米ドル/円 日足

週間予想レンジ:106.50~109.50

メインストラテジー:押し目買い

・米ドル全体との連動性を維持、調整完了で上昇へ
・値幅限定の4月の値動きに対する反動で再度動き出す
・米「史上最悪」の雇用統計を通過、「リスクオフのオフ」進行中

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週一旦1米ドル106円関門割れがあったものの、値幅限定だった上、米「史上最悪」の雇用統計も無風通過、米ドルの下値余地を確認した値動きに。もっとも、繰り返し指摘してきたように、4月に入ってから、ドルインデックスと連動性を保ちながら、極めて限定的な値動きしか見られなかったので、激動の3月に対する反動、という見方もできたから、5月に入っても先週の値幅限定がその一環であったとみる。フォーメーションでは、3月高値から「下落ウェッジ」を形成、先週の値動きをもって完成させたとみる。

この前に指摘したように、3月の急伸に対するスピード調整という位置付けで調整が見られてきたが、その状況打開するには何等かのきっかけを待たなければならなかった。5月8日にリリースされた米4月雇用統計が史上最悪な数字を出しても市場の事前予想範囲に収まり、むしろ米ドルの底打ちに繋がったからそのきっかけに当たる。換言すれば、米ドルの調整はすでに一服し、前記「下落ウェッジ」の上放れも確認でき、これからドル高の局面に復帰しよう。当然のように、ドルインデックスとの連動性も保ち、米ドル全体の強気基調の維持も想定される。

3月末の安値は106.91円だったことに鑑み、同水準の一旦割り込み、また再度回復したこと自体がサインと見なせる。3月高値を起点とした「下落ウェッジ」の構築自体も調整波動の性質を暗示、フォーメーションの完成とともに底打ちを示唆。フォーメーションの指示なら、ここから弱くても4月6日高値109.39円の打診を目指し、更なる上値打診があれば、3月高値111.72円の再打診に道筋をつけるでしょう。

詰まる所、3月ドル全体の急伸、「恐怖のドル買い」であれば、その後ドル全体の反落に伴う米ドル/円の反落は一時「買われすぎ」だった状況に対する調整的な値動きでドル全体の基調が変わったものではない。従って、これからの上昇が継続されば、それは元の基調への復帰に過ぎず、トレンドの継承があっても転換ではないことを再確認しておきたい。

基礎となる重要なサインの存在も変わっていない。繰り返しとなるが、3月第2週の足型が点灯したサインは間違いなく「フォールス・ブレイクアウト」、即ち歴史的な金融相場の混乱と相まって一時の下放れが「ダマシ」であったことを示し、3月高値の111.72円の打診をもたらしたわけである。同サインの効き目が有効である以上、途中の調整があっても早晩完成され、元の上昇基調への戻しを果たすから、目下の位置がその始動であることを確認できる。

判断の基準も繰り返し指摘してきた通り、2016年11月以降、2018年3月第3週を除き、米ドル/円は105円大台以下大引けがなかった上、月足において、106円大台以上の大引けを維持してきたから、記録的なコロナショックであっても、また進行中であっても、同基準が守られてきたことは大きなサイン、またこれからも守られるかとみる。米ドル/円の歴史的な「ダマシ」的なサインは円安の内部構図を証左、3月高値の再更新を視野に。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:69.50~72.50

メインストラテジー:押し目買い

・豪ドル安の行き過ぎが修正され、なお途中の公算
・主体は豪ドル安だったが、これから円安の側面も強まる
・株式市場との連動性に鑑み、対ユーロの値動きは肝心

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドルは堅調な値動きを保っている。先週は一旦67.62円をトライしたものの、69.65円で大引け、3月安値59.87円を起点とした切り返しの継続を示した。既述のように、4月第一週における大幅切り返し、69円関門のトライをもって豪ドルの底打ちを再度証左したから、修正的な値動き(反騰)が当面継続されやすく、目先なお途中の公算。コロナショックで3月19日まで大きく続落、一時60円の心理大台を割り込んだこと自体が豪ドル安のクライマックスだったことに鑑み、先週の堅調を同見方の一環として見方を深める。

コロナショックと相まって、恐怖のドル買いやドル・クランチの進行で豪ドルは資源国通貨として売られやすかった側面が大きかったことは既述の通り。ゆえに、3月における一時60円心理大台の割り込み自体が「売られすぎ」のサインと見なし、安値つけた当週(3月16日~)の「スパイクロー」のサインが底打ちのサインとして再認定されたとみる。換言すれば、この前の豪ドル急落自体がパニック的な値動きだったといえる。

パニック的な値動きがすでに一旦収束、豪ドル対米ドルの続伸をこの前の売られ過ぎへの修正と位置付ければ、豪ドル/円の反騰をその連動として解釈されやすかったことは既述の通り、先週の堅調や米雇用統計後の値動きは新たな証左であったと位置付ける。更に、豪ドル/円の切り返し、米ドル/円より豪ドル/米ドルとの連動性で確認できた側面が大きかったが、これから米ドル/円との連動性も強まり、基調の強化が一段とみられるだろう。

週足におけるサイン、3月第3週に「包まられる」形で同第4週(3月30日~)の陰線引けがあったから、前記4月第1週の大陽線、週足における「インサイド」の上放れを証明したことが整合性をもち、先週の安値は明らかに3月末の高値を意識していた。要するに、元の抵抗ゾーンが新たな支持ゾーンとして確認でき、上値打診の継続が示唆される。

パターンの視点では、3月19日の陽線は「強気リバーサル」のサインを点灯、底打ちを示し、3月25日の高値67.71円へ戻り、切り返しの最初子波を完成したとみる。3月25日は「星線」の形状を示し、一旦抵抗ゾーンを確認した形で4月2日の64.39の打診をもたらした。同安値の水準、3月9日安値の64.47円に近い、その後の切りかえしや3月25日高値のブレイクがあって、「逆三尊」のもっとも標準的なパターンが示された。

ゆえに、これから「倍返し」の計算でまず71円関門手前までを狙え、その後75円関門前後を照準できる計算となるから、先週の67円後半の再打診や支持ゾーンの再確認は前記パターンの有効性の再確認でもあったと思う。前者は3月25日高値~4月2日安値までの値幅を上乗せ、後者は前記「逆三尊」で推測できる上値ターゲットであるから、まず71円関門のブレイクを確実視、その後72円半ばの打診が射程圏に収めよう。一直線的な75円大台の打診は容易ではないとみるが、強気変動を維持できる公算。