米ドル/円 日足
週間予想レンジ:131.50~136.50
メインストラテジー:戻り売り
・大型調整波の途中
・米雇用統計後は波乱
・戻り切れない公算が大きい
アナリシス:
米ドル/円相場は先週切り返し、8月5日にて値幅を拡大させた。米雇用統計がもたらしたサプライズは、1時間2円程度の上昇幅を形成し、ボラティリティの拡大を示した。その半面、8月5日のサプライズを除き、米ドル/円の切り返しは想定範囲内だったこと、また8月5日の大幅切り返しがあったとはいえ、従来のシナリオ(調整波の継続)を否定できるほどではなかった。
戻りの余地が8月5日の大幅切り返しで一段と拡大される可能性があるものの、限定されるだろう。7月高値の139.40円を起点とした反落波を、大型ジグザグ変動と見なした場合、先週安値の130.40円を起点とした切り返し自体を調整子波(切り返し)と数え、下落幅の半分戻りを達成し、同61.8%戻りの136円関門前後をトライする可能性を否定できないものの、それ以上の高値打診はあっても一時的に留まるだろう。
さらに、3月安値から5月安値を連結した元支持ラインの延長線が、これから米ドル/円の頭を押さえ込むと考えられ、高くても136円後半から137円前半に制限されるだろう。8月5日の値幅拡大は、すでにオーバーした可能性に鑑みると、これからの続伸幅は「意外」に制限される可能性がある。
とはいえ、8月2日の安値打診は、いわゆる「台湾有事」と相まって、130円台前半をトライした。その後一転して反騰し、6月16日安値の一時割り込みがダマシであった可能性を示唆した。その上、日足では、強気リバーサルに近いサインを点灯し、その後8月3日と4日罫線が示した「インサイド」のサインは、5日の大陽線をもって上放れした。この意味合いでは、8月5日の罫線が強気リバーサルのサインを示し、また切り返しの強さを示した。それは再度頭打ちされるまで、時間が掛かることを暗示した。
しかし、2022年4月末から形成されてきた大型「上昇ウェッジ」というフォーメーションの存在が目立ち、また下放れしたこと自体は間違いない。139円台から130円台前半までの急落は、そもそも急であったため、「台湾有事」に加え、米雇用統計がもたらした波乱があっても、反落幅に対する調整という位置付けにおいて、先週の切り返しが想定より急であったとしても、容認範囲内であると思う。
7月14日の大陽線をもって「クライマックス」を迎え、その7月20日まで「インサイド」を形成、その下放れを果たした7月21日の陰線は典型的な「弱気リバーサル&アウトサイド」のサインを灯した。そのため、その後の大幅続落は、大型調整波を確定し、これからも継続されるだろうと推測できる。となると、途中の切り返しは、目先は7月20日安値の135.57円を意識し、また同日高値の137.97円を突破できない限り、高値再更新はないだろう。前述のように、基本的には135円台後半の打診があっても、138円関門手前までの続伸を想定しにくいため、戻り売りのスタンスを維持していきたい。
もっとも、欧米勢はすでに本格的な夏休みシーズンに入り、相場の変動率も限られると思う。しかし、夏枯れだからこそ流動性の低下を狙い、投機筋の仕掛け的な動きが活発になりやすく、先週8月5日の米雇用統計後の値動きがその典型だとみている。従って、引き続きリスクコントロールを最優先したい。
豪ドル/円 日足
週間予想レンジ:91.00~94.50
メインストラテジー:レンジ取引
・レンジ変動の公算が大きい
・頭が重くても底固い
・ブレイク後にずれか
アナリシス:
豪ドル/円相場は波乱で、一旦90.51円まで下落し、その後米ドル/円と相まって切り返し、93.25円にて大引け、週足では「スパイクロー」のサインをもって一旦下げ止まりを示し、しばらくレンジ変動に留まることを示唆した。
その半面、そもそも下値打診があったため、その後の切り返しがあっても想定範囲内であり、また終値をもって94円関門の回復を果たさなかったため、頭はなお重いとみている。
7月20日、27日高値で形成された「ダブル・トップ」の構造は、先週の安値トライをもって一段と確認され、また7月安値の一旦割り込みで日足における「三尊天井」のフォーメーションを確立させた。そのため、8月2日の日足自体が典型的な「スパイクロー」のサインを点灯し、また終値をもって大幅な切り返しがあったため、7月安値の割り込み自体が「ダマシ」の可能性を暗示していたと思われるものの、確信できない。
なにしろ、前述のフォーメーションの構築は、時間がかかった分、蓋然性が大きい。日足では、7月22日の大陰線が目立った。同日の大幅反落があったからこそ、7月19日からの罫線の組み合わせを弱気サインと解釈され、頭の重い構造を露呈した。さらに、7月27日までの切り返しは、前述の弱い構造を否定する好機であったが、結局再度頭打ちを果たし、日足では「フォールス・ブレイクアウト」のサインを再燃させ、その後の反落をもたらした。
従って、前述の「ダブル・トップ」の構造は、事実上2つ目の「ショルダーズ」を形成していた。6月7日高値を「ヘッド」とみなし、4月や7月高値を「ショルダーズ」と見なした場合、同フォーメーションの形成や下放れで大きな反落余地を拡大することになる。円の買い戻し、なお道半端の考えは米ドル/円と整合性を持つ。
とはいえ、米ドル/円と同様、一気した円の急騰は想定していなかった。従って、先週安値トライしてからの大幅切り返しは、むしろ我々の想定の通りであり、またこれから保ち合いの一環としてレンジを形成していくこともまず想定しておきたい。米ドル全体の値動きが肝心になってくるが、豪ドルの優位性が一旦封印されたとはいえ、米長期金利の反落の傾向が続くなら、これからなお再浮上してくるだろう。この場合は、頭が重くても底固いと思われ、日足におけるフォーメーションの成立があってもたちまち下値打診に急ぐとは限らないだろう。
この意味合いにおいて、レンジ変動の先行を有力視し、また米ドル/円次第では、まずレンジの上限をトライ、さらに若干上値にシフトしていくこともあり得る。しかし、日足における「三尊型」の存在を否定、即ち前述の「ダブル・トップ」を否定していくような強い値動きは想定しにくい。一時的な上放れがあっても、あくまで「ショルダーズ」の存在を維持するだろう。レンジの形成及び拡大は、結果的に「ダマシ」のサインの再形成につながりやすいため、丁寧なフォローを心掛けたい。