米ドル/円  日足

週間予想レンジ:102.00~106.50

メインストラテジー:様子見

・米大統領選の結果次第、大きく波乱か一方通行
・基本的には米ドルの頭が重いが、思わぬ上値打診も
・選挙結果の判定遅れは、一番のリスク要素になり得る

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週続落したものの、値幅は想定より小さく、104円関門を再度維持した。今週は米大統領選の結果次第で大きく波乱、または一方通行な市況が想定される。それだけに、不確実性が高く、テクニカル・アナリシスにおける通常の予測範囲を超える恐れがある。

更に、米大統領選の結果そのものよりも、結果がなかなか判定できない、つまり僅差で結果が出るのが遅れる、または司法判断の必要性が出るといった状況になれば、波乱の度合いが一段と大きくなるであろう。

敢えて言うなら、今週はどんなことも起こり得ると思われる。米ドルの頭重い状況に鑑み、一段落、または大幅安の可能性がある一方、大きく切り返し、また急騰によって一気に地合いを改善する可能性もある。もっとも、先週は104円関門を守った上、週足では「スパイクロー」風の「星線」に近い形を示したため、下げ止まりの前兆としても見られる。

その反面、104円関門割れがあれば、3月安値101.19円まで大した支持ゾーンが見られないところも事実であり、一気に下値をトライする場合は、急落の余地も大きい。一時的にせよ、下値リスクの拡大や波乱があっても全く違和感がなく、「市場関係者らの想定範囲内」とさえ言えるだろう。この意味では、仮に一旦3月安値の再打診があっても、サプライズにならないかと思う。

メイン抵抗ゾーンはなお106~107円台に集中するであろう。米大統領選の結果ないし株式市場の反応パターン次第で、米ドルの急伸や上値追いの局面があってもおかしくない。この場合はやはりメイン抵抗ゾーンをトライ、更に一旦ブレイクできるかどうかが焦点となるであろう。

一旦上放れがあれば、再度頭打ちがあっても地合いの改善に貢献し、3月安値を起点とした切り返しをメイン変動波動として究極な形で証明できる。すなわち、米大統領選の結果をもって米ドル/円の内部構造が証明できれば、これ以上のない強力な証拠となるため、長期スパンにおける見通しを一段と鮮明化させる。

今週のメインストラテジーを現時点では提示せず、敢えて「一旦様子見」をおすすめする。今週の値動きを確認してからアナリシスのロジックを再検証したい。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:70.00~75.00

メインストラテジー:様子見

・先週の続落で反落波の構造を証左
・今週は米大統領選の結果次第
・豪ドル安継続なら70円心理大台割れも

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週大幅続落。75円関門の抵抗を再確認し、73円関門手前まで下落。8月末を起点とした反落波の構造をより鮮明化させた。基本的には、我々の想定通りの値動きで、これからも一段落が想定されやすい。

テクニカル上の根拠は繰り返し指摘し述べてきた通り、9月第3週の大陰線に包まれる形で、同第4週の小陽線があったため、「インサイド」のサインを点灯。10月第1週において一旦上放れがあったため、本来一段と切り返しの余地を拓いてもおかしくなかった。しかし、結果的に、それは「ダマシ」のサインと化したため、先週の続落はむしろ当然の成り行きと思われる。

故に、先々週の値幅限定は、言ってみれば切り返しの力不足の再確認とも解釈されたため、メインシナリオの強化につながり、先週の続落をもたらしたわけだ。このままでは、今週の続落が想定されやすく、本来ならショートポジションのみ取ればよいタイミングである。

しかし、今週の米大統領選の結果次第、あるいは結果の遅れなどがあれば、大きく波乱になる可能性も十分想定される。テクニカル・アナリシスの予測範囲を超える要素であるだけに、現時点でテクニカル・アナリシスの論点のみで片付けられない。この意味では、今週どんなことも起こり得ると覚悟したほうが無難であろう。場合によっては大逆転の可能性もあり得るため、メインストラテジーを敢えて「様子見」としたわけだ。

4年前の米大統領選を思い出していただきたい。当時はコンセンサスに反して、トランプ氏が当選し、またコンセンサスに反して、株式や為替市場が大きく波乱した上、強烈なV字型回復を果たしたことは事前に誰でも予想できなかった。歴史は安易に繰り返さないが、形が変わっても本質は変わらない。なので、今回もしっかりと覚悟しておきたい。

現時点でテクニカル・アナリシスの根拠云々を羅列しても大した意味がないと思われるが、目先米ドル/円と同様に、敢えて可能性を指摘するなら、円高の余地を警戒しておきたい。6月、7月高値や6月12 日安値で形成されたフォーメーションは「上昇トライアングル」であった。一旦上放れがあったものの、結果的に「ダマシ」と判明できたため、メインシナリオの反落の見通しを強化し、先週の続落を当然の成り行きとみなしたわけだ。

このままでは、70円心理大台の打診を射程圏に収めるであろう。基調を逆転させる前提条件として、76.50円以上の終値が挙げられる。目先のハードルは高いとみるが、今週の不確実性に鑑み、油断できない。