東京駅から八重洲方面を望むと京橋地区に超高層ビルが増えていることに気づきます。ブリヂストンが入居する東京スクエアガーデン、ホテルの入る京橋エドグラン、さらに京橋トラストタワー、そういった超高層ビル群の中に昨年加わったのが天井の逆扇形が印象的なミュージアムタワー京橋です。

同ビルはブリヂストン美術館を擁したブリヂストンビルの跡地に建てられました。そのビルを建設し、ビル隣に自らの本社ビルも超高層ビルとして建て替えようとしているのは戸田建設(1860)です。この地域には戸田建設の現在の本社ビルもあり、それらをまとめて再開発し、新しく本社として使うのみならずテナントも募集するとのことです。東京駅からも近く、もともと9階建てであった建物は28階建てになるとのことで資産価値は高そうです。

そこから歩いて数分のところにみずほ証券が本店を構えるユニゾ八重洲ビルがあります。不動産会社のユニゾホールディングス(3258)はそれらのオフィスやホテルなど優良不動産を保有しています。2019年、ユニゾ株はTOBの話題で賑わいました。HIS(9603)が2019年7月にTOBを開始、その後様々なファンドや従業員側のTOBも始まり、2,000円を割る水準だった株価は一時6,000円を超える水準となりました。アクティビストであるエリオットやいちごアセットもユニゾに投資、最終的にはエリオット・いちご両者が従業員側のTOBに応募し、従業員が買い手となるTOBが成立しました。

ユニゾ株の大きな値上がりを考えると、同じ東京駅近くに優良不動産を有し、また、ここ数年の建設業の好況の中で着実に資産を増やしてきている建設会社はアクティビストのターゲットとなりやすそうです。戸田建設は2013年3月期に大きな赤字となりましたが、その後業績は着実に改善、2014年3月期から2019年3月期まで6期連続で営業増益となっています。一株あたり資産も約400円から800円を超える水準に倍増しています。

英国を拠点とするシルチェスターが2019年7月に提出した大量保有報告書によれば、同ファンドは戸田建設の発行済株式の13%強を取得しています。いまのところ、特にアクティビスト活動をしているわけではないようですが、保有目的には増配、自己株式取得を要求することがあるとしており、そういう動きをする可能性はありそうです。シルチェスターは他にも奥村組(1833)に投資を行っています。奥村組も業績好調で現預金を含めた資産を積み上げており、割安と判断されたということでしょう。

前田道路(1883)のTOBなど五輪に向けて好況だった建設業はこの数年利益水準を伸ばしており、様々なアクティビストから注目されているように思われます。今後数回にわたって、建設会社を巡るアクティビストの動きを見ていきたいと思います。