一服感の広がった先週の米国株式市場

先週の米国株は軟調な展開となりました。先週1週間でS&P500は1.94%の下げ、ナスダック総合は2.95%下落しました。このところのマーケットの下げについては、様々な要因が考えられます。そもそも12月10日にはS&P500は引値ベースで史上最高値を更新しているので、マーケットに一服感があったことは否めません。

米国ではオミクロン株感染者数が急増

そんな中、クリスマス休暇を前にニューヨーク市では、この3日間でPCR検査の陽性者の割合は3.9%から7.8%へ急増。近いうちに20%に達するのではないかとも予想されています。

かかる事態を受け、ニューヨーク市では、ラジオシティ・ミュージックホールの恒例のクリスマス・スペクタキュラー・ショーや、ブロードウェーのミュージカルは急遽キャンセルとなっています。また、米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)も複数の試合の延期を決定しています。

2022年2月には従業員が職場に復帰する予定であったアップルも、オミクロン株の感染者数の急増を受け、職場復帰のタイミングは延期とし、復帰時期は未定とすると発表しました。コロナ感染者数が急増する過程でも株価が上昇した米国株式市場ですが、それでもこの様な事態はマーケットのセンチメントにとってポジティブではありません。

米国では利上げに一歩近づいた

米国では利上げがより現実的なものになりました。市場が恐れていたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、2022年の利上げは3回、早ければ2022年3月には利上げが開始される可能性が高いことが確認されました。これを受け、市場の不安は若干解消されたようです。ただ、実際の利上げのタイミングについては、今後数ヶ月のインフレ経済指標を注意深くモニターし続ける必要があります。

実は先週のマーケットを動かしたのは4人の魔女たち

先週はテクニカル的に相場が荒れやすい週であり、市場が乱高下した大きな要因はこれではないかと考えています。

12月17日(金)は米国株の世界で「4人の魔女の日」(クアドルプル・ウィッチング・ディ)と呼ばれる4つの株式のオプションの取引の精算日で、歴史的に株価が乱高下しやすい日でした。その「4人の魔女」とは、株式先物指数、株式指数オプション、個別株オプション、個別株先物の4つのことで、12月17日はそれらすべてが取引期間満了する日となっており、通常相場が乱高下する日となっていました。(「4人の魔女の日」については以前の記事でもご紹介しています)

過去1年間の株価のパフォーマンスを検証しますと「4人の魔女」の週のS&P500は下落、その翌週、つまり今週は上昇する傾向にあります。よって、これから年末に向けてマーケットはラリーを再開、12月6日付の記事で紹介しましたS&P500の2021年年末のターゲットの4,750ポイントを目指して推移すると考えています。