ユーロ/米ドルの戻りも一服に向かうか
4月に入ってから、これまで米ドルは主要国通貨に対して基本的に売り優勢の局面にありました。たとえば、ユーロ/米ドルは下図に見るとおり、3月31日の安値で底入れして切り返し、4月8日以降は上向きの200日移動平均線をクリアに上抜け、先週末にかけては再び1.20ドル処を試すような展開となっています。
ただし、ユーロ/米ドルの1.20ドル処というのは非常に重要な心理的節目であり、相当に強い上値抵抗として意識されやすい水準であることも事実です。
実際、3月11日や3月18日に1.20ドル付近まで値を戻した場面では、結局のところ同水準が厚い「壁」になって、結局は押し戻される格好になったことが思い起こされます。まして、当面は一目均衡表の日足「雲」の存在も強く意識されるところであり、ユーロ/米ドルの戻りも「そろそろ一服」となる可能性は大いにあるものと思われます。
周知のとおり、このところの米ドル安の背景には、1つに米国債利回りが弱含みで推移し続けていることがあります。
3月15日には、米10年債利回りが一時1.52%台まで低下する場面があり、3月末に1.75%付近まで上昇した頃とはだいぶ様子が異なってきていることも確かです。とはいえ、4月に入ってからの米国債価格の上昇はショート勢の買い戻しを伴う踏み上げの動きと見ることもでき、米国債利回りの低下傾向もそろそろ一巡しておかしくないものと思われます。
いまだ新型コロナウイルスが株価に影響する見込み
そもそも、ユーロ圏内ではいまだ多くの地域において厳しいロックダウン規制が続けられています。
ドイツでは、このほど「新型コロナウイルスの感染者が一定水準を超えた地域において厳格な制限措置を連邦政府の権限で実施する感染予防法改正案」の閣議決定が下されました。これまでは各州が一定の権限をもって対応していたものの、もはや州には任せておけないと政府が判断せざるを得ないほど事態は深刻であるということです。
ちなみに、英国はワクチン展開において一定の成果を上げているものの、一方では5月6日に予定されているスコットランド議会選挙の行方が気がかりな状況となってきています。
結果次第では、2回目のスコットランド独立を問う住民投票が行われる可能性が高まりかねない情勢であるとされており、今後はポンドについてもユーロについても一頃ほど積極的に上値を追うことはやはり憚られます。
なお、米ドル/円については3月31日に110.97円の高値をつけた段階でエリオット波動理論に基づく「5波構成の上昇波動」が一旦完結したと見られ、3月末の直近高値からは「調整波」が生じていると見ることができるように思われます。
当面の下値の目安は1つに3月23日の安値=108.41円ということになりそうで、実際に先週は一時108.61円まで下値を試しに行く場面がありました。よって、当面は108円台半ば付近が下値支持役として機能するかどうかを確認する期間ということになりそうです。
なお、先週末にかけて日米首脳会談のために渡米していた菅首相は、米ファイザー社のアルバート・ブーラCEOと電話協議し、ワクチンの追加供給を要請したと伝わっています。
このことについて河野行政改革担当相は「実質的に合意した」と述べていますが、果たして市場の受け止め方はどうでしょうか。多少なりとも日本の株価にとってもプラスの材料となるのかどうか、一応は注目しておきたいところです。