米ドル/円 日足
週間予想レンジ:106.00~108.00
メインストラテジー:押し目買い
・仕掛け的な円買いと噂される「お盆」、むしろ円売り優勢
・年初来安値更新を回避、大きなシグナルを点灯
・FRBの継続的な利下げを促進する相場、年初来安値更新を回避
アナリシス:
先週は安値を一旦更新してから切り返し、週足では陽線で大引けした。1月3日安値104.97円割れを回避したところは大きなシグナルであり、テクニカルのみではなく市場心理面での影響も大きかったと言える。
というのは、例年「お盆」の時期において商い薄で仕掛け的な円買いが見られやすいという「ジンクス」があり、1月安値に迫った米ドル/円の安値更新があってもおかしくなかったであろう。
しかし、それを回避したことは市場の極端心理を和らげただけではなく、一転して円買い筋の狼狽をもたらし、これからの切り返しの土台を構築したとみる。この意味では、投機筋の「誤算」がすでにみられたと思われる。
もっとも、投機的な円買いとはいえ、テクニカル的な根拠もしっかりあった。7月には米連邦準備制度(FRB)による利下げの後に一旦上昇し、109.33円にトライしたこともあって、日足における従来の見方、即ち「三尊底」の可能性を一段と強化していた。しかし8月1日に大きく反落し、「三尊底」のフォーメーションを否定することとなった。
また典型的な「フォールス・ブレイクアウト」のサインを点灯し、4月高値112.41円を起点とした下落波の延長を示した。一時105円関門に迫った安値打診はその結果と見なし、さらなる安値をトライしてもおかしくなかった。
一方、既述のように、4月高値を起点とした下落波は最終段階にあった。米中貿易摩擦の激化などファンダメンタルズの悪化があっても、年初安値に再接近すること自体、かなり「オーバーシュート」の状況を示していた。
言い換えれば、これより前にトランプ米大統領による意図的な政策示唆がもたらした米ドル/円の反転や急落、より大きな視点で捉えると、むしろ「クライマックス」の段階であることを暗示している。年初来の安値更新さえ回避できれば、再度米ドルの切り返しにつながる公算が大きかった。
先週の米中貿易摩擦の激化を打開する試みやそれに伴ったドルの反騰は、我々の想定とおりだったと言える。
8月13日の大陽線は事実上強気「リバーサル」のサインを点灯し、年初安値割れを回避したところは重要なシグナルと見なす。ここから安値更新なしでは切り返しを継続するだとう。レジスタンスについて、目先もっとも重視されるのが8月6日高値の107.08円、ブレイクがあれば、一段と上昇余地を拓き、最大109円関門の打診も射程圏に収めると思われる。
この日の陽線はもともと強気「リバーサル」のサインを点灯していたから、その後の安値更新で同罫線がいわゆる「ダマシ」と化した。それだけに、再度否定されると今度は一転して上昇継続のサインになる。ブレイクまで保ち合いの継続も想定されるが、早晩試される見通しだ。
米国株の急落に伴う円買いの本質は、リスクオフ云々よりもFRB継続利下げを促進する相場の表れ。米国株の回復もあって、円高のピークは過ぎたとみる。反面、4月高値を起点とした米ドルの反落が大型化され、また延長してきた分、これからの回復があっても紆余曲折を覚悟する。
豪ドル/円 日足
週間予想レンジ:72.00~74.00
メインストラテジー:押し目買い
・先週の切り返しをもって底打ちを示唆
・「ダブル・ボトム」の形成可能性、一段と現実的
・豪ドル/米ドルの反騰は支援材料
アナリシス:
先週は切り返し、先々週の安値をもって底打ちした可能性を証左している。7月後半から米ドル/円と連動して大きく続落したことに加え、豪ドル対米ドルの続落という「ダブルパンチ」で一気に年初来安値を更新した。
これは、繰り返し指摘したようにその安値更新自体が下落波の「クライマックス」を象徴するサインと見なすべきで、安値更新後の下値余地が限定的なら、むしろ底打ちしやすいかと推測されていた。年初来安値更新があっても、「ダブル・ボトム」の可能性を無視できないことは大きなヒントであった。
もっとも、先々週安値70.74円までの急落はテクニカル上の「ダマシ」の発生でもたらした結果とみられる。この「ダマシ」とは、既述のように6月安値を「ヘッド」と見なした元「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」だった可能性もある。
この「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」フォーメーションの否定で大きく続落してきたが、先々週安値までのトライですでに同指示ターゲット(倍返し)を超えていた。そのため、さらなる下値余地が限られ、また再度底打ちのサインを点灯してもおかしくなかったことも既述の通りだった。
米中貿易摩擦の激化で、豪ドルは受け皿として変動しやすいが、豪ドル/米ドルの下落が一服して切り返しの兆しをみせ、先週の豪ドル/円の反発はまだ初歩段階だろう。主要クロス円における円高圧力、外貨安につられた側面が大きく、この円高圧力の低下で引き続き切り返しをしやすいタイミングにおると推測される。
8月7日の罫線は「スパイクロー」のサインを点灯し、下げ一服の兆しを示した。これは8月13日の大陽線をもって証左したとみる。となると、しばらくは切り返しの先行が想定され、重要な抵抗である74円関門前後への回復を図る見込みだ。
この74円関門は6月安値と合致しただけに、この関門割れをもって前記「ダマシ」であることを確認し大きな下落余地を拓いてきた。そのため、戻りのターゲットとして最初に浮上してくるだろう。この関門の回復があれば、年初安値に対する一時の下放れが事実上「フォールス・ブレイクアウト」の可能性が示唆され、一段と上値余地に繋がる公算だ。
反面、オーバーシュートだっただけに、回復があっても一直線な勢いを期待できないようだ。目先はあくまで「売られすぎ」に対する修正という局面にいるから、切り返し自体の紆余曲折を覚悟する。