米ドル/円 日足

週間予想レンジ:109.60~111.20

メインストラテジー:レンジ取引&押し目買い

・109円関門死守で基調維持
・保ち合い先行でも強気
・年初来上昇波を踏襲

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週安値トライしてから一転して高く大引けし、週足では「スパイクロー」のサインを形成した。また、109円関門の死守でスピード調整の完成を示唆した。7月第1、2週の罫線で形成された「インサイド」の下放れを一旦果たしたものの、安値トライ後のV字型回復があっても、同サインの下放れ自体が「ダマシ」であった可能性を暗示しており、基調の好転に繋がっている。

以前述べたように、7月に入ってからの大きな反落をもって米ドル高が一服し、またスピード調整の先行を示唆していたため、先週の安値トライ、また安値トライした後の反騰をもって調整波の限界を示しており、「底割れ」の回避を確認できるところで当面は高値圏におけるレンジ変動に留まる値動きが有力視される。この場合は再度安値更新なしでは米ドル/円の内部構造が一段と証明され、時間がかかっても高値再更新をもたらす公算が大きい。

一方、7月最初の週の大幅下落で年初来の安値を起点とした支持ラインの割り込みが確認されたため、先週の切り返しがあっても同ラインの役割、即ち一転して抵抗ラインとしての位置付けを完全に否定できない限り、米ドルの上値余地がなお制限されるのではないかと思う。「底割れ」の回避があっても、保ち合いの先行が推測されやすいため、高値を追う展開としてはなお時期尚早かもしれない。

ただし、先週の値動きを軽視すべきではない。先々週の値動きは基本的に8日罫線の値幅に「包まれる」形となり、「インサイド」のサインを再度強化していただけに、本来109円関門の割り込みがあっても想定の範囲内であり、108円台半ばのトライがあっても許容範囲であった。言い換えれば、予想より堅調な値動きが先週にて見られただけに、米ドル全面高と連動した米ドル/円の強気構造は想定より固いと言える。

もっとも、年初来の高値更新自体が我々のシナリオ通りであり、年初来の高値更新をもって111.71~112.20円といった高値を一気にトライしてもおかしくなかった。従って、調整波の先行、また高値圏での保ち合い自体は想定範囲内の出来事であり、先週の切り返しも強気シナリオの一環として自然な成り行きと位置付けている。しかし、米ドル/円の「底割れ」回避があっても、目先の頭の重い状況を早期打破できるとは限らないため、今週の値動きを楽観視できたとしても、高値追いというスタンスで距離を置きたい。

以前から述べているように、米ドル/円の頭の重さをもたらす一番大きな背景として、米ドル全面高の流れが強まってきた点に注意しておきたい。米ドル指数は総じて上昇波としての構造を維持しており、6月の米消費者物価指数(CPI)の急上昇もあって、これから3月末以来の高値を更新していく流れが有力視される。米ドル全面高でユーロなど外貨の反落が継続されるなら、ユーロ/円などクロス円における外貨安につられる形で円高の圧力がみられるはずなので、逆に米ドル/円に波及し、米ドル全面高だからこそ米ドル/円の頭が重い、といった流れがこれからも続く可能性がある。

なにしろ、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に米ドル全面高の局面へシフトし、米ドル指数の急騰で外貨安が急速に行われ、主要クロス円における頭打ちが鮮明になってきた。先週後半の米ドル指数の波乱があったものの、総じて強気変動を維持することで、3月末高値の再更新が規定路線となり、米ドル全面高の一段加速があれば、かえって米ドル/円の頭を抑え込む、といった構造も続くだろう。高値圏での保ち合いの先行がなお続くわけである。

とは言え、強気構造の維持自体は問題ない。メイン支持ラインの一旦割り込みは、上昇モメンタムの低下を維持するものの、強気構造の修正には至らない。先週の切り返しでは、同メインシナリオを証拠付けており、想定より調整波の早期終焉も想定しておきたいところだ。再度押し目があれば、押し目買いのスタンスは不変だろう。

肝心なことは、やはり円の位置付けが変わらないところである。円は主要外貨のうち最弱であり、4月から米ドル全体が大きく反落、また一旦2月安値を割り込んでいたにも関わらず、米ドル対円は強気変動を維持していた。つい最近まで主要クロス円の軒並み高値更新もあって、円の地盤沈下が目立つ。仮にこれから円高の圧力が継続されても、あくまで調整的、また受動的な値動きで、本格的な円高への逆戻りには程遠く、中長期スパンではむしろ押し目買いの好機としてみなしておきたい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:79.00~82.00

メインストラテジー:戻り売り

・80円関門割れで下値余地拓く
・豪ドル/米ドル次第で下落の勢いも
・79円割れまで大した支持なし

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週続落、一旦80円心理大台を割りこみ、その後一転して高く大引けしたものの、週足において陰線で大引けした。これは、ショート筋の利益確定がもたらした結果とみている。要するに、下落途中のスピード調整があったものの、ベアトレンド自体を修正できず、80円心理大台を一旦割り込むことで、これからの下落余地を拡大しているとみている。

先週述べたように、80円心理大台の割り込みが必至であり、また、その割り込みによって一段と構造上の下落志向を強めることになる。先週安値トライした後の切り返しがそれなりに大きかったものの、下落志向を修正できるほどの値動きではなく、むしろこれから再度頭打ちの可能性を示唆しているようにみえる。

なにしろ、今週早期に切り返しの継続、また高値トライできなければ、先週の安値からの切り返しはあくまでスピード調整であり、また「ダマシ」的な値動きであった疑いを強化し、これから再度安値のトライに繋がるだろう。大まかに82円大台前後の抵抗が厚く、安易な上放れを回避できる見通しであり、豪ドル/円のスピード調整は長く続かない見通しである。

日足におけるサインの連続点灯も鮮明であった。直近の値動きとして、7月6日の大陰線が重要であった。同日豪州中銀の会合で緩和縮小を決定したが、ザラ場にて一旦84.22円をトライしたものの、その後大きく反落し、さらなる安値トライや82円関門以下の大引けをもって頭打ちの構造を決定した。その後に続く7月8日の大陰線、またその後形成された「インサイド」の形成やその後下放れを果たした分、ベアトレンドの構造をさらに深めてきた。

6月第3週の反落が市況を一変させたところが大きかった。すでに3月末安値の82.28円の打診もあり当面の頭打ちや豪ドル/米ドル次第で調整幅の拡大が見込まれ、また調整波の先行でしばらく高値再打診の可能性を後退させたため、その後の戻りはむしろ戻り売りの好機と見なしたのも正解であり、その後の下落は想定通りの展開になった。

なにしろ、6月24日安値の83.96円をの一旦割り込んだことが重要なサインだった。その後一気に3月24日安値の打診をもって頭打ちのサインを成立させた。5月10日の高値再更新が「フォールス・ブレイクアウト」のサインだったことを証明しており、同サインの効き目がこれからも続くはずだ。またすでに効いている以上、効果の長続きも推測されることから、先週の80円心理大台の一旦割り込み程度に留まらないとみている。

82円関門以下の安値打診があれば、変動レンジの下放れを示し、前期の「フォールス・ブレイクアウト」のサインの効き目で変動レンジの「倍返し」的な下方シフトが想定されるだろう。この場合、少なくとも79円円台半ばの下値余地が計算されるため、80円心理大台の割り込みや同下落構造を強化、また再度安値更新があれば、79円関門を割り込み、さらに78円台のトライがあっても許容範囲内の出来事とみている。

従って、一旦80円心理大台割れ、またその後の切り返しの先行があってもメイン構造を修正できず、82円関門前後は一転してメイン抵抗となりやすく、早期回復なしでは続落してくるだろう。この意味合いでは、先週の「スパイクロー」の足型は、サポートの意味合いが薄く、むしろ「重り」としてこれから頭の重さを示唆し、再度安値トライや更新をもたらす存在となるだろう。今週安値最更新を見られなくても安値圏での保ち合いに留まり、再度安値更新につながるとみている。

より長いスパンでは、2020年のコロナショック後の安値から豪ドル/円の大型V字型回復や上昇波への復帰が確認され、また2018年5月以来の高値トライが観察された以上、メイン変動としての強気トレンドは維持される公算が大きい。2020年9月、10月のように、連続2ヶ月の調整があってもおかしくないが、ブル構造を否定するにはかなり反落し続けなければならず、目先のハードルは高いとみている。本質的な見方として、調整波の先行や延長があっても、本格的な円高トレンドへ逆戻りすることはあり得ないだろう。この意味合いでは、長期スパンにおける押し目の好機であり、また早晩恵まれると思う。しかし、目先としては下値リスクを引き続き警戒しておきたい。