9月はリスクオン・ムードが広がった
振り返ると、この9月は月間を通じて国際金融市場にリスクオンのムードが拡がり続けることとなりました。結果、米・日株価も上値追いの展開となり、NYダウ平均は今年7月につけた史上最高値に迫る水準まで上昇、日経平均株価も一時は今年4月につけた年初来高値にほぼ顔合わせする場面がありました。
既知のとおり、日経ジャスダック平均に至っては先週9月26日まで14日続伸という記録的な上げを演じることとなり、むしろ当面は調整安の局面を迎える可能性が高まってきていると見ることもできそうです。むろん、日経平均株価やNYダウ平均なども例外ではなく、しばらくは利益確定の売りが出てきやすくなってもおかしくはありません。
それが連続上げの後の“当然の調整”であったとしても、ひとたび株価が下落に転じるとなれば、その事実をひとつのきっかけとして一気に悲観の嵐が市場に吹き荒れ始めるというケースも過去には幾度かありました。
まして、足下では米大統領の弾劾・罷免の話題が取り沙汰されたり、米トランプ政権が米投資家による中国への投資を制限する方法を議論していると一部で報じられたりして、ともすると市場におけるリスクオフ・ムードの拡がりを助長しかねない材料もないではありません。
米中貿易協議と英ハード・ブレグジットに警戒
10月に入ると、早々にも米中間で閣僚級の貿易協議が行われる予定とされており、その行方を巡って市場が少々神経質になる可能性もあるでしょう。もちろん、英国による欧州連合(EU)離脱の行方も大いに気掛かりであり、いまだハード・ブレグジットの可能性が残されているからには、なおも一定の警戒を解くわけには行きません。10月19日までに英議会がEUとの離脱協定案を承認できるかどうかが一つの焦点で、その行方を巡りポンドやユーロの値動きが普段以上に大きくなる可能性も大いにあるでしょう。
いずれにしても、ユーロ/米ドルに関しては、今後も弱気の見方を変える必要は基本的にないと考えます。なにしろ、ユーロ圏の中心的な存在であるドイツ経済の成長鈍化が止まりません。
中国の景気低迷でドイツの製造業が振るわなくなって久しいわけですが、その影響で近頃は非製造業までがあおりを受ける格好となっている模様です。IHSマークイットが発表した9月のドイツ製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は、2009年6月以来10年3ヶ月ぶりの低さとなり、いよいよ景気後退局面入りするとの懸念も強まっています。
先週末9月27日には、ユーロ/米ドルが一時1.0900ドル割れ寸前のレベルまで下押す場面があり、ここで1.0950ドル処をクリアに下抜ける展開となれば、とりあえずは次の節目と考えられる1.0800ドル処まで目線が下がることになると見ます。少し長い目で1.0800ドル処をも下抜ける展開となれば、次は1.0600ドル処が意識されやすくなると見ることもできるものと思われます。
ユーロ/米ドルの下落基調が反転する要素とは
このように、目下のユーロ/米ドルには下値余地がまだあると思われるわけですが、ともすると基調が反転する要素もないではなく、そこは慎重に向き合うことが肝要と思われます。一つに、欧州中央銀行(ECB)の今後の政策方針が市場の思惑や期待ほどハト派に傾かない可能性があります。
また、ドイツ政府が検討しているとされる『影の予算』が創設の運びとなる可能性もゼロではなく、そうなればユーロに対する市場の評価が一変するかもしれません。よって、10月のユーロ/米ドルのポジション管理は普段以上に厳格にしておく必要があると思われます。