2015年にNISA口座を使って投資した場合、2019年末に非課税期間が終わります。この非課税期間を延長できるロールオーバーや実践的活用法等を個人投資家でもある公認会計士・税理士の足立 武志氏に解説していただきました。

※当コンテンツは2018年11月19日収録セミナーを再構成・加筆した記事です。
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5年経って何もしなければ課税口座へ移管される

NISAとは、年間120万円までの投資金額に対して5年間売却益と配当金が非課税になる制度です。NISA口座内の上場株式等の配当を非課税で受取るためには、配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」にしていることが前提になります。

NISAは2014年に始まった制度です。NISAは始まってから2年間は年間100万円だった非課税投資額が、2016年以降は120万円に増えています。

2015年にNISA口座を使って投資した株を現在も保有している場合は、今年2019年で非課税期間が終わります。

図表1の通り、2015年に100万円で投資した場合、今年は5年目となります。5年経って何もしないと通常の口座に移り、売却益や配当金が課税対象となりますが、ロールオーバーをすることによって、2020年もNISAの枠を使ってさらに5年間非課税の期間を延ばすことができます。

【図表1】
出所:マネックス証券作成

2015年にNISA口座で投資した株式の選択肢は3つあります。

1.今年中に売ってしまう
2.通常の口座へ移管する
3.ロールオーバー

通常の口座というのは、特定口座を開設している場合は特定口座に移管され、特定口座を作ってない方は一般口座に移管されます。何もしないと自動的に課税口座である通常の口座への移管になります。

ロールオーバーしない方が得な場合もある

この3つのどれを選択するかはなかなか悩ましいのです。今後株価が下落しそうだったら今年中に売る、または通常の口座へ移す、現時点で含み損を抱えている銘柄やこれから株価が上昇しそうな銘柄はロールオーバーする、と書かれている場合があります。

でも、そもそも今後株価が下落しそうとか上昇しそうとかわからないですよね。だから正解は事前にはわかりません。これをいくら考えても正解は出てこないので、割り切って決めてしまう、これでよいと思います。

【図表2】
 

実践的な対処法は?

まだ値下がりしている場合、例えば100万円で投資した株が現在60万円に下がっているケースだと、売却したり通常の口座に移管するとこの損失が切り捨てられてしまいます。

通常の口座での売却損や残ってしまった損失は翌年以降3年間繰り越せますが、NISAではそれが一切できません。この損失が切り捨てられないように、ロールオーバーの制度を使って、いわば延長戦をするイメージです。

この5年間で100万円で買った株が2019年末に200万円になっているなど、株価が投資した金額以上に値上がりし、さらに値上がりそうだったらロールオーバーしましょう。

例えばもうかなり大きく上昇していて、これからさらに上昇するのは無理そうだなという場合は売却する、もしくは通常の口座へ移管する――これが実践的な対処法なのかなと思います。

大きく値上がりした後に通常の口座に移管した場合、値上がり分が取得単価に反映されることで、その後の売却時に課税される利益を減らす効果があります。

【図表3】
 

ただロールオーバーは2020年のNISAの枠120万円を使うことになります。ですから2020年についてロールオーバーをするのか、それともロールオーバーしないで新しい株を見つけて投資するか、ここも選択を迫られているわけです。

非常に難しいのですが、ご自身で魅力を感じている銘柄がもし他にあれば、ロールオーバーで枠を利用するのではなく、2020年のNISA枠は新しく株を買うという考え方もあります。

そうではなくて、現時点でなかなか魅力的な銘柄がないというのであれば、とりあえずロールオーバーできるものはしてしまう考え方もあります。

結局は何が正解かわからないので、もう本当に割り切ってこうしようって決めるしかないってのが実際のところです。

ロールオーバーはその年の時価で移管される

前述した通り、ロールオーバーは2020年の非課税枠を使うことです。これは2015年に投資した金額ではなく、2019年末の最終営業日時点の時価で移管されます。

例えば2015年NISA枠を使って100万円で投資した株の時価が2019年に50万円だとすると、120万円の非課税枠のうち50万円を使います。その結果、非課税枠は70万円残りますから、これで新しくNISA口座で株を買うことができます。

 また、100万円で買った株が2019年末に200万円になっている場合は、非課税枠120万円を超えていますから2020年の非課税枠を使って新たに買うことはできません。

【図表4】
 

NISA口座を持っている人は、ロールオーバーするか否か来年以降も毎年決断しなくてはなりません。NISAというのは 非課税制度で税金が絡むので、毎年早めに動かないといけないことになります。また2020年の今頃になったら2016年にNISAで買った株のロールオーバーをするかどうか決断することになります。

 

※当コンテンツは2018年11月19日収録セミナーを再構成・加筆した記事です。