米ドル/円 日足

週間予想レンジ:139.50~143.50

メインストラテジー:戻り売り&レンジ取引

・米ドル高の行き過ぎが鮮明に
・米ドル全体も買われ過ぎ
・政府牽制の効き目も

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週大きく続伸した後、9月9日に反落した。週足では「スパイクハイ」のサインを点灯させ、日足では「インサイド」の下放れを果たし、上昇一服を示唆した。

もっとも、先週週明けから9月7日までの上昇は急であった。9月6日の大陽線があって、翌日一気に145円関門をトライ、「ジャクソンホール・ショック」の延長として最大限の効き目を発揮していた。9月9日発表の米雇用統計が予想通りの内容となったため、米9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%利上げといった大勢の予測がやや後退したように見えたが、先週また蒸し返され、米長期金利の上昇とともに米ドル買いに圧倒され、ショート筋も総踏み上げされたと推測できる。

その反面、米ドル全体の続伸と相まって、米ドル/円は高値更新後更なる大幅急伸を達成しただけに、クライマックス的な雰囲気を醸成していた。だからこそ、9月8日では小動きで、前日と「インサイド」のサインを形成し、そして9月9日にて黒田総裁による円安牽制の発言もあって、米ドルは一転して大きく売られ、「インサイド」の下放れを果たした。米ドルの頭打ちは、米ドル全体の買われ過ぎと相まって、一旦確認された格好を露呈した。

とはいえ、145円大台のトライ自体が重要なサインであった。先週の大幅続伸自体行き過ぎであり、また年間の変動幅で測る場合、1985年プラザ合意以来の記録を更新したものの、歴史的な「行き過ぎ」があれば、このまま1998年高値の147円大台トライがあってもおかしくないため、円安の終焉のような判断は性急であろう。あくまで米ドル高の一服と位置付ける。

しかし、円安、また米ドル高の「スピード違反」は確かである。従って、9月9日の急落は、同急落がもたらしたサインに関して、目先としては過小評価すべきではないだろう。8月11日安値の137.73円を起点とした上昇波に対する修正、という位置付けでも、一旦140円関門を割りこみ、場合によっては7月高値の139.40円への逆戻りも想定できるだろう。

ただし、米ドル全体を含め、米ドル高基調の強さに鑑み、仮に反落波の先行があっても一気に進まない。米ドル高の行き過ぎという懸念があり、また米ドル全体が買われ過ぎであるといった疑惑があるからこそ、何らかの材料なしでは強いトレンドに対する修正が一気に進まないだろう。米消費者物価指数(CPI)のリリースもあって、高値圏での波乱がもっとも有力視され、この意味合いにおいても、単に戻り売りではなく、レンジ取引の一環として捉える必要がある。米利上げ観測が大きく修正されない限り、本格的な米ドル売りもないだろう。

豪ドル/円 日足  

週間予想レンジ:96.00~99.00

メインストラテジー:押し目買い

・豪ドルの優位性を発揮
・高値更新で続伸に余地
・構造上の強さも露呈

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週続伸し、年初来高値を再更新した。米ドル/円の高値更新にリンクした形の値動きであったが、豪ドルの優位性が発揮された形で9月9日における米ドル/円の影響を最小限に抑え、強い内部構造を示した。

もちろん、先週の値動きも先々週の値動きを踏襲した形だったが、8月後半の強気変動の一環として重視する場合、先週の高値更新が新たな変動レンジ入りを示唆している。この場合、本来一気に100円大台のトライがあってもおかしくないが、9月9日における米ドル/円の反落に鑑み、高値圏での調整が先行される可能性もありそうだ。ただし、押しがあってもスピード調整に留まり、高値再トライの機運にあることは変わらないだろう。

週足では、先週の足型は強かった。8月に入ってから波乱として、最初の1週間は一旦90.51円まで下落し、その後93.25円にて大引け、週足では「スパイクロー」のサインをもって一旦下げ止まりを示したため、先週の高値更新に繋がった。言ってもみれば、日足における8月2日罫線が典型的な「スパイクロー」&「フォールス・ブレイクアウト」であったため、レンジ変動の上方修正は当然な成り行きと解釈される。

この場合、仮にスピード調整の先行があっても、7月末高値の95円台後半以上に留まるだろう。つまり、米ドル全体の買われ過ぎが見られるなか、主要外貨のうち、豪ドル対米ドルは7月安値さえ割り込めず、先週末から見られた米ドル全体の反落で豪ドルの優位性が発揮され、豪ドル/円の強気構造を証明したわけだ。

9月7日の大陽線をもって年初来高値を更新していたことも強いサインであった。この意味合いにおいて、同日安値の95.98円を下回らない限り、仮に米ドル/円の反落幅が拡大されても、豪ドル/円の反落余地が限られるだろう。短期スパンに限って言えば、押し目があればむしろ押し目買いの好機と見なし、豪ドル/米ドルの値動き次第では、押し目待ちに対して大した押し目なしの可能性さえあると思う。

その半面、4月、6月高値で連結した抵抗ラインが意識されるなら、一気に100円大台のトライが一旦拒まれる可能性もある。言ってもみれば、米ドル全体の買われ過ぎがあっても、豪ドルの優位性が維持されても、米長期金利が大きく反落しない限り、米ドル全体の調整があっても目先としてはあくまでスピード調整に留まり、豪ドル対米ドルの切り返しがあっても制限されるだろう。この場合、豪ドル対円の上昇余地も制限される可能性が大きく、無闇な高値追いを避けたい。米CPIリリース後の一波乱も覚悟しておきたい。