米ドル/円 日足

週間予想レンジ:107.50~110.00

メインストラテジー:押し目買い

・「恐怖のドル買い」の一服があってもドル全体との連動性を維持
・「有事の円売り」になりきれなくても200日線を巡る攻防が続く
・クロス円における外貨高・円安は下支えの効果を発揮しよう

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週109円前半を一旦トライしてから軟調に推移し、途中の保ち合いを示唆。連日値幅限定でまだら模様を呈し、モメンタムの欠如を示す。200日線を巡る攻防はなお継続中、ブレイク待ちの局面と見なす。

もっとも、コロナショックで世界金融相場の大混乱と共に、米ドル/円はドル全体(ドルインデックス)との連動性が大きいことは繰り返し指摘してきた通り。先週ドルインデックスの小幅反落もあったから、ドル対円の値動き自体もその一環とみなせる。

所謂「有事のドル買い」の反面、「有事の円売り」を想定したが、日本の緊急事態宣言がでても一段の円売りにつながらなかった。これは目先の「有事の円買い」は確認できないものの、「有事の円売り」にもなりきれないことを示唆する。まだら模様が続く見通し。

とはいえ、スピード調整の一環という位置づけでは、先週の値幅限定、また軟調な推移を解釈しやすい。既述のように、3月第4週におけるドル全体の反落は、この前の大幅V字型反騰に対する修正との位置づけだった。そのため、先々週安値の106.91円を割らない限り、3月9日安値101.19円を起点とした上昇波へすでに復帰した公算が大きいので、早晩2月高値の112.22円の再トライにつながる、というメインシナリオは不変。

重要なので、再度繰り返しとなるが、3月第2週の足型が点灯したサインは重要であった。同サインは間違いなく「フォールス・ブレイクアウト」、即ち歴史的な金融相場の混乱と相まって一時の下放れが「ダマシ」であったことを示唆、3月高値の111.72円の打診をもたらしたわけだ。同サインの効き目が有効である以上、切り返す途中の軟調があってもスピード調整として見られやすく、また先々週の切り返し自体が有効なサインと見なせる。

歴史的な「ダマシ」とみる根拠も繰り返し強調してきた通りである。即ち2016年11月以降、週足において、2018年3月第3週を除き、米ドル/円は105円大台以下の大引けがなかった、月足においても、106円大台以上の大引けを維持してきた。今回記録的、また世界的な恐慌があっても、同基準が守られてきたこと自体が大きなサインと受け止め、ドル高の流れは不変。

短期スパンでは、200日線を巡る攻防で中段保ち合いの様子を深めているが、クロス円における外貨高・円安の効果が下支えであることを見逃せない。コロナショックがあってもユーロ/円は3月安値を維持できていること自体が大きなサインであり、米ドル/円の歴史的な「ダマシ」のサインと共に円安の内部構図を証左した。今週も値幅限定される可能性が大きいものの、押し目買いのスタンスで臨みたい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:67.50~70.50

メインストラテジー:押し目買い

・豪ドル安の行き過ぎが修正され、これからも続く公算
・主体は豪ドル安だったので、修正も豪ドルの反発が原動力
・豪ドルの自律反発、あくまで修正の範囲に留まるものの、なお上値余地

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は大幅切り返し、69円関門のトライをもって豪ドルの底打ちを再度証左した。繰り返し指摘してきた通り、コロナショックで3月19日まで大きく続落、一時60円の心理大台を割り込んだこと自体が豪ドル安のクライマックスだったから、先週の続伸を修正波の一環と見なせる。

コロナショックと相まって、恐怖の米ドル買いや米ドル・クランチの進行で豪ドルは資源国通貨として売られやすかった側面が大きかったが、パニック的な値動きはすでに一旦収束した。先週豪ドル対米ドルの続伸をこの前の売られ過ぎへの修正と位置付ければ、豪ドル/円の反騰をその連動として解釈されやすい。 

要するに、すでに深刻な「オーバーシュート」、即ち「売られ過ぎ」の状況が続いていたから、修正波(切り返し)の継続も当面見られやすく、先週豪ドルの続伸を当然の成り行きとみる。
繰り返し指摘してきたように、3月19日の日足が示した「スパイクロー」の足型、一旦底打ちのサインとして大きく利いたこと、またその後「インサイド」のサインを形成してから上放れを果たしたことは重要であった。先週の続伸や高値トライで、同上放れの結果と見なし、更なる続伸の基盤を強化した。

週足では、3月第3週に「包まれる」形で同第4週(3月30日~)の陰線引けがあったから、先週の大陽線、週足における「インサイド」の上放れを証明したことも目先の上値余地を示す。この場合、72円関門以上の高値トライを想定しておきたいが、あくまで修正の範囲に留まるから、一直線なトライをできるかどうかは定かではない。

そもそも69円台半~70円心理大台は目先の抵抗と見なし、続伸できない場合はまたスピード調整があってもおかしくないだろう。しかし、3月25日の罫線が示した「スパイクハイ」のサインに鑑み、同日高値67.71円のブレイクもあって、同高値前後が一転して支持ゾーンになりやすい。66円台後半~67円台後半の支持ゾーンを明白に割らない限り、当面切り返しの継続を有力視。

更に整理してみれば分かるように、3月19日の陽線は「強気リバーサル」のサインを点灯、底打ちを示し、3月25日の高値67.71円へ戻り、切り返しの最初子波を完成したわけだ。3月25日は「星線」の形状を示し、一旦抵抗ゾーンを確認した形で4月2日の64.39円の打診をもたらした。同安値の水準、3月9日安値の64.47円に近い、その後の切り返しや3月25日高値のブレイクがあって、「逆三尊」のもっとも標準的なパターンが示される。

ゆえに、これから「倍返し」の計算でまず71円関門手前までを狙え、その後75円関門前後を照準にできるだろう。前者は3月25日高値~4月2日安値までの値幅を上乗せ、後者は前記「逆三尊」で推測できる上値ターゲットであるから、一直線な上昇が想定しにくいものの、これからの余地が示唆される。なお急落後の切り返しに過ぎない段階だが、パターンの成立で地合いの一段強化の可能性に注意しておきたい。