米ドル/円 日足

週間予想レンジ:109.50~111.00

メインストラテジー:押し目買い

・米ドル全面高でも頭重い
・クロス円経由の圧力
・構造上の強さは不変

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週高値を再打診し、一旦110.83円のトライは我々の想定通りであり、強気構造の継続を示唆した。もっとも、先々週は値幅限定だったが、底固く推移したところが大きく、先週の高値トライは規定路線であり、またその延長線にあることから、当然な成り行きとみている。反面、高値トライ後の頭の重さもみられ、2021年初来高値更新まで時間がかかることが想定される。

既述のように、6月3日の大陽線、翌6月4日の大陰線に帳消しされたため、本来一段と反落幅を拡大させてもおかしくなかったが、先々週の持ち直しで内部構造を再確認でき、110.34円の再打診があれば、年初来高値の更新を目指せる見通しだ。ただし、先週米連邦公開市場委員会(FOMC)後の市況の進行に鑑み、目先としてはむしろ年初来高値の再打診があっても想定より遅れる可能性がある。

なにしろ、FOMC後米ドルは全面高の局面へシフトし、米ドル指数の急騰で外貨安が急速に行われ、主要クロス円における外貨安/円高の市況を形成したため、間接的に米ドル/円へ波及してきたとみている。この場合、米ドル全面高とリンクする値動きを維持できるものの、逆に米ドル/円の頭が重くなり、上昇トレンドのスピードが抑制されるのではないか。

とは言え、強気構造の維持自体は問題ない。繰り返し指摘してきたように、メイン支持ラインは、年初来安値から維持されてきただけに、米ドル/円のメイン構造に変わりがなく、高値圏での保ち合いがあってもスピード調整の一環と見なされ、米ドル全面高が急速に進む中、対円のリードがなくても基調の修正はあり得ないだろう。

円は主要外貨のうち最弱であり、4月から米ドル全体が大きく反落、また一旦2月安値を割り込んでいたにも関わらず、米ドル対円は強気変動を維持、主要クロス円の軒並み高値更新もあって、円の地盤沈下が目立つことから、円全体のベアトレンドは安易に修正されない。主要クロス円におけるスピード調整の先行があっても、円高への流れに復帰することはないとみている。

4月安値からの上昇は、大分波乱含みの展開を果たしてきたため、素直な高値打診があれば、上昇モメンタムの強化につながり、何らかの材料で一気に上放れを果たす可能性がある。この意味では、先週の大陽線や高値トライは想定した通りの展開であり、一旦スピードが抑えられてもメイン構造はむしろ鮮明化された。というのは、4月半ばから繰り返してきた変動リズム、即ち陰線と陽線の交代が先週の陽線で打破され、強気変動の一環として解釈されるため、これから高値圏での保ち合いがあっても、さらなる上放れの土台作りの段階であると位置付けている。

109円半ばはしばらく支持ゾーンと意識され、111円関門前後は抵抗ゾーンと見られるだろう。レンジ変動における底固さが再度確認できれば、今後の上放れにモメンタムを提供する存在になる。プライスアクションにおけるサインの解読は、あくまでブル基調に沿った方向にすべきで、6月16日の「強気リバーサル&アウトサイド」のサインが完全に否定されない限り、変動レンジの下値も「意外」に限定される可能性がある。

より長いスパンでは、年初来の続伸は、2015年高値から引かれてきた抵抗ラインのブレイクを示し、2015年高値から形成された大型トライアングル型の保ち合いに非常に長い歳月がかかっただけに、ブレイクを果たした後の上昇トレンドが大型化されていく公算が大きく、メインシナリオとして維持されている。上昇モメンタムが再開された分、早晩コロナショック後の高値だった111.72円が射程圏に入り、その後2020年高値の112.22円の再更新を果たすだろう。押し目買いのスタンスを維持し、米ドル全面高の中、しっかり下値を拾いたい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:80.00~84.00

メインストラテジー:戻り売り&レンジ取引

・当面頭打ちを確認
・豪ドル次第で続落か
・レンジは下値の探りも

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週大きく反落し、市況を一変させた。すでに3月末安値の82.28円の打診もあって、当面の頭打ちや、豪ドル/米ドル次第で調整幅の拡大が見込まれ、また調整波の先行でしばらく高値再打診の可能性を後退させる公算が大きい。

日足ではまず3月24日安値の83.96円の割り込みをもって基調を悪化させ、その後一気に3月24日安値の打診をもって頭打ちのサインを成立させた。それは他ならぬ、5月10日の高値再更新が「フォールス・ブレイクアウト」のサインだったことを証明しており、同サインの効き目でこれからも反落幅が拡大することも覚悟している。

もっとも、3月18日の高値打診は、2月25日高値を一旦更新した後3月24日の安値トライに繋がったため、「ダマシ」の可能性を一旦示唆していた。しかし、2月26日安値は81.99円を割れずにその後の高値トライに繋がったため、本来は一段と上値トライをもたらすはずだった。言ってみれば、「ダマシ」のサインの構築自体が大型化され、また時間をかけて高値圏で変動レンジの形成や下放れが確認されている分、これから調整幅の拡大が現実味を増すだろう。

この場合、82円関門以下の安値打診があれば、変動レンジの下放れを示し、前述の「フォールス・ブレイクアウト」のサインの効き目で変動レンジの「倍返し」的な下方シフトが想定されるだろう。この場合、最大79円台半ばの下値余地が計算されるが。目先の下値打診は想定されにくく、またあくまでスピード調整の一環という位置付けで、まずはレンジ変動に留まる公算が大きい。

そもそも先週の急落自体が短期スパンにおける「行き過ぎ」を示唆しており、リバウンドの先行も想定される。ただし、この場合は強くても5月24日の安値前後で再度抵抗に遭遇する見通しで、84円関門の早期回復は容易ではないとみている。レンジ変動の上限は、目先としては高くても84円関門前後に限定されるはずだ。

82円関門の打診があっても一気に割り込んでいくとは限らないが、スピード調整的なリバウンドがあれば、むしろ再打診しやすく、また下放れをもって5月高値の「フォールス・ブレイクアウト」のサインの効き目を証明するだろう。この場合はまず81円関門、その後80円大台の打診に繋がる見通しで、短期スパンにおいて戻り売りの戦略に傾くのではないか。

一方、10月末安値を起点とした今回の上昇波は、フィボナッチの38.2%押しは81円関門前後、また同半分押しは79円台半ばに位置するため、一気に80円関門の割り込みも容易ではないだろう。前述のように、短期スパンにおいてむしろ「行き過ぎ」が示唆されている以上、大したリバウンドなしでは下値余地も限定され、今週84円関門前後に届く反発が見られないなら、下値余地も限定されるはずだ。そのような意味合いでは、これをレンジ変動の一環とみなし、レンジ取引の先行も想定される。そのため、80円大台はしばらく支持ゾーンとして意識される見通しだ。

より長いスパンでは、2020年コロナショック後の安値から豪ドル/円の大型V字型回復や上昇波への復帰が確認され、また2018年5月以来の高値トライが観察された以上、メイン変動としての強気トレンドが維持される公算が大きい。2020年月、10月のように、連続2ヶ月の調整があってもおかしくないが、ブル構造を否定するにはかなり反落し続けなければならず、目先のハードルは高いとみている。2020年の調整波のように、調整波の先行があったからこそ、長期スパンにおける上昇波をより健全化させる蓋然性が高いため、円高時代への逆戻りはあり得ないだろう。