米ドル/円 日足

週間予想レンジ:130.00~134.50

メインストラテジー:戻り売り

・先週は歴史的な波乱へ
・頭の重い構造を再確認
・夏枯れ相場の罠

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週反落し、再度頭打ちを示唆した。先々週末の大幅切り返しがほぼ帳消ししたため、調整波の継続を有力視、また夏枯れ相場の特徴である流動性の低下を鮮明化させた。そのため、メイントレンドに関する判断は変わらない。

8月5日の値幅の拡大は、米雇用統計がもたらしたサプライズであった。1時間2円程度の上昇幅を形成したことに驚く市場関係者が多かったと思うが、それはまだ序の口であった。

というのは、先週8月10日に米消費者物価指数(CPI)がリリースされた後の下落は、3秒間1円の下落を達成し、その後の1分間でさらに1円程度の下落幅を記録したため、これは変動率としては歴史的な記録の範囲に入る。このような歴史的な波乱が通過したからこそ、構造上の可能性がより鮮明化され、米ドル反落の環境が維持されるとみている。

日足では、8月5日の大陽線と8月10日の大陰線の存在が目立ち、また8月8日、9日の罫線を挟んで「宵の明星」に近いサインを点灯した。7月高値を起点とした反落は、8月5日のサプライズをもって大陽線を形成したが、その後たちまち否定され、また弱気サインの一部と化したわけで、反落波の継続を示している。

さらに、8月5日の大陽線自体が8月4日の陰線に対して「強気リバーサル」のサインを一旦点灯し、また8月3日、4日の「インサイド」のサインを一旦下放れしただけに、結局のところ「ダマシ」のサインと化し、反落波継続の蓋然性を高めたと見なせる。

従って、8月10日の大陰線が否定されない限り、保ち合いの先行があっても弱気変動の構造を維持するだろう。また、7月高値を起点とした下落波は、途中段階における切り返しの終焉を示唆するサインとして、前述の弱気のサインの点灯が歴史的な変動率を伴っただけに、信憑性が高いと言える。再度131円後半のトライがあれば、事実上130円心理大台への道筋を示すため、注意が必要である。その半面、保ち合いの継続で一旦134円前半までの切り返しもあり得るが、頭の重い状況は変わらないだろう。

もっとも、欧米勢はなお夏休みシーズンにあり、流動性の低下で先週の変動率で見たようなサプライズもあり得るが、先々週から波乱が続いてきた分、これからむしろ一旦静かになる可能性が大きい。そのため、弱含みのレンジ変動といった市況を想定しておきたい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:93.00~95.50

メインストラテジー:レンジ取引

・保ち合いは長期化へ
・なお頭の重い構造
・豪ドル次第で強含み

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週続伸し、豪ドル/米ドルの続伸とリンクした形で基調を改善した。もっとも、先々週の波乱は、一旦90.51円まで下落し、その後93.25円にて大引け、週足では「スパイクロー」のサインをもって一旦下げ止まりを示したため、先週はそれを踏襲する形となり、続伸自体サプライズではなかった。そもそも想定した下値打診があったため、その後の切り返しがあっても想定の範囲内であり、切り返し自体の拡大があっても想定範囲を大きく超えたとは言えない。

その半面、94関門以上の終値をもって地合いの一段好転を示したことを受け、短期スパンにおける見通しを修正せざるを得ない。1番大きな想定として見込まれた日足における「三尊型」の可能性は、一旦撤回しておきたい。

7月20日、27日高値で形成された「ダブル・トップ」の構造は、先々週の安値トライをもって一段と確認され、また7月安値の一旦割り込みで日足における「三尊天井」のフォーメーションを形成した疑いがあった。しかし、先週の続伸で同じ可能性を完全に否定できないものの、一旦見直ししたほうが現実的であり、目先としてはレンジ変動の先行を意識しておきたい。

日足では、8月9日~11日で形成された「Ioi」のサインが結局上放れを果たし、目先地合いの堅調を示唆した。このまま7月20日高値の95.78円をブレイクできれば、さらなる強気変動が続くと思われるが、同水準のブレイクも目先としては想定しにくく、あくまでレンジ変動に留まるだろう。前述のように、日足におけるフォーメーションの判断は、一旦撤回したものの、完全に否定するまでには至らない。

なにしろ、前述のフォーメーションの構築は、時間がかかった分、蓋然性が大きい。日足では、7月22日の大陰線が目立った。同日の大幅反落があったからこそ、7月19日からの罫線の組み合わせが弱気サインと解釈され、頭の重い構造を露呈した。さらに、7月27日までの切り返しは、前述の弱い構造を否定する好機であったが、結局再度頭打ちを果たし、日足では「フォールス・ブレイクアウト」のサインを再燃させ、その後の反落をもたらした。

従って、前述の「ダブル・トップ」の構造は、事実上2つ目の「ショルダーズ」を形成していた。6月7日の高値を「ヘッド」とみなし、4月や7月の高値を「ショルダーズ」と見なした場合、同フォーメーションの形成や下放れで大きな反落余地を拡大させることになる。円の買い戻しは、なお道半端の考えとしては米ドル/円と整合性を持つ。従って、目先やや強含みのレンジ形成を想定しておきたいが、95.78円を超えない限り、構造上の頭の重さがなお続くだろう。

この意味合いにおいて、レンジ変動の先行を有力視し、また米ドル/円次第では、まずレンジの下限をトライするだろう。豪ドル/米ドル次第で性急な戻り売りは避けたいものの、米ドル/円次第では、押し目買いも慎重なスタンスで行いたい。