絶の技法、そして滲み出るような襖絵の佇まいに圧倒され、感嘆しました。応挙は空間デザイナーとしても類い稀な才能を持っていたようで、現地には来ないで京都の工房で、この大乗寺の各部屋の構造や、日の光の入り方まで考えて、襖絵全体の構成とデザイン、墨の使い方まで考えたようで、驚きです。八方睨みという、フェルメールも真っ青の独特の錯覚を用いた描画技法も所々に使っていて、驚きの連続です。遠い目的地でしたが、ここまで来た甲斐が本当にあったと、心底思いました。
そして最後は空港へ帰る途中、時間がちょっとだけあったので、鳥取砂丘で遊んで走って、心身共に満足して帰ってきました。あ!もうひとつあった。初日の松葉ガニの前に、ちょっと時間があったので鳥取城趾に行ったのです。これが、期待もせず、予定もなく行ったのですが、驚きの場所でした。天守閣等は残っておらず、再建もされていないのですが、石垣が圧巻です。
山の麓から中腹に掛けて造られた城は、山から下りてくる水が城壁内の地盤に貯まるので、城壁をその圧力に耐えられるように補強せねばならず、石垣の形が反っていて、それはあたかも黒四ダムの反り方にそっくりで、構造力学の工夫が目の当たりに見ることが出来ました。更に、巻石垣という球状に石垣を組んで本来の石垣を押して、水圧に負けて崩れないように支えている仕組みがあることにも、その様相にも驚きました。人間の知恵が自然と闘う様子が如実に表れていました。
山の斜面に何層にも重なって造られた石垣の様子は、行ったことありませんがマチュピチュのようで、こんなに素晴らしいスポットがあるのかと感嘆しました。全部まとめて丸一日程度の短い旅でしたが、とっても充実していたのでした!