米ドル/円 日足

週間予想レンジ:130.00~133.00

メインストラテジー:押し目買い&高値追い

・上放れを果たす
・強気構造を確認
・再度高値更新へ

【図表1】米ドル/円(日足)   
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週大幅切り返し、131円関門のトライをもって一気に上放れを果たした。先日、連続3週間の陰線引けとなったが、先週の大陽線をもって調整完了が示唆され、これから高値更新を果たすだろう。調整波自体の値幅が引き続き限定的であり、週足では「9連陽」が5月最初週まで続いたため、健全な調整を果たしたわけで、このことは先週の大陽線を形成する土台を提供してくれたと言える。

もっとも、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)通過後、米大幅利上げはマーケットの想定の通りであり、またインフレの高騰も市場の織り込み済みなので、米株続落を受けた円買いが非常に限定的だった。この視点において、主要クロス円との違いも繰り返し解説してきた。なにしろ、米ドル自体はリスクオフの流れで大きく買われ、主要外貨対米ドルの急落につられた形で主要クロス円の大幅調整をもたらしたが、米ドル/円への影響は、先々週の続落があっても限定的であったため、強気構造の維持や継続が証明されたわけである。先週の大陽線を当然のなりゆきと見なしている。

マクロ的な視点では、2015年高値のブレイクを果たした時点で、2011年安値(米ドル最安値)を起点とした大型上昇波の延長を決定したため、雄大なトレンドの一段継続が示唆されたから、これからの高値更新も当然の成り行きとみている。

もっとも、4月第1週の陽線引けは、3月最終週の値幅のなかで「孕まれる」形で「インサイド」を形成していたため、その後の高値更新は同サインの上放れを意味し、強気サインとしてさらなる上昇余地を示したわけで、4月末までの続伸は当然の結果とみている。5月第1週も陽線引けであったが、高値更新できなかったため、調整波の先行があったわけだが、その位置付けはあくまでスピード調整に過ぎなかった。

リスク回避先として、円の地位消失や日米金利差など要素はすでに繰り返し解説してきた。このような基礎的な要素以外に、米ドル全面高に日銀の緩和政策継続が大きな構造上の要因となる。コロナショック時の高値更新を果たした米ドル指数の値動きでみれば一目瞭然であり、言ってみれば従来の円安という側面以上に、米国の22年ぶりの大幅利上げで米ドル高の側面がより大きい。後者に関しては、4月末に日銀の金利上昇抑制姿勢を再度確認する形で、3月末と同じ構図で円売り安心感につながったわけで、先週の大幅切り返しがあったから、米ドル/円の下限を限定させた要素として再度確認できたと言える。

値ごろ感で米ドル/円の頭打ちを判断すべきではない。確かに5月に131円前半の打診が急であった上、「悪い円安」と叫ばれるほど131円台自体が高い水準であった。しかし、強いトレンドゆえに、感情的な判断を避けたい。なぜなら、値ごろ感による判断が多ければ多いほど、一段と続伸の源になる傾向があるため、米ドル/円のショートポジションが先週において再度踏み上げられたと推測できるためだ。

日足では、4月20日~25日の罫線が「インサイド」のサインを形成し、4月26日一旦下放れを果たした。しかし、下値トライが続かず、4月19日大陽線の安値(126.96円)前後にて反騰し、4月27日の大陽線自体が「強気リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯したからこそ、4月28日のさらなる続伸や高値更新に繋がったわけで、4月29日の反落があっても、あくまで強気変動におけるスピード調整とみなした。早期終値をもって127円関門に下らない限り、強い構造を維持し、安易な頭打ちを判断できない。だからこそ、4月27日の反発に続き、4月28日の大幅上昇で一旦高値を更新した。

5月9日の高値トライは、一旦失敗した形で5月12日の大幅続落につながり、その後の保ち合い、即ち「インサイド」のサインの形成や下放れで一段と調整波の延長が確認された。ただし、それでも前述の予想範囲内に留まり、スピード調整としての位置付けは不変である。一時期127円関門割れがあっても、切り返してくれば、高値圏での変動の一環としてやや波乱した値動きがあっても許容範囲内である。先週一気に大幅切り返しがあり、5月12日から形成されてき3つの「インサイド」のサインを一気に否定、逆に強気構造を一段と強化する存在となった。

そのため、これから再度年初来高値を更新、また上昇スピードを加速していくだろう。5月9日の罫線を、「フォールス・ブレイクアウト」の意味合いがあったとみなすなら、これからの高値トライやブレイクをもって一転して上昇波を加速させる存在であることも繰り返し解説してきた通りであり、今週強いトレンドに便乗しないと勿体ない。そのため、強気のスタンスを維持したい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:94.00~97.00

メインストラテジー:押し目買い&高値追い

・上放れの構造を確認
・タイミングも良し
・資源通貨を再評価

【図表2】豪ドル/円(日足)   
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週大幅続伸し、上放れの構造を再度確認した。もっとも、豪ドル対円の優位性が健在であり、上放れ自体を当然な成り行きとみている。この意味では、先々週の地合いを踏襲し、また加速してきた分、高値トライまた高値更新はむしろこれからだとみている。

先々週の小幅続伸は、メインシナリオを証明する存在となったからこそ、先週の大幅続伸を当然の成り行きとみなし、またブル基調を強める構造の確認となった。というのも、5月第2週に大幅続落し、一旦87円前半をトライしたものの、そこから底割れせず、また調整の行き過ぎと暗示したわけで、メイン基調をより鮮明化させたからだ。

そもそも、調整波自体の値動きも想定範囲内であった。4月20日に一旦高値更新し、95.77円をトライしてから反落、また93.05円にて大引けし、同週の週足では典型的な「スパイクハイ」のサインを点灯した。このようなサインに鑑み、一旦頭打ち、また調整の可能性が大きかったため、調整波の大型化、また5月第2週まで延びること自体、許容範囲から大きく離脱していなかった。そのため、先週の大幅続伸をもってブルトレンドへ復帰ができたと言えるわけである。調整はあくまでスピード調整に過ぎなった。

4月第3週の足型が弱気のサインと解釈した原因の1つは同週の「スパイクハイ」の足型のみではなく、3月28日から3週間に渡って形成された「インサイド」のサインが同週にて一旦上放れしたにもかかわらず、その後反落や陰線引けとなり、「ダマシ」のサインとして警戒されたことだ。この意味合いにおいて、5月第2週の大幅続落は、同サインの効き目を証明した反面、「出尽くし」も暗示されたわけで、先週の大陽線があったからこそ、その見方が証明されることとなった。

3月末の大幅続伸は、4月初頭まで連続9週間の上昇を果たし、94円関門のトライも大きな成果であった。その後の反落は、90円後半に留まった上、91円後半にて大引けしたことで小幅調整の完成を暗示し、また急騰したからこそ強気基調の維持に繋がった。3月28日に日銀のオペを受けた円の一段急落は、「行き過ぎ」を示したものの、その後あくまでスピード調整の先行となり、頭打ちを認識できるまで程遠かったため、3月末から4月半ばまでの陽線引け自体が証拠となったわけである。

従って、4月第3週の高値更新は、本来「インサイド」の上放れとなり、さらなる上昇モメンタムの加速や上昇余地の拡大に繋がるはずだったが、一転して反落、週足では陰線で大引けし、日足では4月19日~22日までの罫線で、「宵明星」のサインとなった。また、3月末から形成されてきた「上昇トライアングル」の上放れも「ダマシ」と化した可能性を示唆した。深押しに繋がってもおかしくなかったが、結果的に想定内の変動に留まったこと自体も、先週の一段高値トライに土台を提供していたことによる。

商品通貨として豪ドルの強さもこれまで繰り返し解説してきた。米ドル全面高の流れの中で、対米ドルでは遜色があっても、対円では優位性が消失するとは考えられない。主要外貨のうち、米ドル全面高の一服があれば、豪ドル対米ドルもリバウンドしやすいと思われるため、目先の豪ドル/米ドルの値動きがその兆しを示したとみている。そのため、対円の強気構造をなお維持できる公算が大きい。

日足では、4月20日から大型ジグザグ変動の構造を示し、4月26日から一旦切り返し、5月5日に94円関門のトライがあったが、結果的に同日にて反落、「弱気リバーサル」のサインに近いシグナルを点灯した。そのため、その後の急落、また5月11日の「スパイクハイ」のサインもあって、5月12日の大陰線を形成させた。しかし、深押しの進行がすでに確認された以上、5月12日と13日の罫線で示した「インサイド」のサインは、再度下放れの可能性が低下し、これから上放れを果たして強い基調への復帰を証明してくれるから、先週の大幅続伸は、本格的な上放れを果たす存在となったわけだ。

日足では、5月25日からほぼ「連陽」を形成し、また5月5日の高値更新をもって強気構造を示唆した。豪中央銀行利上げがあったにも関わらず、調整波の先行があったからこそ、5月5日高値の再更新自体が大きなサインと化す。もっとも、90円心理大台に乗せて以来、豪ドル/円は事実上新たな変動範囲に入り、4月の95円後半までの打診がその前触れとみなされ、同週の「ダマシ」のサインがあってもなお途中なので、これから高値トライまた高値更新があれば、一段と上放れのモメンタムを強化していくだろう。想定よりさらなる高い水準の打診も覚悟しておきたい。