日経平均は年初来高値更新、2万4000円台に
先週は、まず12月12日に英国で下院総選挙が行われ、結果としては与党・保守党が歴史的な大勝を収めることとなりました。これにより、保守党はブレグジット関連法案を単独で可決できるメドをつけたこととなり、ひとまず将来の不確実性は大きく後退しています。結果、市場全体には一気にリスクオンのムードが漂うこととなりました。
英選挙の好結果は、翌12月13日の東京時間の早いうちから「出口調査」の段階で市場に伝わっていました。相前後して米中貿易交渉が第1段階での合意に至る可能性が高まっているとの報が相次いだこともあり、同日の日経平均株価は前日比+598円と大幅に続伸したうえ、年初来高値を更新して2万4000円台に乗せる動きとなりました。
当然、日本株高の動きに連れて米ドル/円相場も徐々に上値を追う展開となり、一時は109円台後半の水準まで値を戻す場面もありましたが、結局のところ12月2日高値=109.73円をブレイクすることはできませんでした。
それは1つに、トランプ米大統領が中国との合意を巡る米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道は「完全に間違い」とツイートしたことによるものです。これは「自分は中国に対してそれほど弱腰で向き合っているわけではない」との選挙アピールと見ればよいでしょう。
むしろ、今回の米中合意の内容を精査すれば、互いに譲り合ったところはあるものの、最終的には米政権側の方が比較的優位にことを運んだとの印象が強く、その軍配はトランプ氏の方に上がったと言っていいものと思われます。
当面は利益確定売りを伴う調整局面に突入も
また、12月14日の午前1時(日本時間)より少し前に、米下院司法委員会がトランプ米大統領弾劾訴追条項案を巡る採決を実施しました。起訴理由にあたる「権力乱用」と「議会に対する妨害」の2つの条項案を賛成多数で可決したと伝わったことも、米ドル/円の一段の上値を押さえる一因となりました。
どうやら、今週12月18日には弾劾訴追決議案が下院本会議で可決する見通しとなっているようですが、その場合でも共和党が過半を占める上院での弾劾裁判で「罷免」に必要な3分の2以上の賛成を得ることは難しいと見られます。
よって、この時点での米ドル/円の下押しは、コンピュータプログラムに基づいて自動発注するアルゴリズム取引のシステムが「弾劾決議」、「可決」などというワードに無用に反応した結果と考えれば良いものと思われます。
もちろん、米・日株価や米ドル/円が事前に長らく期待感から買い上げられてきたことを考えれば、とりあえずの米中合意で「ひとまずは材料出尽くし」となり、基本的にはリスクオンながらも、当面は利益確定売りを伴う調整局面に突入しても致し方のないところではあるでしょう。
一段の上値追いには追加の買い材料が求められる
米ドル/円は、一目均衡表の週足「雲」下限が109.23円に位置していることから、今週は基本的に週足ロウソクが週足「雲」の中に潜り込んで値動きしづらい状況になる公算が大きいと見ます。
また、109.62円処には62週移動平均線が位置しており、同線が上値抵抗として意識されやすいことを考えると、一段の上値追いには追加の買い材料が求められるところであると思われます。
一方のユーロ/米ドルは、当面の中国景気に対する市場の見方が1つのカギを握っていると見る必要があるでしょう。
このたびの米中合意で多少なりとも中国の景況感が上向けば、それはユーロに対する市場の見方にも変化を生じさせるものと見ます。まずは、1.1100ドル処が下値サポートとして機能するかどうかを見定めて行きたいところです。