米ドル/円 日足

週間予想レンジ:108.30~110.50

メインストラテジー:押し目買い

・調整波の位置づけ
・下値堅い構造鮮明
・調整の目途を探る

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週大幅反落、我々の想定通りの展開となった。先週指摘したように、先々週後半では、むしろ上昇モメンタムの停滞が見られ、高値圏でのスピード調整が想定されてきただけに、先週の反落はその一環と位置付ける。もっとも、先週の安値では一旦109円関門の打診で先々週の安値を割り込み、調整波の更なる拡大もあり得る。

一方、年初来の上昇波が加速されてきた分、調整自体がむしろ歓迎される値動きがあり、より健全な上昇波の形成につながっている。言い換えれば、年初来の上昇波は推進波として底固く、調整子波の延長があっても下値余地が限定されるはずだ。

目先の108円台後半から109円関門はすでに支持ゾーンとして現れ、続落の場合は一旦切り返しの先行が必要条件になってくるのではないか。要するに、調整波の早期終焉もあり得るため、切り返しが先行される場合、高値更新の有無が検証ポイントとして浮上してくる。高値再打診があれば、コロナショック時の高値(2020年3月高値111.72円)の直接打診が射程圏に入り、目先ハードルが低くないため、切り返しの先行があっても再度頭打ちを果たして調整波の延長といった値動きが想定されやすい。

反面、仮に調整波の先行があっても、底固い構造自体は変らないだろう。3月第3週の大陽線、同第2週の陰線を「かぶせ」、強気「リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯していただけに、3月第3週安値の108.30円前後は強い支持ゾーンとしての役割を果たすだろう。また年初来の上昇波自体が加速されてきた分、元上昇チャンネルの抵抗ラインがブレイクされ、同ラインの延長線が一転して支持ラインと化す蓋然性も高いため、108円台後半がすでに支持ゾーンとしての役割を果たす公算だ。

つまる所、また年初来安値を起点とした上昇波が推進波としての構造をより鮮明化するため、先々週「買われ過ぎ」の領域に入った米ドル/円の一服があってもそれは自然な成り行きと思われ、先週の反落を自然体とみている。とはいえ、ブル構造の再確認、また再構築の段階にあり、これから調整波の延長があっても、メインシナリオとして、米ドル高の流れは相変わらずで、あくまでスピード調整の一環と位置付けられる。

繰り返し指摘してきたように、年初来の続伸は、2015年高値から引かれてきた抵抗ラインのブレイクを示し、2015年高値から形成された大型トライアングル型の保ち合いが非常に長い歳月がかかっただけに、ブレイクを果たした後の上昇トレンドが長く続く公算が大きい。2020年6月高値109.86円のブレイクを果たした分、早晩コロナショック後の高値だった111.72円が射程圏に入り、また2020年高値の再更新などで、しばらく米ドル高/円安の流れが維持されるだろう。従って、調整波の延長があった場合、それはむしろ拾う好機と見なされるのではないか。

そもそも米ドル/円の上昇、米ドル全体の切り返しや米長期金利の急伸と連動した値動きで、米ドル全面高の一環として位置付けられる。そのような中、円は諸外貨のうち一番弱い存在で、米ドル全体の切り返しをリードするため、円が受け皿として一番売られてきた。そのような役割が果たされるうちは、108円台の支持ゾーンはしっかりしていると思われる。

そのため、主要クロス円のブルトレンドの維持や強化で円安の流れは年初来継続され、米ドル/円の下支えとなり、また円安の一段加速をもたらした。ユーロ/円など主要クロス円の強気変動が維持され、仮に調整の継続があっても引き続きブル構造を維持する公算が大きいため、メイントレンドとしての円売りは不変とみている。

目先のサインとしては、日足において、4月8日の陰線から翌日9日にて一旦高値トライがあったものの、継続して上放れする値動きは見られていないため、目先の頭が重い可能性が示唆される。この場合、大した切り返しなしで直接108円台後半をトライし、メイン支持ゾーンを確認してもおかしくないだろう。前述のように、一時にせよ、更なる深押しで一旦108円台前半の直接打診も覚悟はするものの、調整波に留まるのであれば、108円台を総じて押し目買いの好機と見なせる。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:81.30~83.60

メインストラテジー:レンジ取引

・頭が重い展開続く
・レンジの値幅拡大
・スピード調整の範疇

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週再度反落し、頭の重さを露呈した。既述のように、先々週一旦切り返し、陽線で大引けしたものの、値幅限定だったことに鑑み、上値追いできなった上、先週のサインを待っていたところ、先週の反落でやはり当面スピード調整の先行が確認されたとみる。

言い換えれば、先々週の値動きだけでは判断がつかなかった分、先週の反落をもってより鮮明化したと思われる。早期高値更新できない分、3月高値を「ヘッド」とした「ヘッド&ショルダーズ・トップ」といったフォーメーションの形成につながり、当面頭の重い構造が確認されている。

以前から述べているように、3月の一旦高値更新は、同月第3週週足をもって達成されたものの、同週陰線で大引け、モメンタムの低下をすでに示唆したため、3月第3週にて一旦82円台前半の下落はレンジ変動における下値拓きとみなした。先々週の切り返しがあったものの、許容範囲に留まったため、先週の反落で従来のレンジへと復帰したわけだ。目先レンジの下限を3月第3週の安値82.28円前後と据え置くものの、一旦割り込む可能性もある。

更に、3月の一旦高値更新、2月高値を超えたものの、一転して反落し、陰線で大引けしたことで高値更新自体の「ダマシ」の可能性も示唆されたため、先週の反落から同疑いを強化。2月最終週には高値更新してから反落、「スパイクハイ」風の陰線で大引け、一旦頭打ちを示唆しただけに、3月の続伸や高値更新は、結局失敗した形となり、モメンタムの低下や保ち合いの先行を強く暗示していたと読み取れ、ここから反落の余地が一段と拡大すると推測される。

そもそも豪ドル全体の切り返しが加速されていたことに鑑み、豪ドル対米ドルの反落がこれから一段と値幅が拡大される可能性が大きい。豪ドル/円による豪ドル次第の側面が大きいことから、豪ドル/米ドルの日足における「三尊天井」の形成を無視できず、「ネックライン」の割り込みが継続され、また先週同ラインの延長線に頭を抑えられただけに、現実味がさらに増してきたとみている。

その上、先々週豪ドル/円の高値再更新が示したように、豪ドル/円のパフォーマンスに追随した反発もみられたものの、値幅が限定だった分、先週豪ドル/円の反落と連携した反落が自然の成り行きで起こり、これからモメンタムの一段低下があってもおかしくないだろう。

そのため、目先の判断は不変であり、引き続き高値圏でのレンジ形成、またレンジの変動幅を拡大させる段階にあるのではないか。上値余地より下値余地のほうが拡大するだろう。また豪ドル/米ドル次第で82円関門の割り込みも警戒しておきたい。

2月最終週の陰線では、一旦調整の先行を示唆していたが、2018年12月に高値を一旦ブレイクしただけに、更なる上値余地を拡大している。しかし、3月の高値更新後の失速によってまずスピード調整の蓋然性を強め、豪ドルのロング筋もこれからまず利益確定に動く可能性が大きいと推測されるため、先週の値動きで一段と加速される公算だ。

とは言え、利益確定があってもまず高値圏での保ち合いに留まり、豪ドルの下値余地が限定されるだろう。言い換えれば、日足における「三尊天井」のフォーメーション、目先の頭が重い構造を示唆しているが、本格的な形成や下放れはなお疑問視される。メインシナリオとしての豪ドル高/円安の構造がしっかりしており、高値圏での立ち合いが先行される場合は、中期スパンにおいて、むしろ流れを健全化させる側面が大きいため、仮に82円関門の割り込みがあっても、一時的な値動きに留まり、深押しを回避できる見通しだ。

なにしろ、より長いスパンで見ると、逆の構造がしっかり確認されている。2020年8月に高値をブレイクした後、上昇が一段と加速され、また同高値のブレイクによって日足における「三尊底」というフォーメーションの成立を確定しただけに、同フォーメーションの維持がなお大きな影響を果たすだろう。

2020年3月のコロナショック時の安値を「ヘッド」と見なした場合、2018年12月安値を含め、複合型「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム」の成立がより鮮明化される。2月の高値トライをあくまで途中とみなし、同フォーメーションの指示なら、2017年高値90.42円への戻りも想定されるわけで、中期スパンにおるブル構造の継続を有力視したい。目先のスピード調整を大袈裟に取り上げるべきではない。

短気スパンに限り、レンジ取引の一環として高値追いに慎重なスタンスを取ってきたから、今週に限って戻り売りのチャンスもあるかと思う。更に、現実的なことを言えば、あくまでレンジ変動の一環なので、レンジ内の押し目買いと戻り売りの両方を意識しておきたいが、メイントレンドに沿った方向であるならば、押し目買いのほうがより妙味があると見ている。