このつぶやきを書いているのは、香港に向かっている飛行機の中です。皆さんご存知の通り、今香港では、中国がコントロールを強めようとする一方で、それに反対する市民がデモを展開し、そこに様々な利害関係者が絡んできているようで、不透明感が増してきています。香港で行う会議が数ヶ月前にセットされており、会議はキャンセルすることも検討したのですが、今の香港の実情を、見極めることはもちろん不可能でも、やはりナマの感覚を自ら得ておくべきだと考え、敢えて予定通りに会議を実施することにしました。

在香港の日本人ネットワークに聞いても、外務省等の情報を見ても、治安上はさほど問題はないようなのですが、香港の人たちの考え方に、法制度に対する考え方とか行動原理を含めて、どのような変化が起きているのか、或いは起きていないのか、香港と中国の関係は、この10年間くらいでどんどん変化してきていますが、それが今どのようなステージにあるのか、自分なりに確認したいと思ったのです。

思い起こせば22年前、いわゆるハンドオーバー(英国主権の中国への返還)のまさに当日、私は香港に居ました。ハンドオーバー前の数年間、前職のゴールドマンサックスで、香港オフィスの債券為替部門の責任者代理のようなこともしていたので、頻繁に、毎月のように香港には行ってました。

あの頃の英国風が強く混じった雰囲気。そしてハンドオーバーの興奮。そしてそのあとのちょっと虚しい感覚と中国化。それらを目の当たりに見てきました。そして今また、大きな変化が起きている気がします。五感を全開にして、今の香港を感じてきたいと思います。

と、上記のように書いた上で着陸したのですが、いざ現地に来てみると、至って平穏でした。ホテルのベルボーイに、「今日は静かだね」と話すと、はにかむように微笑みながら、「はい。今日は(平日なので)仕事しなければいけないので」との答えでした。なるほど。平和的に行われているようではあります。

しかし私は気になるのはデモ自体の治安状況よりも、香港人の考え方の変化です。丁寧に観察したいと思います。