先日、金融庁が出した報告書が世間を賑わせていますね。金融庁の報告書によると、私たちの老後の生活費は、公的年金だけでは、「2,000万円足りない」とのこと。20代の人は、遠い老後のことであまりピンとこないかもしれませんが、とんでもない!今後の日本の状況を考えると、早い段階から準備していく必要があります。

今回は、入社3年目25歳のA子さんを例に、今回の老後問題にどのように向き合っていったらよいのかアドバイス。ぜひ、参考にしてみてください。

<ケーススタディ 25歳 会社員A子さん>
・大学卒業後入社した企業に正社員として勤務3年目
・入社後の平均年収300万円
・定期預金20万円

若い世代ほど、2,000万円では足りないかも!?

A子さんは、大学卒業後、現在の会社に入社して3年目。まだ25歳のA子さんには、今回世間で騒がれている老後2,000万円問題は正直、ピンときていません。

A子さん曰く、「老後に2,000万円足りないといわれても、まだ先のことだし、30代になって考えればいいかなと」。

確かにA子さんの気持ちはわかりますが、実は、この問題、若い世代であればあるほど、早めに向き合った方が良いのです。

というのも今、日本は猛スピードで少子高齢化が進んでいます。「2015年版高齢社会白書」によると、今から54年前の1965年には約10.8人の現役世代(15歳~64歳まで)で1人の高齢者(65歳以上)を支えていたようですが、それが2015年は、2.3人の現役世代で1人の高齢者を支え、ここからさらに進んで2050年には1.3人の現役世代で1人の高齢者を支えるとの予測がされています。 

そもそも今回この「2,000万円」という不足額の根拠となったのは、総務省が出している家計調査報告(2017年)。このデータによると、現在の60歳以上の夫婦の高齢無職世帯では、1ヶ月の平均収入は年金を中心に約20万9000円、支出は約26万4000円。

ですから、毎月5万5000円の赤字となり、65歳以降30年生きると仮定すると、約2,000万円足りなくなるということですが、今後年金の受給金額が減ったり、もっと長生きになったりすれば、2,000万円足りないどころの話ではありません。

若い世代であるほど、少子高齢化の影響を大きく受けるので、早くから対策を練る必要があります。

20代がまず始めたい「老後2,000万円問題」への対策

では、A子さんは、今後どうしたら良いのでしょうか?20代がまず始めたい「老後2,000万円問題」への対策を2つご紹介します。

「先取り貯蓄」でまずは、貯蓄の習慣を身につけよう

A子さんは、現在年収300万円程度で貯蓄の余裕がないとのことですが、病気やケガに備えるためにも、夢を叶えるためにも、貯蓄をしておく必要があります。

貯蓄を成功させるコツは、「先取り貯蓄」をすることです。先取り貯蓄とは、お金を使ったあと余ったお金を貯蓄に回すのではなく、お給料が入ったら、先に貯蓄分を取り分けてしまうという方法です。先に貯蓄を取り分けて、あとは残ったお金の範囲で生活すれば確実にお金は貯まるというわけです。

現在貯蓄が20万円程度とのことですが、当面の貯蓄として準備したい金額の目安は、生活費の6ヶ月分~1年分程度。手取り収入が20万円の人だと、最低でも120万円の貯蓄はほしいところです。

お小遣い程度から投資スタート!今から将来の老後資金作りを

通常の貯蓄を増やしていくと同時に、今からコツコツと老後の資金作りのために、投資にもトライしたいところです。

A子さんのようにまだ年収が高くない状況だと、「通常の貯蓄に加えて投資までする資金の余裕なんてない!」と思ってしまうと思いますが、現在は、お小遣い程度から投資をすることができます。

老後資金の準備にオススメなのが「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。iDeCoは節税しながらお金を大きく増やせる可能性がある制度です。

iDeCoは、5,000円から拠出でき、60歳まで積み立てることができます。お給料が高くないうちは、最低金額の5,000円から始め、お給料が増えてきたら拠出する金額を増やしていきましょう。

仮に、毎月5,000円を25歳から60歳までの35年間、利回り5%の投資信託で運用した場合、35年後は、約568万円になります。積立元本は210万円ですから、倍以上増えることに。iDeCoの場合は、所得税や住民税も安くなるので、税金が安くなった分も考慮すると、実際はもっとお得度がアップします。

また、つみたてNISAも節税しながらお金を大きく増やせる可能性がある制度で早いうちからやってみるのもオススメ。こちらは100円、1,000円といったかなりの少額からスタートすることが可能なうえに、iDeCoと違って万が一のときは引き出すことが可能です。

iDeCoもつみたてNISAも、最初に手続きをすれば、毎月決まった金額を指定の口座から自動引き落としできますので、手間なく投資を続けることができます。

投資が上手になるコツは、実際の経験を積むこと。早くから経験を積むことで、投資も上手になる上に、お金を増やせるチャンスも多くなるので、ぜひ、今すぐに少額からでもトライしてみましょう。