米ドル/円 日足

週間予想レンジ:113.00~115.00

メインストラテジー:押し目買い

・大波乱でも強気を維持
・113円関門前後を支持
・下放れでも下値限定

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週のオミクロン・ショックで大幅反落、一旦115.51円と年初来高値を更新したものの、一旦急落したことで目先の地合いを悪化させた。11月26日は一日230pips超の下落幅を記録、米感謝祭の薄商いもあって、パニック相場の様子が示された。

その反面、市場観測は行き過ぎた側面も大きく、オミクロン株の感染力は強くても毒性が弱いと言われている。そのため、2020年コロナショック時の状況を思い出せば、先週の値動きが大きかったとはいえ、やはり「コップの中の嵐」、あるいは「コップから溢れ出す嵐」程度の調整に過ぎず、米ドル高/円安の内部構造を修正できないはずだ。言い換えれば、メイン基調は全く変わっていないため、必要以上に騒ぐべきではないと思う。

とはいえ、先週の大幅反落は、米ドル高のスピードを一旦落としたため、早期回復も容易ではないだろう。そのような意味合いでは、しばらく底高めの段階にあり、先週大陰線を否定したことは、即ち強気変動へ復帰するのも時間がかかるかもしれない。もっとも、先週高値更新してから大幅反落し、それ自体が目先の弱気サインと解釈され、また週足では「リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯したため、米ドル高の大きな流れが変わらないとはいえ、しばらくは米ドルの頭を抑え込むだろう。

目先の焦点は11月安値の112.71円を守れるかどうかにある。理論上、同安値の割り込みなしでは構造上の強さは相変わらずで、先週末の大幅下落自体が行き過ぎとなり、むしろ押し目買いの好機を提供してくれたと解釈できる。一方、仮に同安値の一旦打診、また割り込みがあれば、調整波の大型化や延長が想定されるため、押し目買いのスタンス自体が維持されても、性急に押し目を拾えないかもしれない。

ただし、仮に調整波の延長があっても当面下値余地の大幅拡大はないとみている。9月からの続伸を鑑み、次から次へと節目を突破し、また心理大台の115円関門を一旦ブレイクしただけに、112円後半の支持ゾーンを大きく割り込むとは想定しにくい。本質的なところでは、円はすでにリスク回避先としての役割を失くしており、今さらだが、リスクオフの円高云々は的外れである。この意味合いにおいては、11月26日の大陰線自体が行き過ぎを示唆しており、同日安値の113.04円の更新はなし、といった早期底打ちの可能性もある。

とはいえ、11月26日の大陰線自体が長大線としてしばらく支配力を持つだろう。何らかの特別な材料なしでは一気に先週の下落幅を取り戻せないはずだ。114円円台半ば~115円関門前後は目先の抵抗ゾーンとして意識され、底打ちがあっても一気に上放れできるとは限らない。強くてもレンジ変動の先行が想定され、今週まで先週のショックに対する修正、という位置付けが妥当だろう。高値を追う展開があっても後ずれの公算が大きい。

ただし、中長期スパンにおける見通しは全く変わらない。繰り返し述べてきたように、そもそも2017年以来の高値更新を果たし、また2018年高値へ接近したこと自体、上昇波の加速を示唆していたため、大局として観ると、年初来安値を起点とした上昇波は推進波であり、2015年から形成されてきた大型保ち合いの突破を確認した後、円安の本流を牽引する形で米ドル/円の大幅上昇が続き、これから一段と上値余地を拡大する流れにある。

2011~2015年のような強いラリーの再現があれば、今後2,3年の米ドル高/円安の流れが一段と強化される可能性も大きく、2015年高値の125.86円のブレイクも視野に入る。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:80.00~82.50

メインストラテジー:押し目買い

・豪ドル安自体が行き過ぎ
・大幅下落の限界に近い
・深押しでも許容範囲

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週大幅続落し、連続4週間の陰線引けで一旦80円台半ばに迫り、オミクロン・ショックで想定よりさらに深い調整を果たした。特に先週末11月26日の大幅下落は、240pipsの下落幅を記録し、米感謝祭の薄商いの中、豪ドルのポジション調整が著しく行われ、反落のスピードを速めた。その反面、すでにマイナスの材料は消化済で、下落のクライマックスを果たした可能性も大きい。そろそろ反落の限界に近いのではないかとみている。

そもそも豪ドル対米ドルの値動きも非常に弱かった。11月26日はややパニック的な変動の中、ドル全体の反落があったものの、豪ドル対米ドルはむしろ一段売られ、ユーロや英ポンドなどの外貨に比べ、豪ドルの弱さが目立つ存在であった。米感謝祭の薄商いの中、原油をはじめ、商品相場の値崩れが豪ドルなど商品通貨の弱気変動を深め、一時的にせよ、大分「行き過ぎた」値動きと化したわけだ。

そのため、先週末の値動きを調整波のクライマックスと理解するのは妥当ではないと思う。既に述べたように、円高より豪ドル安というポイントを見逃せない上、商品通貨対円の優位性自体は大きく修正されないはずだ。このような優位性が否定されない限り、行き過ぎた豪ドル安は時間がかかっても修正されるだろう。

スピード調整の一段拡大、または行き過ぎがあったからこそ、中期スパンの視点において、絶好の押し目買いの好機と見なされる。80円心理大台前後における支持を確認できれば、ロジックの大きな修正は要らないと思う。さらに、円売りポジションの整理が先行され、また先週の大幅続落があったからこそ、大分消化されたとみている。80円関門前後における下落モメンタムの低下さえあれば、自然に底打ちされやすいのではないだろうか。

直近のサインとして、先々週の続落は、11月16日の高値トライが失敗したところが大きく、「フォールス・ブレイクアウト」のサインを点灯してから一段の続落をもたらした。その後11月19日の陰線が母線と化して、11月25日まで「インサイド」のサインを再度点灯した。このことはその前の11月18日との関係を含め、「IOI」のサインとも読み取れたわけで、11月26日の大陰線がその下放れとなり、当面頭の重い展開とみるべきだろう。

言い換えれば、仮に底打ちがあっても、何らかの材料なしでは早期に強気変動へ復帰するのも性急な判断であり、今週はあくまで安値圏での変動に留まるだろう。83円関門の回復は容易ではないだろう。

ただし、反落波の拡大があっても過大評価すべきではないことも繰り返し述べてきた通りであり、先週のショックを経てむしろ底打ちしやすいタイミングにあることも記しておきたい。また先週の「行き過ぎ」に鑑み、11月26日安値の80.46円を割り込めず、早期底打ちを果たすといった可能性も念頭におきたい。

繰り返し述べてきたように、商品通貨として先行したカナダドル、NZドルに続き、10月における豪ドル対円の高値更新はむしろ出遅れていた。先週の大幅続落で「買われ過ぎ」の現象が完全に修正されたため、目先としてはむしろ「売られ過ぎ」の状況に鑑み、商品通貨としての優位性がこれから発揮してこないと逆におかしい。つまる所、主要外貨のうち、円は最弱通貨という位置付けが変わらない以上、深押しがあったからこそ、豪ドルの復権はこれからだとみている。