米ドル/円 日足 

週間予想レンジ:113.00~115.50

メインストラテジー:押し目買い

・ブル構造を維持
・115円台通過点
・円安の本流は健在

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週114.71円をトライしてから反落、上昇一服を果たした。半面、114円円台後半のトライ自体は上値志向の強さを示しており、これから115円台の打診、または通過は規定路線と見なし、ブルトレンドの継続を有力視している。言い換えれば、強気変動が鮮明である以上、調整があっても高値圏での保ち合いに留まり、深押しをあまり期待できないとみている。

先週の一旦高値更新は、先々週の大幅続伸を継承しており、また2017年以来の高値更新を果たし、上昇波の加速を示唆したところが大きい。大局として観ると、これまで繰り返し指摘してきたように、年初来安値を起点とした上昇波は推進波であり、2015年から形成されてきた大型保ち合いの打破を確認した後、円安の本流を牽引する形で米ドル/円の大幅上昇が続き、これから一段と上値余地を拡大するだろう。

2011年~2015年のような強いラリーの再現があれば、今後2、3年の米ドル高/円安の流れが一段と強化される可能性も大きく、2015年高値の125.86円のブレイクは規定路線と見なせるだろう。

先週の反落で一旦スピード調整を示したが、9月末から大幅続伸でモメンタムの維持や加速を確認したため、115円心理関門のブレイクがあってももはやそれは通過点に過ぎない。115円関門手前にて一旦反落したことも理解されやすい。先週指摘したように、先週高値まで連日上昇したことでロング筋の利益確定が行われやすく、115円関門のトライまたは通過があっても必ずしも短期にて一気にブレイクするとは限らない。大台打診前のスピード調整の先行は、むしろこれから上昇波を健全化させる側面が大きいため、想定範囲内と位置付ける。

直近の足型では、10月11日の大陽線の後に続く形で、10月12日~14日で形成した「インサイド」のサインが10月15日に上放れ、また10月15日~19日で形成した「インサイド」のサインが続いた。10月20日の上値トライ、また陰線引け自体が「スパイクハイ」のサインを点灯し、10月22日安値の113.40円への反落をもたらしたが、同サインの効き目を過大評価すべきではないだろう。

10月12日安値の113円関門を容易に割れないとみなし、同関門を維持することでまた高値トライしやすい流れに復帰するだろう。仮に何らかの材料で割り込みがあっても、10月11日の大陽線を否定するには非常にハードルが高く、113円関門割れがあってもたちまち回復できる見通しだ。

115円関門の打診があれば、115円半ばのトライに繋がり、また一気した上放れがなくても117~118円といった上値余地の拡大に繋がる。逆張り傾向が強いとされる個人投資家の円買いポジションは、大分膨らんできたと推測され、また先週の反落でこれからトレンドの反転ありと「勘違い」されやすい時期であるだけに、今週の保ち合いがあれば、ショート筋の逆張りをさらに誘い、結果的に今後踏み上げの土台になりやすい。先ほど述べたように、スピード調整がかえってこれからの上昇トレンドを健全化させるためである。

マクロの視点において、再度強調したいのが円の最弱な位置付けだ。米ドル高の受け皿として、本来メインのユーロの役割が大きいが、年初来の米ドル/円のリードが鮮明であり、9月後半から一段とリードしてきた。主要クロス円における円売りの傾向が加速されてきたところ、多少の「売られ過ぎ」の兆しが先週出現したが、為替市場における最初の「行き過ぎ」は往々にしてさらなる強いトレンドの前兆なので、逆張りは引き続き禁物である。押し目買いのスタンスをしばらく維持したい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:84.20~87.50

メインストラテジー:押し目買い

・商品通貨の選好が継続
・速度調整先行も限定的
・「買われ過ぎ」ゆえの強気

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

 

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週86.27円をトライしたため反落。始値に近い水準で大引け、週足では「スパイクハイ」のサインを点灯し、日足では一旦「弱気リバーサル&アウトサイド」のサインを形成していた。しかし、先週高値までの大幅上昇、また年初来の高値更新に鑑み、前述のサインの解釈としては、頭打ちより速度調整の先行となりやすく、過大評価すべきではないだろう。

そもそも9月22日の上昇から10月21日の高値までほぼ一本調子であった。この意味合いでは、10月21日に高値をトライしてからの反落は、むしろ大分遅れてきた調整と見なされやすい。さらに、我々の見通しの通り、年初来高値の再更新はむしろ規定路線だったからこそ、高値更新を果たした後のロング筋の利益確定も容易に推測できた。そのため、調整波の先行があっても自然な成り行きだったと見なされる。

もっとも、商品通貨として先行したカナダドル、NZドルに続き、豪ドル対円の高値更新がむしろ出遅れており、先週の値動きがオーバーしたとは言えない。商品通貨としての優位性がしばらく維持され、年初来の高値更新を果たした以上、これから高値圏での調整が完成次第、さらなる上値余地を拡大するだろう。

先々週の高値更新では、もう1つ重要な抵抗をクリアしたところも見逃せない。7月6日の陰線は、「弱気リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯したため反落、事実上「ダマシ」のサインと化したからこそ、その後の大幅下落や8月20日安値の77.89円の打診に繋がった。そして上昇波への復帰は、7月6日高値の84.22円のブレイクをもって確立され、年初来高値の更新が自然な成り行きとみなされたわけである。

そうなれば、84.22円前後は一転して重要な支持ゾーンとなり、10月21日の陰線がもたらした弱気サインの効き目は、同支持ゾーンを深押しできない限り、強いブル構造に変化なしと判断できる。この場合、まず87円台の高値をトライ、またその後88円台の打診があったとしてもサプライズではないだろう。とはいえ、高値圏での保ち合いが長引く可能性もあるため、レンジ変動の先行があれば、高値を追わず、押し目買いに徹するのが望ましい。

もっとも、豪ドル高より円安のほうが強い要素であったことは繰り返し述べてきた通りであり、これからも豪ドル/円の上昇を支えるだろう。半面、最近原油高で浮上してきたインフレ懸念は、総じて商品通貨の選好に寄与するため、豪ドル/円の急伸は豪ドル自体の材料が鮮明になってきたとところが大きい。

商品相場の高騰で商品通貨とされる豪ドルの優位性がむしろこれから拡大されていくため、最弱の円に対して買われやすいのも当然の成り行きであるため、目先のサインに惑わされず、深い押し目を規定するのは現実的ではないかもしれない。押し目買いの目途としては、目先は浅いとみている。