米ドル/円は超強気の上昇局面が継続
本コラムでは2月の初旬以来、米ドル/円について強気の見通しを述べ続けてきましたが、それにしても「その上昇スピードは想定していた以上に速い」というのが率直な感想です。
2月の半ば頃までには、1月安値からの上昇チャネル形成が確認されていましたが、3月に入ってからは同チャネルの上辺をも上抜ける展開に発展しており、仮に1月6日安値から2月17日高値までを上昇1波、2月23日安値までを調整2波とするならば、現在は上昇3波の超強気の局面に突入していると見ることもできるように思われます。
ちなみに、3月第1週の米ドル/円の週足ロウソクは実体部分で一目均衡表の週足「雲」を上抜け、同時に週足の遅行線が週足「雲」を上抜けたこともあって、それ以降は一段と強気のトレンドが強化されたようにも見られます。
結果、先週9日には一時109.23円まで上値を試しに行くこととなりましたが、それによって2015年6月高値(=125.85円)と2020年2月高値(=112.22円)を結ぶ長期レジスタンスラインに抵触する格好となったことも見逃すことはできません。
場合によっては、このレジスタンスラインに一旦押し戻される格好となる可能性もありますが、逆に同水準をすんなり上抜ける展開となれば、そこからもう一段の上値余地が拡がる可能性もあるでしょう。
それだけ重要な局面にあるということになり、仮に直近高値の109.23円処を上抜けてくるようだと、もはや2020年6月高値=109.84円や心理的節目の110円処ですら「一つの通過点」ということになり、中期的には2020年3月24日につけたコロナ・ショック後の高値=111.71円が視野に入ってくる可能性もあると言えます。
米連邦公開市場委員会と日銀による金融政策決定会合の動向に注目
もちろん、今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合の予定が控えているという点でも極めて重要な局面と言えます。既知のとおり、2021年3月4日のウェビナーでパウエルFRB議長は最近の米国債利回りの上昇を静観する姿勢を見せ、そのことが足下では米ドルの買い安心感につながっているようなところがあります。
とはいえ、パウエル議長は米国債利回りの上昇を必ずしも「容認」したわけではなく、今回のFOMCであらためて何らかの“メッセージ”を市場に伝える可能性もあると見られます。つまり、FRBの出方次第では、米国債利回りと米ドル/円の上昇が目先一服する可能性もあるわけです。
一方、今回の会合で政策点検の詳細を公表するとしている日銀の出方についても、いまだ予断は許されません。ただし、仮に日銀が具体的な動きを見せた場合には、それが円の弱気材料となる可能性も高いと見られ、結果的に米ドル/円の上値余地が一段と拡がることも十分にあり得ると言えるでしょう。
つまり、目下の米ドル/円はテクニカル的な観点からも重要な局面にありますし、日米における政策会合の結果によって当面の方向付けがなされ得るという意味でも非常に重要な局面にあるのです。
もちろん、米国債利回りと米ドル/円が強含みで推移している背景には、一つにバイデン米大統領が提案していた1.9兆米ドル規模の新型コロナウイルス経済対策法案が先週3月11日に成立したことが大きく関わっていると言えます。また、バイデン米大統領が11日に新型コロナワクチンの普及加速に強い意欲を表したことと、実際に米国の新規感染者数が急激に減少しているということも見逃せない事実です。
よって、今後も趨勢的な米ドル強気の流れは変わらないものと思われますし、今後も基本的には米ドルの押し目買い方針で行きたいところです。ただ、さすがに今週は普段よりポジションの管理を少々厳しめにしておく必要もあるものと考えます。