先週6月10日(水)、米株市場でナスダック総合指数が10,000ポイントの大台に乗せて史上最高値を更新しました。思えば、このことが米株価の上げ一服から一時調整局面入りのひとつのきっかけになったものと考えていいでしょう。
既知のとおり、翌11日にはナスダック総合指数が-5.27%、NYダウ平均が-6.90%の大幅下げとなり、それまで過度に盛り上がっていた市場のリスク選好ムードは一旦大きく後退することとなりました。
むろん、このところ米国内で新型コロナウイルス感染の第2波が拡がりつつあると伝えられていることも米株価調整の大きな要因のひとつです。
確かに、テキサス州やフロリダ州などにおいて感染が再拡大しているとの報を軽視することはできません。ただ、もともと経済活動の再開に感染第2波到来のリスクが伴うことは想定内であったことも事実です。そうであるならば、今回はむしろ目先的な高値警戒感から利益確定売りを出す格好の口実として「第2波」が利用されたとの感の方が強いと言えるでしょう。
また、市場の一部からは日本の株価指数先物とオプションの決済日=メジャーSQ(特別清算指数)産出日を12日に控え、それに向けて11日に海外のヘッジファンド勢が意図的に売り仕掛けた可能性があるとの声も聞かれます。
このところ上昇基調を強めていた日本株の値動きに対して、売り方が損失覚悟の買い戻しを迫られ続けていたことは事実です。つまり、先週の週末にかけて見られた米・日株価の反落が必ずしも本格的な基調転換、市場のムード反転につながるとは言い切れないところもあるわけです。
とはいえ、3月下旬以降の米・日株価の大幅な戻りに過熱感が高まっていたことは否定できませんし、結果的にNYダウ平均の日足チャート上にいわゆる「アイランドリバーサル(離れ小島)」のパターンが示現したことも見逃せない事実ではあります。
よって、当面は米・日株価がともに調整含みの展開を続けることとなり、それに伴って米ドル/円、クロス円がしばしの調整を余儀なくされる可能性も否定はできないものと思われます。
この週明け以降も利益確定に伴う株価の調整と市場全体におけるリスク選好ムードの巻き戻しが続くようであれば、その一因として「感染第2波への警戒」というものが浮上しやすくなり、結果的に世界景気の回復に対する期待も一旦は鳴りを潜める可能性があると思われます。その場合、より敏感に反応する可能性が高いのは一つに豪ドルであると思われ、まずは豪ドル/円の動きにしばらく注目しておくことが肝要でしょう。
先週の豪ドル/円は週初に一時76.79円まで上値を伸ばし、そこから反落して週末には一時73円を割り込む場面も見られましたが、最終的には21日移動平均線(21日線)にサポートされる格好となっています。
よって、やはり目先は21日移動平均線の下値サポートが今後も機能し続けるかどうかが一つの焦点になります。仮に同水準を下抜けた場合は、現在31週移動平均線が位置している71.80円あたりまでの調整となる可能性かあると見られ、ここは少し慎重に向き合いたいところであると考えます。
一方、米ドル/円については、まず一目均衡表の日足「雲」下限が下値サポートとして機能し続けるかどうかを見定めたいところです。先週の安値で目先底入れなら、再び200日移動平均線が当座の上値の目安ということになるでしょう。
先週末から週明けにかけての日本株の値動きはかなり底堅く、本日(6月15日(月))のNY市場の状況次第では、米・日株価の調整がごく短期的なものに留まる可能性もありそうです。何よりその点を見定めてから、あらためて米ドル/円の戻り余地を予想することが肝要であると思われます。