本欄の前回(9月3日)更新分で「9月のドル/円は後半に向かうほど強気」と想定しました。そして案の定、9月のドル/円は月末に向かうほどドンドン強気の展開になり、ついに9月は月足・終値で一目均衡表の月足「雲」上限を上抜けることとなったのです。これも前回想定した通りの動きであり、これで当面のドル/円の上値余地は大きく拡がる可能性が高いということになるでしょう。
すでに、足下のドル/円は113.70円処まで値を上げており、先週9月28日に年初来高値を更新。次は、次第に昨年11月高値の114.73円から115円近辺の水準が意識されやすくなっていくものと見られます。その背景には日本株の急上昇があり、その点を考慮すると目先的には一旦調整含みの展開となる可能性もあると思われる点には要注意です。
なにしろ、ここにきて日経平均株価は27年ぶりの高水準にまで急上昇し、その結果、東証1部の騰落レシオは足下で131%を超える過熱レベルに達しています。もちろん、なおも非常に割安な水準に株価があるという事実に変わりはありませんが、やはり一定の日柄調整は必要な状況となっており、株価が調整入りすれば同時にドル/円も一旦はやや調整含みとなる可能性があると思われます。
とはいえ、株価もドル/円も調整一巡後は年末に向けて再び上値を試してくる可能性が高いと見られ、仮にドル/円が心理的節目である115円をクリアに上抜けた場合は、2017年1月高値の118.61円2016年12月高値の118.67円を試す展開となっておかしくないものと見ます。なお、先に9月のドル/円の月足の話題を取り上げましたが、ここは月替わりに際して他にユーロ/ドルやポンド/ドルなどの月足についても一度チェックしておくことをお勧めしたいと考えます。
まずユーロ/ドルですが、結局9月は上値を伸ばしきれず、どちらかというと「下向きのトンボ(上十字)」と称される弱めの月足となりました。結果、あらためて一目均衡表の月足「雲」下限を試すような格好となっており、これは油断できません。振り返ると、この月足「雲」下限は長らくユーロ/ドルの下値サポートとして機能し続けており、それだけにひとたび下抜けると弱気のムードが強まりやすくなるものと思われます。
なお、足下のユーロの弱気は、1つにポンドが軟調であることの影響を少なからず受けていると考えられ、その意味でユーロ/ドルの行方を想定する際にはポンド/ドルの行方を見定めることも非常に重要と思われます。そのポンド/ドルは、下図に見るとおり、9月の月足ロウソクが6ヶ月ぶりに陽線となったものの、必ずしも強気転換への期待を膨らませるような勢いが感じられるものではありません。
周知のとおり、ブレグジットが来年3月に迫っているにも拘らず、欧州連合(EU)との交渉がまとまる気配はなく、市場における「合意なき離脱」への警戒感はいつまで経っても払しょくできません。ハードランディングの可能性が濃厚になればポンド/ドルが2017年1月安値=1.1987ドルを下回る可能性も大いにあると個人的には考えます。
というのも、ポンド/ドルの2017年1月安値というのは単にテクニカルな要因(リーマンショック後にボックス・レンジを形成した際の値幅をレンジ下辺から下方にとった)によって下げ止まったところであって、必ずしも同水準が「絶対的な安値とするにふさわしい」というわけではないのです。その点は頭の片隅に置いておく必要があると思われます。