米ドル/円 日足

週間予想レンジ:109.50~111.00

メインストラテジー:押し目買い

・保ち合いでも底堅い
・調整波の終焉間近
・円は蚊帳の外へ

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は、先週も保ち合いを継続した。週足では陽線で大引けしたものの、狭いレンジに留まっている。また110円前半の抵抗を再度確認していたところ、やはり8月半ば以来の保ち合いの一環として位置付けでき、ブレイク待ちの状況に変わりはない。当然のように、保ち合い自体もスピード調整の一環という位置付けは相変わらずで、モメンタムの低下が継続されている模様だ。

そもそも米ドル/円とドル指数の値動きに乖離が生じている。8月後半ドル指数の大幅反落があっても、米ドル/円の値幅が限定的であり、底堅いことを示唆している。ゆえに、6月高値、8月安値から引かれたトライアングル型の保ち合いの状態は、現在まで続き、これからブレイクされると思われる。しかし、ブレイクがあってもたちまちトレンドを展開するとは限らず、しばらくはレンジ変動に留まる公算が高い。先週の値動きはまさにその展開になったと思う。

この意味合いにおいて、9月1日の一旦高値トライ、またその後の反落自体を小さい「フォールス・ブレイクアウト」のサインとして読み取れるが、大袈裟な解は要らなかったと同様、先週の日足など足型を拡大評価すべきではないと思う。あるいは、逆の視点として、9月7日~9日の罫線による組み合わせは、本来弱気のサインとして解釈されやすいが、一転して底堅い推移となれば、逆に構造上の強さを暗示するサインと化すだろう。

日足では、8月11日の高値トライは、一旦7月8日以来の高値を更新しており、このまま上放れのサインとなった場合は、米ドル/円の一段上昇をもたらすはずだった。しかし、当日に反落、また8月16日まで大幅な続落があったため、結局「フォールス・ブレイクアウト」のサインとして定着し、しばらく効いてきたことは前回指摘した通りだが、先週の下値が限定的であり、また週足において陽線で大引けしたことに鑑み、同サインの効き目がすでに薄まったとみている。

同じ見方として、先週の値動きによって再度証明されたところも見逃せない。9月8日~9日のサインは、目先の弱気を証明しているが、110円前半の抵抗を再度試し、また8月11日のサインがあっても底割れを回避したところは、むしろ底堅さを証明するサインと読み取れる。このような解釈は9月1日の罫線に関する解釈と同様、内部構造の強含みを示唆している。このままでは、近々タイミングを計って上放れを試す機運に恵まれるだろう。

もっとも、従来の見方として、早期切り返しを果たせない場合、このまま8月4日安値108.72円の打診があるとみられる。さらに、割り込みがあれば、一旦108円関門前後のトライも視野に入る。要するに、先週の保ち合いがあっても、なお調整波の位置付けであり、早期に上放れできない限り、せっかくの底堅さも発揮できなくなる恐れがある。

ただし、ジャクソンホール会議や米雇用統計という二大イベントの通過が米ドル/円の下値限定自体のサインとして読み取れ、先週の堅調もあって、前記大型ジグザグ調整波の形成が完全に否定されないものの、蓋然性は大分低下してきたと言える。

8月安値の早期割り込みがなければ、目先の斑模様の状況が明白化されやすい。また明白化される方向として、上放れの蓋然性が高い。この意味では、9月1日高値の110.42円以上の定着があれば、最初のサインを点灯し、その後8月11日高値の110.81円への最接近はあるとみている。本格的なブレイクまでは、なお時間がかかるが、徐々に基調の改善が進む見通しだ。つまるところ、円は蚊帳の外にあり、あくまで米ドル全体次第の展開となるだろう。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:79.50~81.00

メインストラテジー:戻り売り

・再度頭打ちを確認
・切り返しの終焉
・豪ドル/米ドル次第

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週反落、我々の想定の通り、再度頭打ちを果たした。そもそも先々週までの大幅続伸は、ショート筋の踏み上げもあったと推測され、また米ドル/円の値幅限定に鑑み、豪ドル/米ドルとの連動が大きかったことから、その一服で切り返し自体の行き過ぎに対する修正が先週みられたため、むしろ当然の成り行きとみている。

一方、5月高値を起点とした全下落幅が大きかったこと、また下落のスピードが速かったことに鑑み、8月後半の2週間の切り返しが急速に展開されたものの、基本的に半分押し前後に留まったため、ベアトレンド自体を否定できないことも繰り返し指摘してきた通りであった。82円関門の一旦ブレイク自体が、むしろ切り返し自体の行き過ぎと読み取れ、そろそろ頭打ちを果たすタイミングにあると先週の推測の通りに、先週の反落をもってこれから元の基調、即ち弱気変動へ復帰してくるだろう。

構造上の視点として、5月の高値更新自体が大きな「ダマシ」のサインであったことは繰り返し指摘してきた通りであり、7月6日の「弱気リバーサル&アウトサイド」のサインが点灯したことも大きかった。ベアトレンドの推進が、その後一環して行われ、7月20日の80円関門割れがあっても途中と見なしたわけである。

7月20日の「スパイクロー」のサインの点灯で一旦保ち合いの状況に入ったものの、結局81円前半に2回頭打ちが確認され、安値圏での保ち合い自体がベアトレンドの証拠の一環とみなされ、8月第3週の下落の加速や78円関門割れにつながった。

そもそも下落トレンド自体の「スピード違反」があったため、ジャクソンホール会議や雇用統計の二大イベントと相まって、8月後半にて急速な買い戻し、即ちスピード調整が行われてきた。切り返し途中のサインとして、8月27日の陽線自体が、「強気リバーサル」のサインを点灯していたため、先々週の大幅続伸をもたらしたが、先週の反落もあって、これから弱気変動に復帰してくれば、8月27日安値の789.40円前後は一転して短期スパンのターゲットとして浮上しやすいのでは、とみている。

つまり、豪ドル/米ドルと同様、しばらくリンクした値動きになりやすいため、豪ドルの急伸自体がこの前の「売られ過ぎ」に対するスピード調整と位置付けられる。また切り返し自体の「行き過ぎ」が観察される以上、先週再度頭打ちされやすいタイミングにあったため、先週の反落はむしろ最初のサインに過ぎなかった。今後は続落しやすく、一段と切り返しの行き過ぎを修正していくだろう。

直近のサインとして9月7日や9月10日の「弱気リバーサル&アウトサイド」が目立ち、まず81円台半ばの抵抗が厚く、その後82円関門前後の抵抗を強く示唆していた。従って、豪ドル/円の一段続伸は、81円台前半~同半ばであり、その後82円関門前後の抵抗を順次突破しなければならないため、ハードルは高い。安易な上値打診や上放れを見られない以上、今週も続落しやすく、まず80円関門、その後79円前半をトライする流れを強めるだろう。今週も豪ドル/米ドル次第ではあるが、戻り売りのスタンスで臨みたい。