証券取引の確定申告が必要なケースと不要なケース

もうすぐ年末。確定申告について色々と準備が必要な時期になりました。今回は証券取引の確定申告につき、基本的なことをお話しします。

株式や投資信託など、証券取引により生じる税金として代表的なのが次の2つです。

・譲渡所得(売買により生じた利益。キャピタルゲイン)
・配当所得(配当金・分配金。インカムゲイン)

譲渡所得については、原則として確定申告が必要です。ただ、源泉徴収ありの特定口座の場合は、すでに譲渡所得にかかる税金が源泉徴収されているため、確定申告は不要です(確定申告した方が有利な場合は確定申告することもできます)。

また、会社員など給与所得者の場合、譲渡所得含めた他の所得が20万円以下であれば所得税の確定申告は不要となっています。

上場株式や投資信託の配当所得については、すでに税金が源泉徴収されているため、確定申告は不要です。ただし、他の所得が少ない方や、譲渡損失との損益通算をする方など、確定申告をした方が有利な場合は確定申告することもできます。

各種報告書の添付が不要に

株式や投資信託等の譲渡所得や配当所得を確定申告する際に必要だった「特定口座年間取引報告書」や「上場株式配当等の支払通知書」の添付が2019年4月以降、不要になりました。

特定口座年間取引報告書とは、1年間に特定口座で行われた取引の結果生じた譲渡所得や譲渡損失、受け取った配当金の額(源泉徴収あり・配当金の受け取り方法に株式数比例配分方式を選択している場合)などが記された書類です。

この書類の記載内容をもとに容易に確定申告することができます。

上場株式配当等の支払通知書とは、1年間に受け取った株式の配当や投資信託の分配金につき、銘柄ごと、配当金を受領するごとその金額や内容が記載されている一覧表です。

源泉徴収ありの特定口座かつ株式数比例配分方式を選択している場合は、内容が特定口座年間取引報告書に記載されているため、上場株式配当等の支払通知書は交付されません。

配当金につき確定申告をする場合はこの書類の記載内容をもとに行います。

2020年に行う2019年分の確定申告においては、これらの書類の添付は不要となりました。ただ、この書類の内容が分からないと確定申告ができません。

電子交付を受けている方で、郵送での書類の入手ができない場合は、取引のある証券口座にログインし、ご自身でプリントアウトするなどして入手してください。

損失が生じたら「毎年」確定申告を

冒頭で、源泉徴収ありの特定口座の場合や、譲渡所得(給与所得以外の他の所得も含めて)が20万円以下の場合には確定申告が不要と書きました。

しかし証券取引で損失が生じた場合は、確定申告をしないと不利益を被ってしまう可能性があります。

証券取引で譲渡損失(売却損)が生じた場合、それを3年間繰り越して、その間の譲渡益(売却益)や配当金と相殺することができます。これにより相殺した譲渡益や配当金の税金がかからなくなります。

この譲渡損失の3年間の繰り越しは、譲渡損失について確定申告をすることが要件となっています。その手続きを怠ると、損失を繰り越して翌年以降の利益と相殺することができません。

これは源泉徴収ありの特定口座でも同じです。確定申告が不要だから、損失が生じても何もしなくてよい、と勘違いされる方もいますが、損失が生じたらそれを繰り越すためには確定申告が必ず必要となりますので十分注意してください。

さらに、譲渡損失を翌年以降に繰り越す場合、初年度だけでなく繰り越すたびに毎年確定申告が必要となっています。

例えば2019年の損失を2020年に繰り越すには2019年分の確定申告が必要ですが、これにより自動的に3年間損失を繰り越してくれるわけではありません。

2020年に繰り越した損失を利益と相殺しきれず、2021年に繰り越す場合は、2020年分の確定申告を改めてしないといけないのです。

譲渡損失の繰り越しをしなくても、税務署からお咎めが入ることはありませんが、繰り越しをしないのは非常にもったいないことです。余計な税金を払うことにならないためにも、譲渡損失の繰り越しにつき確定申告をすることを忘れないようにしてくださいね。