米ドル/円 日足 

週間予想レンジ:114.00~116.50

メインストラテジー:レンジ取引

・ポジション調整一服
・米ドル全面高ゆえの堅調
・クロス円経由の圧力

【図表1】米ドル/円(日足) 
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週大幅切り返し、113.47円の安値からほぼ一貫して反騰、一旦115.70円関門のトライもあって、想定より強い値動きを形成した。もっとも、1月14日安値を割り込めず、また1月18日高値をブレイクしたところが基調の改善に繋がったため、これから一段高値トライがあっても許容範囲内の出来事とみている。

先週の米ドル/円の切り返しは、米ドル全体(米ドル指数)とリンクした値動きとして見られやすく、米ドル指数の年初来高値更新や97円大台乗せが示すように、米ドル全面高の基調が強い。米利上げ幅や利上げ回数に関する予想は、どんどんタカ派基調にシフトしており、また米GDPの好調を受けた米ドル買いが先行されたため、米ドル全体の強気基調を一層強化したわけだ。

そのうち、円売りポジションの整理があっても一服され、米ドル高の流れで円売りが再開されたのも当然の成り行きであり、ここからが正念場だろう。テクニカルの視点において、先ほど述べたように、1月14日安値の113.48円を割らなかったことが最初のサインを灯し、同日の「スパイクロー」の意味合い(サポート)を証明した形で切り返し、その後1月18日高値の115.07円のブレイクをもって上昇余地を拡大したとみている。

1月18日の足型は、「スパイクハイ」のサインであったため、本来レンジの上限として機能したとしてもおかしくないが、一気した上放れが確認され、レンジの上放れを示唆していた。単純な計算(倍返し)では、116.66円までの上昇が推測できる。年初来高値は1月4日の116.36円だったことに鑑み、実現されれば高値更新を果たすだろう。

一方、米ドル/円の上昇が米ドル全般とリンクした分、ユーロなどその他の外貨が先週円より売られたことも明らかだ。この意味合いにおいて、ユーロ/円など主要クロス円における外貨安/円高の圧力が米ドル/円に波及し、頭が押さえられる可能性を否定できない。早期に116円関門乗せがなければ、頭の重い可能性が大きくなる。

しかし、113円前半における支持ゾーンの再確認をする意義は重大だろう。仮に年初来高値を起点とした調整がなお反落波の形を維持し、これから113円前半を割り込み、さらなる下値余地を拡大するとしても、時間がかかる上、一気した下値トライは容易ではないだろう。114円関門前後は一転して支持ゾーンとして浮上し、下放れがあっても後ずれになる見通しだ。

米株の動向も重要である。米株の一段調整が回避される場合、円売りポジションの整理が早期完了する可能性も大きい。実際、米ナスダック指数の急落があっても米ドル/円の113円前半の維持自体は、円の上昇余地が限定されることを示唆し、米ドルの底堅さを暗示していた。大局観としては、2021年年初来安値を起点とした上昇波は推進波であり、2015年から形成されてきた大型保ち合いの打破を確認した後、円安の本流を牽引する形で米ドル/円の大幅上昇が続き、調整波の一服があれば、再度上値余地を拡大する流れに復帰するだろう。調整波の在り方をなお見極めたい。

豪ドル/円 日足  

週間予想レンジ:79.00~81.00

メインストラテジー:戻り売り

・下落波の拡大
・80円関門へトライ
・V字型反落も

【図表2】豪ドル/円(日足) 
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週続落し、これは年初来から連続4週間の陰線引けとなる。弱気変動の継続で下値リスクを拡大させ、目先としては80円関門のトライが有力視される以上、これからも弱気の流れを早期修正できない限り、一段警戒せざるを得ない。

ただし、先週の豪ドル安/円高は年初来の事情と若干違っていたところも大きなポイントである。先々週までは米株安に伴うリスクオフの流れが強かった上、米ドル/円が主導する円売りポジションの整理が続いたことが大きな背景にあった。しかし、先週は一転して米ドル全面高となり、外貨安のうち、豪ドルが円より売られたことが原動力であった。そして、結果的に円売りポジションの整理が続く形となったものの、これからは豪ドル安のほうがより警戒されるだろう。

弱気継続のサインとして、先週1月26日の足型が重要であった。「スパイクハイ」のサインを点灯し、82.50円前後の抵抗ゾーンを再確認したところで1月21日の大陰線やその下放れの意味合いを証明し、80円台前半の打診をもたらした。このままでは、やはり80関門の割り込みを果たし、2021年12月安値の78.78円へ続落する流れを強めるだろう。言い換えれば、ベア基調の再確認でV字型反落の公算が大きい。

もっとも、1月21日の大陰線の早期否定なしではベアトレンドの継続が有力視された。なにしろ、同日の大幅続落で1月14日~20日で形成された「インサイド」のサインの下放れが確認され、1月26日「スパイクハイ」のサインの意味合いが一段重要になったわけだ。要するに、ベアトレンドが加速され、また構造上の継続性が示唆されているため、連続4週間の下落があったとはいえ、本格的な下げ止まりには繋がりにくい。80円関門前後における支持ゾーンが一旦見つかるかもしれないが、あってもスピード調整に留まり、過大な期待はできないだろう。

この意味合いにおいて、早晩80円関門の割り込みをもって2021年12月安値の大打診に繋がる。この場合、2021年12月末までの切り返しを年初来の下落をもって否定し、V字型反落をもって2021年10月高値の86.27円を起点として大型反落波の延長や拡大に繋がる可能性さえある。仮にその見方が正しければ、時間がかかっても一旦2021年安値の77.89円の打診や割り込みも想定される。

ただし、仮に2021年安値の割り込みがあってもたちまちベアトレンドへの復帰を意味しないだろう。コロナショック後の安値を起点とした上昇波の一環とみなした場合、2021年高値を起点とした大型ジグザグ変動パターンの調整波が確認されても、なお調整子波の範囲に留まるだろう。さらに、状況は流動的なので、米ドル/円次第では、底割れを回避できる公算がなお大きい。言い換えれば、リスクオフの円高という性質の値動きではないため、一時的にオーバーがあってもなお調整波の範疇に留まるだろう。

もっとも、米ドル/円と同様、長期スパンにおける強気ラリーは終わっていない。2020年のコロナショック後の安値を起点とした大型強気変動は、2021年5月から高値圏における大型レンジを形成してきたが、あくまで調整子波と数え、再度底打ちがあれば、元の強気トレンドへ復帰するだろう。しばらくは押し目を拾えないが、反落波の先行でその時期の到来が後ずれでも遅かれ早かれ到来するため、スパンごとのスタンスを明白にしておきたい。