米ドル/円 日足

週間予想レンジ:114.50~116.50

メインストラテジー:押し目買い

・ポジション調整は限定的
・FRBの政策により米ドル高を維持
・米株次第の値動きを強化

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は年明け後の高値更新、またその後の反落をもって週足では「スパイクハイ」のサインを点灯し、目先の軟調もあって2021年12月から連続5週間の上昇を一服させる可能性を示唆した。もっとも、先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録のリリースで、市場の想定より米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派のスタンスが露呈され、米金利の上昇で米ドル高をもたらす可能性もあったが、米ナスダックの反落に反応し、ポジション調整的な米ドルの反落が先行された模様だ。円売りポジションの積み上げが継続される中、何らかの形のスピード調整が想定されやすかったため、目先までの値動きで言えば、これは極めて許容範囲内の出来事と言える。

米ドルの調整があっても、しばらくテクニカル上の優位性は変わらない。というのは、2021年12月初頭の112円半ばの支持を証明したところが大きかった。年初来の高値更新は、結果として2021年11月26日の大陰線を否定することとなり、構造上の強さを一段と証拠付けた。従って、目先のスピード調整の先行があっても、また円売りポジションの整理があっても許容範囲内に留まり、FRBのスタンスが一段と強化されたこともあって、パニック的な米ドル売りの地合いには程遠い。言い換えれば、円売りポジションの積み上げを背景とした仕掛け的な円買いが生じにくい地合いで、この傾向はしばらく続く見通しだ。

となると、1月5日からの反落は、米株との連動性もあったものの、基本的に米ドル全面高基調が強く、ユーロ/円をはじめ、クロス円経由の円高圧力が米ドル/円の頭を抑え込んでいた可能性が大きったのではないかと推測される。米ドル/円の調整は、至って正常範囲に留まっているため目先の過大解釈は不要、押し目買いのスタンスも維持されるべきだろう。

2021年11月26日は1日で230pips超の下落幅を記録、米感謝祭の薄商いもあって、パニック相場の様子を呈していたわけだが、1月4日の高値更新が確認されたばかりで、また同大陰線を否定したばかりだったことに鑑みると、目先の調整はむしろ歓迎されるのではないかと思う。114円台前半~115円関門前後における支持ゾーンに鑑み、安易な下放れなしではしばらく強気基調を保つ公算が大きい。

112円半ばの支持ゾーンをもう1度確認できた場合、これこそ内部構造の強さを証拠付けており、これからの上放れの蓋然性を示唆してくれるため、年明けからの高値更新を同シナリオの一環と位置付けると共に、なお途中であることを強調しておきたい。構造上の強さに鑑み、これからポジション整理が先行されても、114円台関門前後の支持を深く織り込むことは容易ではないとみている。

さらに、2021年10月高値~11月高値を連結する抵抗ラインの存在が意識された分、再度打診があれば上放れしやすい地合いを示唆してくれるだろう。116円台半ば~同後半における抵抗ゾーンのブレイクがあれば、一段と上昇余地を拡大し、米ドル高に弾みをもたらすとみている。とはいえ、米株の値動きと連動する側面が大きいため、上放れの後ずれを覚悟しておきたい。

従って、高値圏でのスピード調整、という位置付けがもっとも適切だろう。保ち合い自体をスピード調整の一環としてみなす場合、年明け後の商いが徐々に増える環境の中、米ドルの調整が限定的になる見通しであることから、押し目買いのスタンスを維持していきたい。

これまで繰り返し述べている通り、中長期スパンにおける見通しは全く変わらない。そもそも2017年以来の高値更新を果たし、また2018年高値へ接近したこと自体、上昇波の加速を示唆していたため、大局観としては、2021年年初来安値を起点とした上昇波は推進波であり、2015年から形成されてきた大型保ち合いの打破を確認した後、円安の本流を牽引する形で米ドル/円の大幅上昇が続き、これから一段と上値余地を拡大する流れにある。2011年~2015年のような強いラリーの再現があれば、2015年高値の125.86円がブレイクするのももはや時間の問題だと思う。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:82.00~84.00

メインストラテジー:押し目買い

・基調の改善を確認
・スピード調整も限定的
・支持ゾーンの再確認

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週84.32円をトライしてから反落し、2021年12月第2週からの切り返しを一服させた。しかし、構造上の強さはすでに証明されており、目先の反落があってもスピード調整と見なされ、支持ゾーンの再確認でこれから地合いをより固める可能性が大きい。基調の改善がすでに確認された以上、安易な円高基調への逆戻りはないだろう。

そもそも2021年12月第2週の大陽線が重要な役割を果たしていた。2021年12月3日までの大幅続落が「売られ過ぎ」だったことは以前述べた通りであるが、翌週の急反発で底割れを回避し、週足では「ダブル・ボトム」に近い構造を示したため、その後の続伸をもたらしたわけだ。

その後の値動きも重要なサインを灯していた。12 月 16 日の「スパイクハイ」のサインは、本来抵抗ゾーンを示唆したものとして意識されるが、その後の続伸で同日の罫線を否定し、強気トレンドの継続を示唆していた。そのため、先週の一旦84円台前半の打診はむしろ当然の成り行きで、地合いの堅調を一段と証拠付ける存在となった。

テクニカル上の視点は、やはり 82円 前半のブレイクが重要であったことも2021年年末に繰り返し指摘してきた通りであった。2021年11月 19 日 を「母線」とした「IOI」のサインがその後下放れを果たしたため、同日安値の 82.14円 前後もメイン抵抗 と化し、当面豪ドルの頭を抑えることも想定していた。しかし、その後の続伸で同水準が再度突破され、さらに2021年11 月 26 日の大陰線を上回ったところで強気構造を一段と強化したため、理論上は2021年高値の再打診に繋がるのではないだろうか。 

この意味合いにおいて、目先の反落はむしろ歓迎されるだろう。乗り遅れたロング筋にとって、安値を拾う好機とみている。何しろ、2021年12月16日の「スパイクハイ」のサインが上放れされた以上、目先としては支持ゾーンの役割を果たす公算が大きく、82円関門前後が一転して支持ゾーンと化す可能性は見逃せない。

このような値動きの確認があれば、調整波の先行があったからこそむしろ地合いを一段と強化し、84円後半の抵抗ゾーンにいずれトライするし、またブレイクをもって2021年高値に対する再打診をもたらすだろう。つまるところ、2020年コロナショック後の安値を起点とした大きなラリーは、なお継続される公算が大きく、2021年高値の更新があれば、一段と伸ばすことになる。

この位置付けにおいて、82円関門前後における支持の有無が重要である。地合いの強さを証明できれば、むしろ高値再トライの機運を高め、上値を追う展開になりやすいだろう。その半面、米株の値動き次第では、調整波の延長も想定される。とはいえ、豪ドルの優位性が維持される公算が大きく、調整波の延長があっても中段保ち合いに留まるだろう。何らかの形で深押しとなる場合でも、理論上80円大台割れなしでは円高トレンドへの逆戻りはないと思われる。仮に仕掛け的な円買いがあっても、同大台を割り込むハードルはかなり高いとみている。そのため、押し目買いのスタンスをもって臨みたい。