米ドル/円 日足

週間予想レンジ:133.50~137.50

メインストラテジー:押し目買い

・米ドル全面高ゆえに緩やか
・一旦緩和でも上値志向
・上昇ウェッジをなお形成

【図表1】米ドル/円(日足) 
出所:筆者作成

 

アナリシス:

米ドル/円相場は先週137円関門を一旦トライし、その後再度失速した。僅かではあったものの、再度高値更新したことを重視すれば、流れの継続を再確認したことでこれからの高値トライに繋がるだろう。一方、先々週と同様、週足では「スパイクハイ」のサインを示し、ロング筋の利益確定が先行された模様だ。モメンタムの一旦緩和も高値トライ後の調整として必要以上の解釈は不要だと思うが、上昇モメンタムの低下自体は注意したいところである。

その背景には、米ドル全面高(米ドル指数高)があったと思われる。主要外貨対米ドルの続落は、そのまま外貨対円の反落をもたらすため、間接的な円買い(円売りポジションの決済)に繋がり、米ドル/円の頭を押さえ込むことを無視できない。

とはいえ、米ドル高の本流がしっかりしている以上、一番弱い存在である円の本格的上昇はあり得ない。米大幅利上げだけではなく、「スイスショック」の試練もあったからこそ、トレンドの蓋然性が証明され、先週の高値再更新後の失速があってもなお上昇の途中とみている。137円大台の打診があったからこそ、140円心理大台が見えてきたと言える。

米大幅利上げの継続やスイス国立銀行の大幅利上げがもたらした思惑が、マーケットのコンセンサスに織り込まれており、日銀の政策維持が確認されたからこそ、米ドル/円の高値再更新自体が円安本流の証拠となり、本格的な頭打ちのサインなしでは円安の限界を安易に測定すべきではない。先週の値動きに鑑み、まだ修正する必要はないだろう。

「スイスショック」があったからこそ、相場の内部構造を一段と確認できたと言える。131円半ばの支持ゾーンが4月末、5月初頭の高値ゾーンと合致するだけに、「スイスショック」がもたらした波乱があっても内部構造の「規律正しさ」が維持され、ブルトレンドの蓋然性をより鮮明化させたわけだ。そのため、137円関門のトライがあっても上昇目標達成とは言い切れない。

日足では、6月半ばからモメンタムの低下がすでに観察され、上昇ウェッジに近いフォーメーションが形成されつつある。その点においては、先週高値トライしてからの反落を解釈しやすく、また上昇モメンタムの意味合い(いずれ反落してくる)に鑑み、高値警戒感に繋がってもおかしくないだろう。

しかし、本格的な頭打ちのサインなしでは、このような思惑先行の見方はリスキーである。上昇ウェッジの上限を突破することで、一段上昇加速の市況も想定される。高値圏での保ち合い自体は、頭打ちのサインとして解釈できず、それよりもむしろ上値突破前の地合い固めとして、土台作りの意味合いが大きい。そのため、目先相場より先走りした解釈は不要である。

とはいえ、米5月の消費者物価指数(CPI)の40年ぶりの高い数字がリリースされた後、マーケットはパニック的な米ドル買いに走っていた。米大幅利上げがこれからも続き、また場合によってはもう1回、あるいは3回連続の0.75%の利上げもあり得るといった観測が根強い中、ハイバーインフレ自体が米ドルの価値を毀損する懸念もある。手放しで高値を追える段階でもないことは確かである。

従って、上昇ウェッジに制限される可能性を重視するなら、再度高値更新があっても138円台に制限される可能性があるだろう。その半面、何らかの新しい材料がでれば、吹き値の先行で一旦140円大台の打診があっても大きく離脱したシナリオにはならないと思う。テクニカル上の視点から言えば、6月16日安値の131.49円を下回らない限り、米ドル/円の頭打ちを性急に図るべきではない。

モメンタムの低下が目先として確認されているだけに、いわゆる値ごろ感による逆張りが個人投資家の行動パターンとしてまた盛り上がる可能性がある。しかし、構造上、このような逆張りの行動が強ければ強いほど、実は一段と上昇していく土台(要するに円買い筋の投げ)になりかねないため、引き続き注意が必要である。

仮に米/円は現在クライマックス的な上昇段階にあるとしても、そのような段階だからこそ、逆張り筋が往々にして踏み上げられ、「買われ過ぎ」でもさらなる買われ過ぎをもたらす。137円台の打診があったからこそ、さらに140円関門に迫る、といった可能性もあり、引き続き強気変動の継続を有力視している。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:90.50~95.00

メインストラテジー:押し目買い

・米ドル全面高の「逆風」
・調整延長の確認
・内部構造はなお強い

【図表2】豪ドル/円(日足)  
筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週再度反落し、6月高値以来の反落の延長を示唆した。6月16日安値の91.96円の割り込みがあって、調整波の一段延長が確認され、米ドル全面高の「逆風」(要するに豪ドル対米ドルの下落が豪ドル対円の反落に繋がった)に晒される状況が明らかとなった。

6月8日までの続伸は、一旦高値更新してから反落し、同週の週足では「スパイクハイ」のサインを点灯していた。この意味合いにおいて、先週の続落をスピード調整の一貫と見る場合は、なお調整波の一環と位置付けることができる。拡大解釈は不要だが、90円心理大台維持の有無が試金石になってくるだろう。

なにしろ、6月に入ってからの大幅続伸は、上放れの構造を再度確認した上で、高値再更新を確実視していたため、想定通りの展開と言える。豪ドル対円の優位性が健在であるため、上放れ自体を当然な成り行きとみなし、この意味では、より長いスパンにおいて、これからもブルトレンドを維持できるだろう。

米ドル/円の続伸、また高値連続更新を背景とした豪ドル/円の続伸自体、当然の成り行きではあるものの、これは米ル/円次第の側面が大きいことも否定できなかった。そのため、米ドル/円は6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)前に、すでに高値再更新が確認され、FOMCや「スイスショック」の試練を経て、僅かながら先週でも高値再更新したことに鑑み、先週の豪ドル/円の反落は、明らかに米ドル全面高の試練であるという他あるまい。

もっとも、米大幅利上げ、また連続利上げの想定がすでに圧倒的な市場コンセンサスと化していたからこそ、米ドルの優位性は当面変わらない。その分、豪州の事情(豪州の利上げ継続も想定される)が無視される形で豪ドル対米ドルの反落が確認されてきたが、米ドル全面高の勢いが再度高まってきたところ、豪ドルの優位性が低下していくのも当然の成り行きであった。

5月後半から連騰したため、6月8日の96.90円からの反落は、先週まで続き、また再度拡大したことがあっても、スピード調整として「正当化」できる側面もあった。反落波の拡大は、強気構造自体の不変を前提条件とすれば、むしろこれからの上昇波を健全化させる側面がある。先週の深押しは、想定よりさらに下値打診があったものの、基本的な要素は変わらず、メイン基調への変化もない。ただし、6月16日罫線を中心に「Ioi」のサインの形成し、一旦否定されたわけで、反落波の一段拡大は、90円心理大台の打診があっても覚悟しておきたい。

さらに、米ドル/円自体が節目にかかり、また値動き次第で大きく変化するタイミングにあるため、今週安値更新があれば、下値追いの可能性がないとは言い切れない。ただし、大型調整波の構造が確認された以上、また先週の続落で同調整波の拡大がすでに確認された以上、調整波のクライマックスが近いといった思惑がある。前述の「Ioi」のサインが一旦否定されても下値限定なら、むしろ底固い証拠として重視すべきだと思う。

仮に米ドル/円の138~140円台の打診があれば、豪ドル/円の下落一服が確実視される。ただし、米ドル/円の上昇は米ドル高の側面をより反映してきた分、米ドル/円の高値再更新に豪ドル/円などクロス円が付いてこないことも事実であるため、豪ドル/米ドル次第では、米ドル/円の高値更新があっても豪ドル/円の底打ちが後ずれになる可能性がある。いずれにせよ、慎重なスタンスで押し目買いのタイミングを再度図りたい。